「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (7) 2019/5/17

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「菜の花」 2011年4月25日

ホウレンソウから始まって、カキナ・ブロッコリー・ミズナ・コマツナ・ハクサイ・カブ・キャベツ・チンゲンサイ・・・

私たちの食する野菜・・菜っ葉の多くは「アブラナ科」であることを、この震災騒動であらためて認識(?)させられました。
キャベツ・ハクサイ・カブ・ダイコン・ブロッコリー・ワサビは一年中お世話になっています。

アブラナ科の野菜にはがん予防効果、ワサビは胃の中のピロリキンに効果あり とも聴いています。
ついでに・・梅干にも発ガン抑制効果があるという。


それと、健康の基礎になっている「血液の流れ」を改善する・・ということから、何年も前にNHKの番組で聴いて、タマネギを食べるように心がけていますが、ワサビにもその働きがあるようです。
(ただ、私の使っているチューブでは、「使用しているわさびは100%本わさび」と書いてあるものもあるが、ほとんどは ワサビダイコン や セイヨウワサビ だという。)


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アブラナ科野菜 
 きゃべつ、白菜、漬け菜類(小松菜・野沢菜など)、大根などのアブラナ科野菜には、身体に良さそうな物質が見出されているようです。
  
 それぞれ若芽、つぼみ、葉、根が食用とされています。食品成分表には、野菜は150種類ほどありますが、その中でアブラナ科野菜は、35種程度、野菜の中で約25%の成分が記載され野菜消費量の大部分を占めていました。

 アブラナ科は、世界で3,000種以上が知られています。花弁(花びら)数は4で花の姿が十字状であるので以前は、ジュウジバナ科とも呼ばれていたといいます。北半球に多く、特に地中海沿岸地帯から西アジアにかけて多くの種類が分布しています。多くが秋に芽生え、冬はロゼット(根から茎が伸びず直接葉が放射状に見える状態)で過ごし、春に開花します。

キャベツ 
 カリウム、ビタミンC、K、Uを多く含む。アブラナ科に多いイソチオシアネート(辛味成分)を微量含み香気成分でもあり抗酸化、抗がん、老化防止、生活習慣病予防、殺菌作用が認められる。キャベツから見出されたビタミンU(水溶性)が胃の粘膜を再生保護する作用がある。

白菜 
 栄養的成分は、同じアブラナ科でキャベツ(水分92.7%)に似るが水分が95.2%とありみずみずしさが味わえる。白菜を使ってのキムチ(朝鮮漬け)は、このところのダイエットも手伝って脂肪燃焼(唐辛子、ニンニク、生姜など)効果、食物繊維1.3%~2.7%、乳酸菌発酵による整腸作用もあり今や、たくわんを抜いて急速に生産、消費量とも急増して漬物の王座を占めている。

ブロッコリー
 1997年ブロッコリースプラウト(新芽)に含まれるスルフォラファン(おもに辛味の成分)の成分がピロリ菌を抑制しガン予防に効果的との発表があった。ブロッコリーで100g中にビタミンA効力130μg、ビタミンE2.5mg、ビタミンC120mg、カルシウム38mg、鉄を1.0mg含む。

小松菜 
 カルシュウム(Ca:骨の形成、精神安定作用)が多く吸収はほうれん草よりよいといわれる。

大根   
 辛味成分(生育初期、根の部分に多い)は、イソチオシアネート(脂肪分解・ピロリ菌撃退作用)で、おろして組織が壊された時に遊離し辛くなる。アミラーゼの消化酵素がおおい。大根アミラーゼは、ph5.5付近、60~65度で最も活性化し漬物では浅漬けの短期のものでは活性化するが長期に漬けこむタクワンにはないといわれる。
ビタミンCは、内部より外皮に近いほど多く含む。その他にオキシターゼ(ポリフェノール酸化酵素蛋白質、脂質分解、発ガン物質〈こげ:ベンツピレン〉抑制、解毒作用)、カタラーゼ(酸化還元酵素:成分損失、変色に関与)、グリコシターゼ(配糖体加水分解酵素:栄養の吸収をよくする)の酵素を含んでいる。

蕪(かぶ)  
赤蕪の色素はアントシアニン系のシアニン(抗酸化作用)という。ジアスターゼ(消化酵素)、イソチアシアネート(辛味成分:老化防止)を含む。


 アブラナ科野菜の大きな特徴は、辛味成分(イソチオシアネート)で、緑色の葉部分では、葉緑素、ビタミン(A・C)、ミネラル(カリウム・カルシウム・鉄)が多く含むことが理解されます。
辛味の成分は、独特な鼻にツーンとくる辛味の原因となっています。それぞれの成分は植物にとっては昆虫や草食動物から身を守り子孫を残すためであり食害を防ぐ意味がありますが、人間にとっては香辛料やハーブとして生理活性物質として活躍、重宝されるのです。

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食事と薬の併用で除菌率アップ

WHOの国際がん研究機関は、「ピロリ菌が胃がんを誘発する」と発表しました。日本人の感染率は極めて高く、特に40歳以上では70%以上が感染しています。
以前にココア、フコイダン、ブロッコリー、蜂蜜、梅干などの食品も紹介してきましたが、今回は日本の伝統的なスパイスであるわさびに、特別にピロリ菌を抑制する働きが期待されています。

元々、わさびには血液を酸化させて、老化を促進させる活性酸素を抑えこむ働きがあります。紫外線やストレスなどで発生する活性酸素は、ビタミンCで減らすこともできますが、わさびは発生自体も抑制できます。
さらにわさびの血流を改善する作用が強いです。血小板が集まって固まるのを抑制して、血栓を防ぐ「わさびスルフィニル」と呼ばれる成分が含まれていることもわかってきました。

わさびは食品の衛生状態を保つ役割もあります。刺身や寿司にわさびを添えるのは、大腸菌や食中毒菌の増殖を防ぐためです。胃アニサキス症でも紹介している「アニサキス」などの寄生虫に対する殺虫作用も確認済みです。


この良いこと尽くしのわさびが、静岡大学の研究チームによって、ピロリ菌の除菌にも効果があると証明されました。
現在、胃がん胃潰瘍の原因はストレスとピロリ菌だとされています。そのため、ストレスの緩和とピロリ菌の除菌が最大の予防策です。
その中でわさびは、ピロリ菌で傷ついた胃粘膜障害を抑制すると同時に、ストレスにで誘発する消化器系の障害に対しても抑制効果を発揮します。これが今までの食品との大きな違いです。
わさびでピロリ菌の数を減らして、胃粘膜の傷害も抑制、最高の治療環境が整ったところで投薬すれば、除菌率は確実にアップするでしょう。
もし、日常生活でわさびを摂り続けるのが大変なら、ピロリ菌の除菌薬にわさび成分の含まれた内服薬が追加されるかもしれません。
http://www.pirorikin.com/cat4/post_46.html

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今、注目を集めるわさびの新効能

野菜の中でも飛び抜けて高い血液サラサラ効果
体ポカポカ、冷え改善作用も

有効成分「わさびスルフィニル」が血栓を防ぎ、血液をサラサラにする。
そのパワーは、野菜の中でもダントツに強く、タマネギと同じレベルだ。
末しょうの血流がよくなり、冷えを改善することもわかってきた。

血液が27%も改善 わさびスルフィニルが効く
わさびをとって1時間後には、14人中13人で血流がアップ。平均で27%の改善が認められた。最初はドロドロして詰まり気味だった血液が、わさびを食べた後はスムーズに流れるようになっている。
   
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疲労回復で有名な梅干のパワー

梅干は梅を塩漬けした後に、日干しにした漬物で日本の伝統的な健康食品です。
例えば、全国有数の和歌山県紀州梅は皮は柔らかくて果肉は厚く、種も小さいので、収穫された70%が梅干に加工されます。
実際、町ぐるみの最新の研究では、梅干に胃癌などの病気予防に役立つことがわかってきました。
唾液の分泌を促して食欲を増進させたり、クエン酸の効能から疲労回復させたりと、梅干の独特の酸味には医者要らずと呼ばれるくらい健康効果が期待できます。
たんぱく質、脂質、カルシウム、リン、鉄分、ビタミン、有機酸を含み、腹痛を予防したりや血液をサラサラにする利点があります。
高血圧や腎臓病で塩分制限が必要な方を除いて、1日に2個くらいまでは気にすることなく食せます。

ピロリ菌の抗菌作用については細胞レベルでの研究が現在も進められています。実際、梅干を食べる習慣のある人ほど胃が健康で、ピロリ菌の感染度を極端に低いことが証明されています。

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蜂蜜には殺菌と消炎作用があり、患部の消毒にも使えます。口内炎の治療にも利用でき、医薬品として販売されています。
蜂蜜の味は花の種類で味、色、香り、成分が大きく異なってきます。
世界で最も生産量が多いのはクローバー、鉄分が多く黒砂糖に似た味がするソバ、日本国内の生産量が多いミカンやリンゴ、色が薄く香りも少なく癖のない味で好まれるレンゲなどがあります。
人間の健康維持に役立つことが知られており、新しい健康効果としてピロリ菌の除菌にも効果が期待できます。

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (6) 2020/4/19


もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「入口と出口のお話  2011年2月26日

いつものように最近仕入れたNHKの番組から、今回は偶然の組み合わせで、体に入る・出る・・の大事なお話になりました。

「噛む」ことの限りないほどの利点や効果は、最近よく聴きますが、その中でも唾液の働きは、消化や殺菌に限らず、免疫にも大きな働きをするようです。

私はガムを噛むように心がけています。1時間噛めば、食事で30回以上噛むのを充分に補うことが出来ます。
噛むことによって歯並び「噛み合わせ」にもいい影響を与えて、体の歪みによる腰痛とか肩こりなどに影響していると言われる噛み合わせのバランスを修整することにもつながるようです。

 

::: Web から

普段は気にしていない唾液の成分には、人が健康を維持し快適な生活を送るために必要な様々な機能があります。主な唾液の機能には、抗菌作用、粘膜保護作用、ph緩衝作用、歯の再石灰化、消化作用、自浄作用などでいずれもなくてはならない存在です。

【自律神経との関係】

唾液腺は、自律神経に支配されています。
リラックスした状態で食事をすると、副交感神経が働いて、サラ
ッとした唾液が出ます。そのためにスムーズに食事ができます。

ところが反対に、イライラしたり、ドキドキしたり、感情に起伏が
あると、交感神経が働き、ネバネバとした唾液が少し出ます。そ
のため、緊張すると食事がのどを通らなくなるのです。

【傷を治す成分】

唾液の中には、細菌に作用する物質が含まれています。

①リゾチーム
細菌の細胞膜を破壊して殺菌したり、抗炎症作用もあります。
涙液、乳汁などにも存在します。

②ペルオキシターゼ
細菌の代謝産物と、唾液にあるロダン塩に触媒として働きます。
そのときできた産生物が、細菌の代謝活動を阻害します。

ラクトフェリン
鉄イオンを吸着して、細菌が利用できなくなるので、発育が抑
制されます。

免疫グロブリン(IgA)
細菌が細胞にとりつくための機能をなくしてしまいます。もとも
とは血液中にも含まれている物質です。

【その他の働き】

唾液の中には、血管の壁や血小板に存在する血液凝固因子で
あるトロンボプラスチンによく似た物質が含まれており、この働
きで、止血作用があります。
またEGF(上皮細胞成長因子)が唾液中にあることで、傷口が
早くふさがることがわかりました。
このことから、唾液には細菌からの感染を防ぎ、止血して傷の
治りを早くする優れた作用があることが確認できます。

その他には、血液型判定、喫煙検査、そして最近では唾液で身
体の状態を調べる試みが行われており、唾液の研究も進みつ
つあります。
        (参考:唾液の科学)

・・・

今回のNHKの情報は、今までのそのような認識と理解を、さらに一歩進めるように思われます。

そして、あまり話題にはなりませんが、けっこう悩んでいる人も多いと言う・・出口のこと。

食物の消化・吸収に関わる「腸」の働きが、免疫の働きに大きく関わることは何度か書きましたが、それがこんなところにも影響していることがわかります。
私が、検査や薬に依存する医療に疑問をもち、体の変調や病気には何か日常の生活にそれなりの原因があるのではないか・・と思い、食事・運動・睡眠・呼吸・心の状況等を自分で知ることによって、生活をコントロールすることの必要性を、この番組を見てまた理解を深めたように思います。


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NHK総合テレビ  2011年2月9日放送 

脳と身体を刺激せよ!やる気の源は〇の裏に

「いつまでもイキイキ元気で暮らしたい!」
そんな皆さんの願いに応えるべく
今回スポットを当てたのは、
日頃何気なく行っている「噛(か)む」という行為。
「食べものを細かくして消化を助ける」だけだと
思ったら大間違い!
噛めなかった人が噛めるようになると、
驚くべきうれしい変化が起こることがわかってきました。

なんと、
「1年間歩けなかった人が
歩けるようになるまで回復した!」
という報告まであるのです。

その理由のひとつが、
噛むことが脳に与える想像以上の効果。
噛むことの意外な効果から、
知られざる入れ歯の効能まで!
噛んで食べることのすばらしさを
たっぷりとお伝えします。


どんな歯ごたえが好きですか?
食といえば、味や香りに注目が集まりがちですが、
忘れてはいけないのが食感。
「ポリポリ」「コリコリ」「シャリシャリ」など、
歯ごたえや食感は、「おいしさ」の大切な要素です。

歯ごたえを感じるのに重要な役割を果たす組織が、
今回の主役、「歯根膜」(しこんまく)!
歯の根っこにある薄い膜で、
歯にかかる力を敏感に感知することができます。
こんな優秀な組織が
口の中で活躍していたなんて、
今回取材をするまで全く知りませんでした。

歯が抜けるとき一緒にはがれ落ちてしまう歯根膜。
食の喜びをいつまでも味わっていただきたい。
そんな思いを込めて作りました。
日頃、当たり前すぎて気付かない「噛める幸せ」を
噛みしめてもらえたらうれしいです。


奇跡の噛(か)むバック物語
「歩けなかった人が・・・・
噛めるようになると・・・
庭仕事をするほど元気になった」
「ほぼ寝たきりだった人が・・・
噛めるようになると・・・
散歩ができるほど元気になった」

全国で、同様の報告が相次いでいます。
いったいなぜ
こんな信じ難いことが起こりうるのでしょうか。

もちろん口から食べることで
適切に栄養摂取ができるようになったことは
大きな要因だと考えられます。
しかし、それ以上に、
噛むことが脳にもたらす影響が注目され、
多くの研究が行われているのです。


歯と脳のふか~い関係
「噛(か)むこと」と「脳」の深い関係。
そのカギを握るのが、
歯の根っこにある「歯根膜」(しこんまく)という組織です。

歯を守るクッションの役割をするとともに、
歯にかかる力を精密に感知する
優秀なセンサーでもあります。
口の中にはたくさんのセンサーが存在しますが、
噛むときに非常に重要な役割を果たすのが歯根膜です。

歯根膜のセンサーにある神経は、脳神経の中でも最も太い
三叉(さんさ)神経につながっています。
噛むことによる歯根膜への刺激は、脳の中枢に送られ、
脳の中の「運動」や「感覚」をつかさどる部分や
「記憶」や「思考」、そして「意欲」に関係する部分まで
活性化させることがわかってきました。

ほぼ寝たきりだった人が、
歩けるまでに回復することがあるのも、
噛むことで脳の広い範囲が活性化されることが
関係していると考えられています。


歯は姿勢・バランスにも影響
入れ歯を「入れた時」と「外した時」で違いがあるのか、
総入れ歯の女性に協力していただいて実験を行いました。
すると、入れ歯を外しただけで、
力が入りにくくなるだけではなく、
体のバランスを崩しやすくなることがわかりました。

なぜこのようなことが起こるのか。
実は、私たちが姿勢を保つのに重要なのが、
上あごに対する下あごの位置だったんです。
入れ歯を入れていないと、
噛(か)み合わせられないために下あご位置が定まらず
身体のバランスもフラフラしてしまうんです。

一方、きちんと合った入れ歯を入れると
アゴの位置が定まり、
バランスを取りやすくなると考えられています。
身体のバランスを保つためにも
歯は重要な役割を果たしていたのです。

試しにこんな実験を行いました。
2,30代の男女にプールに集まってもらい、
足に浮輪をつけて、うつぶせの状態で
プカプカ浮いてもらったところ・・・

アゴの位置を右にずらして噛むと
体全体が右に動くという
興味深い現象が起こりました。
左にずらして噛んだときは、体は左側へ・・・。
興味のある方は、プールなどでぜひお試しを!


少しでもたくさん噛(か)みたいアナタヘ!
「噛むこと」には、集中力を高めたり、
だ液の分泌量をアップしたり、食べ過ぎを防いだりと、
若く健康な人にとっても、うれしい効果が満載。
でも、意識してたくさん噛むのは難儀なもの。

そこで!
自然と噛む回数が増えちゃうコツを探しました。
それは・・・
食べるときに、一度に口に入れる量を少なくすること。

ためしてガッテンが行った実験では、
同じ量のカレーライスを食べるときに
使うスプーンを大さじから小さじに変えると
一皿あたりの噛む回数が、1,5倍以上に増えました。

一口の量を少なくしても、一口あたりの噛む回数は
それほど変わりませんでしたが、
スプーンを口に運ぶ回数が大幅に増えたため、
一食あたりの噛む回数も1.5倍になったのです。


今回のお役立ち情報
入れ歯に関するQ&AQ 1本でも歯が抜けたら入れ歯を入れるべき?
一本でも歯が抜けると、周囲の歯が倒れてきたり、
反対側の歯が伸びてきたりするなど、
他の歯にも影響を与えてしまう可能性があります。
できるだけ長く噛(か)む機能を維持するためにも
原則的には1本でも入れ歯を入れることが望ましいとされています。

Q 入れ歯が合わないのだけど・・・
入れ歯作りには根気が必要です。
総入れ歯を作る際には、
少なくとも3~4回の調整が必要だと言われています。
また新しい入れ歯に慣れるまでにも時間がかかります。
最初は軟らかい食べ物で訓練するなど、
少しずつ慣らしていくことが重要です。

Q 入れ歯を入れられない場合は?
口の中をキレイにしたり、
歯茎を刺激するだけでも脳への刺激という意味で、
大変効果があります。
たとえ口から食べることができなくても、
口の中のケアを行ってください。

Q 入れ歯でも噛むことによる健康効果を得られるの?
歯が抜けると、
脳を刺激する役目をしていた歯根膜もなくなってしまいます。
しかし、きちんと入れ歯を入れて噛み続けることで、
口の中の粘膜など他の部分のセンサーが
歯根膜の代用として働くことがわかっています。
健康のためにも、自分に合う入れ歯を入れて、
楽しい食生活を送りましょう。

Q 入れ歯の手入れについて教えて。
毎食後に入れ歯を外してお手入れをすることをお勧めします。
入れ歯に水をかけながら、歯ブラシや入れ歯専用ブラシを使って
食べかすをきれいに洗い流してください。
このとき、入れ歯専用の歯磨き粉を使っても構いません。
また、入れ歯洗浄剤は、
きちんと歯ブラシで食べかすを取り除いてから使用してください。


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NHK総合テレビ  2011年1月26日放送

お尻の悩みNo.1痔(じ) 誰にも聞けなかった話

テーマはお尻の悩みの代名詞「痔(じ) 」。
患部の場所が場所だけに、あまり普段会話にのぼることもなく、
実態がわかりにくい病気です。
ところが、最新の統計によると、
1か月で2万件以上も痔の手術が行われていることが判明。
人知れず悩む患者さんがたくさんいることがわかってきました。
その背景にあるのは、痔に対する間違ったイメージ。
痔と言えば・・・
「固いモノが出て切れるだけのこと」、「お尻を清潔にさえしていれば問題ない」、
「薬だけで簡単に完治できる病気」などなど。
このように、痔を軽く見ていた結果、症状をより悪化させてしまい、
手術にまで至るケースが続出していたのです。
番組では、そんな痔の簡単な予防・改善のコツと最新治療の情報をお伝えします。


質問です。自分の肛門、見たことありますか?
今回、痔の番組を作るにあたって、数百人にアンケートをとりました。
見出しの質問は、設問の中の1つです。
結果は、8割以上の人が「1度も見たことがない」と回答しました。

恐らくこの中には、恥ずかしくて本当のことを書けなかった人も含まれていると思います。
でも・・・、それを差し引いたとしても・・・です。
思春期を過ぎた大多数の成人の方々に、
「1度も見たことがない」と宣言されてしまう肛門って、
ちょっと気の毒な存在だと思いませんか?
体の中でも、長年ほぼ毎日酷使され、
かつお風呂などではわたしたちにいつも触れられている部分でありながら、
「おまえなんか知らない」って言われているようで・・・。

今回の取材で、1か月に2万件以上も痔の手術が行われていることがわかりましたが、

予防・改善のコツは、わたしたちが普段ほとんど無視している
この肛門をちょっと気にかけてあげることから始まります。
見たことがある人もない人も、ほんの少しだけ肛門に優しくなってもらえれば・・・。

そんな思いで番組を作りました。


トイレでお尻をふいたら血!放置していたら・・・
20代の女性Aさんは、10年近くもの間「ある症状」が気にかかっていました。
それはお尻からの出血です。
始まりは高校生の時、排便後にお尻をふいたところ、
少量の血が紙についていることに気づきました。
さらにその後、ある時、排便してから便器を見ると、
真っ赤な鮮血が飛び散っていることにも気づきました。
ところが、Aさんは病院に行くことは一度もありませんでした。
それはなぜでしょうか?
その理由は「痛くないから」という意外なものでした。
そこで、番組で痔の疑いのある人にアンケートをとったところ、やはり同様。
「病院に行くほどではない」、「ガマンできないほど痛いわけじゃない」
などの意見がたくさん寄せられたのです。
鮮血まで出ているのに、一体どうしてこんな不思議なことが起こってしまうのでしょうか?


「ちょっと切れただけ」と放置していたら悲劇が・・・!
「病院に行くほどではない」
と様子を見ていた60代の女性Bさんを「ある悲劇」が襲いました。
なんと“お尻の穴におデキ”ができてしまったのです。
その正体は痔核(じかく) 。
一般的に「イボ痔」と言われているもので、痔の人の約6割がこのタイプです。
どうして、痛くないただの出血が、このような結果になってしまうのでしょうか?

その答えは、お尻の穴の奥、「便の通り道」の構造に隠されていました。
実は便の通り道は、妊娠8~10週目ごろになってはじめて人間の体に発生します。
しかもそれは、直腸側の管と肛門側の管がドッキングすることで、
一本の通り道になっていたのです。
恐ろしいことに、イボ痔は、この「合わせ目」の内側、
つまり直腸側にできるものがほとんどです。
実は直腸側には痛みを感じる神経が通っていません。
そのため、便が通る時に、イボ痔が傷つき出血しても、
ほとんど痛みを感じることがないのです。
結果的に、放置する人が多く、時とともにイボ痔はどんどん成長。
やがて、お尻の穴の外に出てしまうほど悪化してしまいます。
また、「合わせ目」の外側(肛門側)には、
痛みを感じる神経が通っているため激痛を伴う場合も。
こうなると日常生活の大きな負担になり、手術で切り取ることもあるのです。
一体どうしてこんな場所にイボ痔ができてしまったのでしょう?


「自分は関係ない」と思っていたら8割以上が痔もち?!
ある海外の報告では、800人以上の肛門を無差別に検査したところ、
86%にイボ痔が見つかりました。
そこで番組で、人間に近いチンパンジーの肛門を検査したところ、
どのチンパンジーからもイボ痔は1つも見つかりませんでした。
どうして人間にだけイボ痔ができてしまうのでしょう?
最初のポイントは、肛門の位置です。

チンパンジーは四足歩行のため、心臓と肛門の高さがほぼ同じ。
その結果、心臓を出た血液は肛門へ向かった後、スムーズに戻ってくることができます。

ところが人間の場合、二足歩行なので肛門の位置は下がります。
そのため、重力の影響で血液が心臓に戻りにくくなります。
つまり、うっ血を起こしやすくなるのです。
イボ痔とは直腸の血管の病気だったのです。

さらに恐ろしいポイントは、何気ない排便時のいきみです。
番組の実験によると、少しいきむだけで200(mmHg)近くも
肛門の中の圧力が高まることが判明しました。
すると、便は直腸を通過する時、直腸の壁を押し広げます。
ただでさえうっ血しがちな肛門の血管が強く圧迫されるのです。
結果的に、いきみをくり返すことでイボ痔はふくらんでしまうのです。
イボ痔が大きくなると、便がないのに便があるように感じ、さらにいきみます。
悪循環に陥るのです。
イボ痔の原因は、わたしたちの何気ない生活の中に隠されていました。


自宅でできる予防・改善の鉄則
誰にできてもおかしくないイボ痔ですが、自宅できる予防・改善のコツはあります。
ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
※下記はあくまで目安です。病状次第で改善効果は異なります。

1.便座で3分以上いきまない!
「長時間のいきみ」は、本来生き物の自然な行為ではありません。
便の7~8割は最初のいきみで出てしまっているとされ、
実はさして便意を感じていない状態で無理に押し出そうと
長時間いきむケースがほとんどです。
便座で3分を超えても便意がない場合は無理にいきまず、
いったんトイレから出ることをおすすめします。

2.便秘・下痢を防ぐ食習慣を!
長時間のいきみを招く最大の原因が、排便トラブルです。
改善のコツは、朝30分ほど早く起きてコップ一杯の冷たい水や牛乳を飲みます。
その後ボリュームのある朝食をとる習慣を心がけてください。
すると、このタイミングで胃腸の動きが活発になるため、
自宅で便意が生じやすくなります。
結果的に外出先で便意をもよおす機会が減るようになり、適切な排便習慣につながります。

3.入浴して肛門の血行を改善!
血行の改善はイボ痔の予防・改善につながります。
肛門を入浴で温める習慣をつくってください。
ただし、肛門の周りが化のうしてしまう「痔ろう」というタイプの痔になると、
一時的に痛みなどの症状が和らいでも、
後でかえって化のうを悪化させてしまう場合があります。
ご注意ください。


けっこう簡単?!痔の最新治療
イボ痔の治療法の中で代表的なものを紹介します。
※病状や痔のタイプによって治療法は異なります。
どれが適切かは医師の診断をあおいでください。

1.排便・食生活の改善
代表的なものは次の3つです。
(1)便座で3分以上いきまない
(2)便秘・下痢を防ぐ食習慣
(3)入浴して肛門の血行を改善
(詳しくは「自宅でできる予防・改善の鉄則」の項目を参考にしてください)

2.薬物療法
市販薬の多くは、排便時に肛門を刺激しないための「潤滑油」としての役割があります。

したがって「1」で挙げた生活改善を合わせて行えば改善効果が期待できます。

3.ALTA(アルタ)療法
注射でイボ痔を縮小させる治療法です。
手術をしなくて済んだり、切り取る部分を少なくできます。
症状次第では日帰り治療も可能になり、
患者の負担を大幅に減らしてくれるようになりました。
ただし、イボ痔ができる場所によってはこの治療は適応できません。


お尻になにが起きたら病院に?
実際に病院に行った方がいい目安の中で代表的なものを挙げます。
1.排便時に出血する
たまたま固い便が出て少量の血が出ることは誰しもありますが、
習慣的にそんな症状がある人、または便座に鮮血が飛び散るほど出血したことのある人は、
一度、大腸・肛門科を受診されることをおすすめします。
痔だと思って受診した人の内、
6%が大腸がん・ポリープができていたという調査結果があります。

2.排便時に異物感がある
排便時に“何か”が出たり引っ込んだりする違和感があれば、多くの場合はイボ痔です。

悪化すると、次第にイボ痔が外に飛び出し戻らなくなることもあります。
早期であれば、治療の負担も減りますので、やはり一度大腸・肛門科を受診してください。


今回のお役立ち情報
ひょっとしてイボ痔?病院に行く目安は?

1.排便時に出血する
たまたま固い便が出て少量の血が出ることはありますが、
習慣的にそういった症状が出る人、
または便座に鮮血が飛び散るほど出血したことのある人。
痔だと思って受診した人の内、
6%に大腸がん・ポリープができていたという調査結果もあります。

2.排便時に異物感がある
排便時に“何か”が出たり引っ込んだりする違和感があれば、多くの場合はイボ痔です。

悪化すると、次第にイボ痔が外に飛び出し戻らなくなることもあります。
早期であれば、治療の負担も減りますので、やはり一度大腸・肛門科を受診してください。


イボ痔の予防・改善の3大鉄則は?

1.便座で3分以上いきまない
「長時間のいきみ」は本来自然な行為ではありません。
便の7~8割は最初のいきみで出てしまっているとされます。
便座で3分を超えても便意がない場合は無理にいきまず、
いったんトイレから出ることをおすすめします。

2.便秘・下痢を防ぐ食習慣を!
長時間のいきみを招く最大の原因が排便トラブルです。
改善のコツは、朝30分ほど早く起きてコップ一杯の冷たい水や牛乳を飲みます。
その後ボリュームのある朝食をとる習慣を。
すると、このタイミングで胃腸の動きが活発になるため、
自宅で便意が生じやすくなります。

3.入浴して肛門の血行を改善!
イボ痔は肛門付近の血液が滞る「うっ血」が関係しているため、
血行を良くすることはイボ痔の予防・改善につながります。
肛門を入浴で温める習慣をつくってください。
ただし、肛門の周りが化のうしてしまう「痔ろう」というタイプの痔になると、
一時的に痛みなどの症状が和らいでも、
後でかえって化のうを悪化させてしまう場合があります。ご注意ください。
※ただし、病状次第で改善効果は異なります。

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (5) 2020/3/28

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「座っている時間を短くすることが健康の秘訣かもしれません」2011年1月21日

この季節、フロにつかっているときが何よりもゴクラクですが、その危険性も知って気をつけなければいけないこともあるようです。

私はこの数年、肩まで湯に浸かることはあまりなくて、エネルギー節約のこともあって、大体はミゾオチあたりまでにしていますが、いきなり湯の中に入ったり、ことに今の時期はフロから出るとき、40度から室温10度に急冷しての「血圧の急変」には気をつかいます。

下にコピーした町医者の言葉を聴き、具体的な数値を見て・・私も認識を改めるきっかけになりました。
確かに、私たちは「血圧は、身長のように一定の値だと思っている」ようです。季節や寝ているときと昼の活動時の違いは、誰でも多少の違いは理解しているようですが、「血圧は刻々と変化している」という認識はあまりなかったようです。

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コレステロール・・最近も、ある程度高いほうが長生きだとか・・・いろいろ言われています。TVで見た「むくみ・静脈瘤」についても言えることですが、健康にとって重要なことは何よりも「血流」で、私の考えでは・・一万歩とか筋トレ等の運動ということも大事ですが、その前に先ず「座りっぱなしの生活がよろしくない」・・・ということではないかと思って、座っているときも気が付いたときに足踏みしたりしています。

血液の流れは、東洋医学で「気・血・津(水)」と言われるように、気(元気・活気・やる気・・など)の流れがよくないと、血液の流れも滞ってしまうようです。
気の流れは、私がいま最も関心を持っていることで・・要するに心の問題です。ある程度は必要としても、ストレスによる交感神経過剰の現代人の生活・・つまり心が体を蝕んでいる、その反対に体の不調は不安・葛藤などを招いて心を苦しめます。

前にも書きましたが、私にとっての健康法は・・副交感神経を高めて心と体の働きを少しでも調和させるために、日常生活の中で「呼吸法」に取り組んでいますが、このことについてはまた書くことがあるかとも思います。

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〈血圧変動にご注意〉    朝日 : 町医者 長尾和宏  2011/1/4

毎年、お正月に、お餅を喉に詰める人が必ずいます。
同じく、血圧で倒れて救急車で運ばれる患者さんもいます。
何度も書きますが倒れる場所は、「トイレ」と「浴室」。

寒い場所では、想像以上の血圧変動が起きます。
120の人が、一気に200まで上がったりします。
一瞬にして、心臓や脳に異変が起きます。

血圧は、身長のように一定の値だと思っている人が多い。
結果が160であっても、普段は120だ、と納得されない。
家は家、診療所は診療所、と根気よく説明します。

血圧は生き物。
一拍、一拍、みんな違います。
例えば不整脈の血圧は、その一拍だけ少し低くなります。

寒いところに出た瞬間、40も上昇し、
長湯した後には、40も下がる。
深呼吸3回だけでも、10も、下がります。

寝ている間は、通常は、1日の中で一番低い。
一方、激しく怒ると、ぐっと50も上がる。
ならば最低と最高の差は、一体どれくらいあるのか?

もちろん個人差はあるでしょう。
50程度も方もいれば、100を超える方もいるでしょう。
いずれにせよ、血圧は刻一刻と、変化しているものです。

それを、たまたま診察室内で測ったものを「来院時血圧」、
自宅で起床時や就寝前に測ったものを「自宅血圧」と呼び、
それぞれの情報を総合しながら、「血圧の評価」を行います。

ですからある一点の血圧値で全てを判断する訳ではありません。
あくまで変動幅、変動時間などで総合的に考えるのが、「血圧」。
しかし、一瞬の血圧値で、取り消せない事故が起こるのも事実。

そんな、血圧管理の重要性をあらためて認識するのが、
日本の「冬」です。とはいえ日本は、実に広い。
氷点下になる地域の方は、特にご注意ください。

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2011年1月19日放送 NHK総合テレビ

本当に血管が若返る!コレステロール調節術
今回の番組について
コレステロールと言えば、血管にたまって動脈硬化を引き起こし、
心筋梗塞など命に関わる病気の原因となる悪いやつ・・・というのはもはや常識。
誰もが一度は聞いたことがある善玉・悪玉の話や、
コレステロールを下げる食品の話など、さまざまな情報があふれています。
ところが今回、番組が調べてみたら、
意外にもコレステロールについては知らないことが、た~くさん。
例えば・・・。
「卵に含まれているコレステロールは善玉?悪玉?」
この質問に、自信をもって答えられる人は、驚くほど少ないんです!
意外と知らないコレステロール、今さら聞けない基本から最新情報まで、一挙公開です。

番組ディレクターのひとこと
コレステロールは栄養!
コレステロール=悪いもの」というイメージがすっかり定着していましたが
「体にとって重要な栄養素の1つ」でもあるんですね。
コレステロールを減らそう」と、がんばり過ぎて、
「低栄養」になってしまうケースもあるとのこと。
気をつけたいです。


最新研究 血管は若返る!
血管の内側にコブのようなふくらみ(=プラーク)ができる「動脈硬化」。
これまでは、プラークを「大きくならないようにする」ことはできても、
「小さくする」ことはできないと考えられてきました。
しかし、最新の研究ではそれが変わってきています。
実際の患者さんの血管の中で、
いわば「血管若返り」といえる現象が起きることが分かってきたのです。
狭心症を患った、ある患者さん。
「血管内視鏡」という最先端の検査機器で、心臓の血管の中を直接見てみると、血管の壁が黄色く変色していました。
コレステロールがたまり、動脈硬化を起こしていたのです。
しかし、治療を続けて1年半、再び内視鏡検査を受けたところ、
なんと壁の色が健康な白色に!
超音波エコーを使った検査でも、動脈硬化が改善していることが分かりました。
動脈硬化を改善する方向へ進める主役となる物質は、“善玉コレステロール”です。
コレステロールの話で必ずといって良いほど出てくる、善玉・悪玉という言葉。
2つのコレステロールには、一体どんな違いがあるのでしょうか?


善玉・悪玉って何が違うの?
コレステロールは細胞を包む膜(=細胞膜)の材料で、すべての細胞に含まれています。

でも、細胞の中のコレステロールは善玉でも悪玉でもありません。
いわば、ただのコレステロール
実は、善玉・悪玉と呼ばれるのは「血液中を運ばれているとき」だけなのです。
血液中でコレステロールを運ぶのは「たんぱく質」です。
たんぱく質には、大きく2種類あり、
肝臓から細胞へと新しいコレステロールを配達するものと、
細胞から古いコレステロールを回収して肝臓へ捨てに行くものがあります。
いわば配達トラックと回収トラックです。
この、配達トラックと積み荷のコレステロールをあわせて“悪玉コレステロール”と呼び、
回収トラックと積み荷のコレステロールをあわせて“善玉コレステロール”と呼んでいます。
積み荷のコレステロールそのものは同じ。
運んでいるトラックと、運ばれていく方向が違うだけなのです。
ですから、卵などの食品に含まれているコレステロールにも
善玉、悪玉という区別はありません。
私たちが食べた後、吸収されたコレステロールが血液中を運ばれるとき、善玉になったり悪玉になったりするのです。
さて、配達と回収はどちらも人体にとって大切な働きです。
なぜ、配達は悪玉、回収は善玉と呼ばれているのでしょうか?


驚きの“善玉”効果
食生活のバランスが崩れたりして、配達トラックが血液中に増え過ぎると、血管の壁の中にコレステロールが入り込んでしまいます。
すると、白血球の一種であるマクロファージがやってきてコレステロールを食べ、掃除しようとします。
しかし、マクロファージにはコレステロールを分解する力がありません。
食べ過ぎたマクロファージは死んでしまい、どんどん血管の壁の中にたまっていきます。

こうしてできるのがプラークなのです。
配達トラックは増えすぎると動脈効果を起こしてしまうので、
“悪玉”と呼ばれているのです。
一方、回収トラックは、細胞から余分なコレステロールを回収する役割なので“善玉”と呼ばれます。
でも、これまではプラークを小さくする程の力はないと考えられていました。
ところが最近では、それができるということが分かってきたのです。
回収トラックは、いったん進んでしまった動脈硬化を改善してくれる、
まさに“善玉”コレステロールだったのです。
それでは、回収トラックを増やすにはどうしたら良いのでしょうか?


善玉を増やす方法 大公開!
善玉を増やす方法を聞きに、ある大学の女子学生グループに会いに行きました。
この年代の“善玉コレステロール”平均値は、およそ65mg/dl。
ところが彼女達はほとんどが90mg/dl以上、100mg/dlを越える人も少なくありません。

実は、彼女達は陸上の長距離選手。毎日のように朝晩2回のランニングをしていたのです。
善玉を増やすには「有酸素運動」が有効です。ランニング以外の運動でも大丈夫。
1日に歩く歩数が多ければ多いほど、善玉の値も高くなることが分かっています。
ところで、運動で“悪玉コレステロール”値を下げようとしている方は多いですが、
運動には悪玉を低下させる直接的な効果はないことが分かってきました。
「運動しているのにコレステロールが下がらない」
とお悩みの方も、ガッカリすることはありません。
悪玉が下がらなくても、善玉が増えれば回収する力が上がるので、
動脈硬化を改善する方向に向かうと考えられています。


男女で違う!コレステロールの危険度
コレステロールで悩む60代のご夫妻。
3年前の“悪玉コレステロール”値は妻178mg/dl 、夫143mg/dl でした。
基準値は140mg/dlですから、妻はかなり高い値です。
そこで、2人の血管が、どのくらい動脈硬化しているのか、血管の硬さを測る検査や、 超音波で頸(けい)動脈を見る検査(頸動脈エコー)などで詳しく調べてみました。
すると、妻はほぼ正常でしたが、夫はかなり動脈硬化が進んでいるという結果!
夫の方がコレステロール値が低いのに、どうしてこんな結果になったのでしょうか?
実は、動脈硬化の進行は男女で大きな差があるのです。
女性ホルモンには、“悪玉コレステロール”値を下げる作用をはじめ、
血管を保護する様々な効果があります。
そのため、40代までの間、女性の血管は男性よりはるかに若く保たれています。
女性ホルモンの値が下がってくる 50才前後になると
“悪玉コレステロール”値が急上昇して、男性より高くなることも多いですが、
動脈硬化はすぐには進みません。いわば“若さの貯金”があるのです。
一般に女性の血管は男性よりも10才若いと言われます。
この違いがひと目で分かる表がありました。それは・・・。


あなたの危険度はどのくらい?
コレステロール値が最も大きく影響する病気は心臓病です。
そこで、およそ1万人の日本人を19年間調査した結果をもとに、
コレステロール値」と「心臓病」の関係を示す表が作られました。
出典:NIPPON DATA80 (一部改変)
滋賀医科大学島弘嗣名誉教授
女性は同年代の男性に比べて、はるかに危険度が低いことが分かります。
しかし、喫煙、高血糖など他の危険因子がある場合、女性でも危険度は高くなります。
特に、血糖値が高い場合は男性よりも危険になる場合もあるので注意が必要です。
コレステロールの治療を受けている方は、医師の指示に従って下さい。


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朝日新聞の医療サイト「アピタル」
世界中の最新医学論文から、坪野吉孝・東北大大学院教授が、興味深いものをわかりやすくかみ砕いてお届けします。

余暇、座る時間で死亡率に差 坪野吉孝 《東北大教授》

余暇時にテレビを見るなどして座っている時間が長いほど、何らかの原因で死亡するリスク(総死亡率)が高くなるという論文が米国疫学雑誌に8月掲載された。
米国の50~74歳の男女12万3216人を対象にした。余暇時に座っている時間について、「過去1年、平均的な日に(仕事に費やす時間を含まず)、1日何時間座って(テレビを見る、読書をするなど)過ごしましたか」と尋ねた。
14年間の追跡の結果、余暇時に座っている時間が1日3時間未満の場合と比べて、3~5時間の場合の男性の総死亡率は1.07倍、6時間以上だと1.17倍だった。女性では1.13倍と1.34倍だった。余暇時の運動時間が同じでも、座っている時間が長いほど総死亡率が高かった。
座っている時間と運動時間を組み合わせての分析も行った。座っている時間が1日3時間未満・運動時間(ウオーキング換算)が週15時間以上の場合と比べ、座っている時間が1日6時間以上・運動時間が週7時間未満の場合、総死亡率は男性1.48倍、女性1.94倍と高かった。座っている時間と運動時間を組み合わせて分析したのは今回の研究が初めてという。

運動時間が長ければ座っている時間は短くなりそうだが、今回の対象者では、運動時間が長くても、座っている時間は短い場合も長い場合もあった。そのうえで著者らは、肥満などの対策には、運動だけでなく、余暇時に座っている時間を減らすことを含めるべきだと結論付けている。
研究の問題として、仕事で座っている時間や運動時間が考慮されていない点が挙げられるが、著者らは、この点の影響は小さいと考えている。対象者の多くは仕事をしていない退職者か家事従事者で、しかも、このグループに限った分析でも結果は変わらなかったからだ。とはいえ今後は、余暇と仕事を合わせた生活状況の全体をより正確に把握するために、仕事で座っている時間や運動時間も考慮に入れた研究が必要だろう。
(2010年11月29日付 朝日新聞東京本社夕刊から)

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NEAT(非運動性活動熱発生)をご存知ですか?

座っている時間を短くすることが健康の秘訣かもしれません
以前(2009年12月号)に定期的な運動習慣をつける事が健康を保つのに重要である事をお話し致しました。よく効果的な運動の方法を教えて欲しいという意見も頂戴しますが、理想的な運動習慣であっても続かなければあまり意義がありません。継続こそ力なりです。継続のコツは必ずしも理想的な内容をやる事ではなく、できる事・続けられそうな事・楽しい事に取り組む事だと思います。
さて今回は運動によらない身体活動のエネルギー消費であるNEAT(Non-Exercise
Activity Thermogenesis)に関する話です。身体活動にはスポーツやジョギングなどの運動と、家事や通勤時の歩行などの日常生活活動とに分けられます。NEATは日常生活活動にほぼ相当します。

現代人は運動不足に陥っていますが、これはNEATの減少が大きな原因と考えられています。科学が進歩し生活が便利になったがために、現代人は日常生活で動かなくなってしまったのです。そしてNEATの減少は肥満の原因にもなっています。ある研究では、肥満の方ほど座っている時間が長い事が報告されています(*1)。
図に示しましたように、肥満の方は座っている時間が1日あたり571分、立っている・動いている時間が1日あたり373分である一方で、肥満でない方は座っている時間が1日あたり407分で150分以上も座っている時間が短い事が報告されています。長い座位時間の主原因となるのがテレビですが、テレビの視聴時間が長いと死亡率が高くなる事も報告されています(*2)。
1日のテレビ視聴時間が2時間未満の方と比較して、4時間以上の方では早期死亡(壮年期・中年期に亡くなる)の危険性が1.67倍、特に心筋梗塞脳卒中に関しては2.12倍も高くなる事が報告されています。

現代人の健康問題としてNEATの減少が主な原因の一つであるならば、NEATを増やせば肥満が防止できたり、健康寿命が延びたりするのではないかと期待されるわけですが、それを示した研究結果をいくつか紹介したいと思います。
米国ノースカロライナ州での研究(*3)ですが、通勤に自動車ではなく路面電車を利用するようになった方では、12~18ヵ月後に体重が平均約3.4Kg減少(身長が170cmの場合)していました。路面電車を利用する事でNEATが増えた事が減量につながったと考えられます。次に健康寿命を延ばすのに、NEATを増やす事が効果的である事を示した研究を2つ紹介いたします。
まず、米国での14年間にわたる観察研究(*4)ですが、余暇の時間に座っている時間が短い方(1日3時間未満)では長い方(1日6時間以上)に比べて死亡率が低く、身体活動による消費カロリーが同じであっても、女性で約27%、男性で約15%死亡率が低かったと報告しています。次に、日本人を対象とした研究(*5)ですが、表をご覧下さい。運動に該当するスポーツをする時間が多い方は、ほとんどない方に比べて脳卒中心筋梗塞などで亡くなる危険性が少なくなり、定期的な運動が大事である事が改めて証明されていますが、今回注目して頂きたいのは、NEATに該当する歩行時間の結果です。歩行時間が1時間以上の方は30分未満の方に比べて、38%も脳卒中心筋梗塞で亡くなる危険性が少ないという結果でした。
1日の平均歩行時間と心血管疾患死亡リスク
30分未満30分程度1時間未満1時間以上
基準26%減少37%減少38%減少

1週間の平均スポーツ時間と心血管疾患死亡リスク
ほとんどなし1~2時間3~4時間5時間以上
基準7%減少18%減少32%減少

このように定期的な運動ももちろん大事で、積極的に行って頂きたいのですが、NEATを増やす事も健康のためにとても重要である事がご理解頂けたでしょうか。“NEATを増やす=座っている時間を短くする”です。
“座るより立つ。さらに歩く”という事を意識して頂ければ、自然とNEATは増えます。例えばテレビは、一般的には座って見ますが、立って見るようにしてみてはいかがでしょうか。さらに足踏みしながら見るようにすればもっと効果的でしょう。また月並みではありますが歩数計活動量計をつけて日々記録(手帳でもいいですしコンピュータに記録するのもいいでしょう)する事もお勧めです。歩数などを意識する事で自然と歩行時間が増えます。筆者も3年以上前から毎日の歩数などを記録しています。


長時間の勤務、特にデスクワークでコンピュータを使い続けていると、肩こり、腰痛、目の疲れ、頭がボーッとする等の症状を引き起こします。適度に休憩をとり、体操などを行うと疲労感は軽減します。また、栄養ドリンクやコーヒーなどを飲用するとカフェイン等の作用で疲労感は軽減します。しかし、疲労感が軽減するのは「マスク」と呼ばれる現象であり、体感する疲労感が一時的に誤魔化されただけで、疲労そのものが改善した訳ではありませんから、無理を続けると過労になる危険があります。

疲労を改善する方法は、休息を取る、睡眠を取る、ということです。
一日に最低6時間は睡眠をとる事が推奨されており、それ以下の睡眠では血糖値の上昇や血圧上昇などの原因となることが報告されています。

食事では、疲労を改善する物質「イミダゾールジペプチド」を摂取すると良いでしょう。これは、とりのむね肉に多く含まれ、1日に50gを食べると有効な量が摂取でき、2週間続けると効果が認められると報告されています。

また、食事で摂取した栄養から効率的にエネルギーを作る「クエン酸」も十分摂りましょう。ユズ、カボス、レモンなどに含まれ、レモン1日2個で必要な量が取れます。

日頃から適度な運動で基礎体力を維持すること、カイロプラクティックで神経系の機能を整えること、鍼灸で気を整えることなどが、疲労物質を処理する身体機能を維持するうえでも重要でお薦めです。

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長時間のTV視聴が心血管疾患関連死リスクに
 ベーカーIDI心臓・糖尿病研究所(オーストラリア・メルボルン代謝・肥満部門身体活動研究室のDavid W. Dunstan室長らは,1日のTV視聴時間が1時間増加するごとに心血管疾患
(CVD)関連死リスクが増大するという研究結果を発表した。
 
1時間ごとにCVD関連死リスクは18%増大

 今回の研究では,1999~2000年に25歳以上の男性3,846例と女性4,954例を登録し,面接と経口糖負荷試験,血中コレステロール値や血糖値などの生物マーカーの評価を行い,2006年まで追跡した。面接では,過去7日間のTV視聴状況を聞き,1日2時間未満,2~4時間,4時間を超える群に分類した。CVD既往者は解析から除外した。

 6年以上の追跡期間中に284例が死亡し,うち87例はCVD,125例はがんが原因であった。


 研究の結果,がんとTV視聴との間の関連は弱かったが,TV視聴時間とCVD死の増加や全死亡増加との間には,典型的なCVD危険因子とライフスタイル因子の調整後も直接的な関連が認められた。

 また,1日のTV視聴時間が1時間増すごとに,全死亡リスクが11%,がん死亡リスクが9%,CVD関連死亡リスクが18%,それぞれ増大することが確認された。

 さらに,1日のTV視聴時間が2時間未満の人と比べ,4時間を超える人では全死亡リスクが46%,CVD関連死亡リスクが80%増大することがわかった。この関連は喫煙,高血圧,脂質異常症,不健康な食事,ウエスト周囲径の増大,余暇時間における運動不足など他の独立した古典的CVD危険因子と関係なく認められた。

 今回の研究はTV視聴に焦点を合わせているが,この結果はデスクワークやパソコン使用などの長時間動かない生活が,総じて健康に悪影響を及ぼすことを示唆している。

 Dunstan室長は「ヒトの身体は動くようにつくられており,長時間座るようにはできていない。人は日常生活のなかで身体の筋肉を動かしていたが,そうした生活のなかの大部分を座って過ごすようになってしまった。技術,社会,経済の変化により,昔ほど筋肉を動かさなくなり,その結果,生活のなかでのカロリー消費は減少している」と指摘している。
Medical Tribune 2010-2-18

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2010年7月30日(金)
座っている時間が長い人は短命?
 座って過ごす時間が長い人ほど寿命が短くなる・・・
 
 これは、米国アトランタの米国ガン協会(American Cancer Society)に所属するAlpa Patel博士らによる研究結果で、医学誌『American Journal of Epidemiology』2010年7月22日号に掲載されています。

 この研究では、特に病歴のない成人(男性53,440人、女性69,776人)を対象として1993年から2006年にかけて14年間追跡調査がおこなわれています。調査期間中に、男性11,307人、女性7,923人が死亡しています。

 BMIや喫煙による影響を取り除いた調査の結果、1日6時間を座って過ごす人は、座る時間aが3時間未満の人に比べて、死亡リスクが女性で34%、男性で17%高くなっていることがわかりました。 

さらに、長い時間座って過ごし、なおかつ運動をあまりしない人に限ってみれば、座る時間が短い人に比べて、女性で94%、男性で48%死亡リスクが高くなっていたそうです。 また、今回の研究では、死因としてガンよりも心疾患の比率が高かったようです。 

この研究で興味深いのは、「運動をすれば死亡リスクをいくぶん軽減することはできるものの、運動(physical activity)を考慮に入れても死亡リスクへの影響は依然として有意である」、ということです。 

つまり、座る時間の長い人は、禁煙して肥満に気をつけて定期的な運動を取り入れたとしても、座る時間の短い人に比べると死亡リスクが高くなる、というわけです。 

今のところこの原因はわかりませんが、座りっぱなしで運動時間(特に脚の運動時間)が短いことで寿命に影響を与える生物学的因子があるのではないかと推測されています。 

この研究結果が普遍的なものだとすれば、職種によって寿命に差がでるはずです。例えば、事務職は(外回りの)営業職に比べて短命、とか、(長時間立ちっぱなしの)脳外科医や心臓外科医は(座りっぱなしの)精神科医より長生き、とかです。周りを見渡してそのような傾向があるようにも思えないのですが、実際はどうなのでしょうか・・・。 (谷口恭)

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (4) 2019/2/24

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「酒かす」 2010年12月16日

2010年11月24日放送   NHK総合テレビ http://www.nhk.or.jp/gatten/
日本伝統あの発酵食で 驚きコレステ減効果!
今回の番組について
シリーズ「失われゆく日本の健康食」。
今やあまり食べられなくなった日本の伝統食にスポットをあて、その真価を再発見します!
今回の食材は伝統の発酵食品「酒かす」。
日本酒の副産物に過ぎないと思ったら大まちがい。
いわゆる悪玉のLDLコレステロールの値を下げてくれたり、お通じを改善してくれたり
抜群の健康パワーを秘めていたんです。
しかも、ビタミンB群やアミノ酸など栄養やうまみの宝庫。
でも最近、使われなくなってきているのは、発酵臭や、アルコール臭など、
酒かす独特のクセがあるから。
そこで、創業300年を超す酒蔵の料理名人や中国伝統の技に学び、
酒かすをおいしくいただく調理の方程式を発見!
耳より健康情報から、お得な調理術まで酒かすの魅力をトコトンお伝えします!

番組ディレクターのひとこと
ビン底めがねの素顔は…!?
なかなか人を寄せつけない食材…「酒かす」。
自分でも取材するまでは、たとえ売り場に置いてあったとしても目にはとまらない
食材でした。
しかし、調べてみると“かす”とは大違い。
栄養やうまみがたっぷりとつまっていたんです。
しかも、最新の研究で酒かすに含まれる成分に驚きの健康効果があることも判明!
名前と真価のあまりのギャップにとりこになってしまいました。
ビン底眼鏡をとったら超美人!
うそのようなホントの話…ぜひ聞いて下さい!

酒かすで“悪玉”コレステロール減!
酒かすにどのような健康効果があるのか12名の男女に協力していただき大実験!
50gの酒かすを甘酒状にして、3週間飲み続けてもらいました。
すると…体重が1kg減った方や肌の保水量が増え、しっとり肌になった方も!
ところが、全員の平均データを調べるとダイエット効果としっとり肌効果は
今回、確かめることはできませんでした。
でも、ご安心を!
健康効果が見つかりました!
動脈硬化の引き金になるLDLコレステロール値が平均で8.2低下!
さらに被験者のみなさんが口をそろえておっしゃったのは「お通じの改善」。
“かす”だとばかり思われていた酒かすのどこにそんなパワーが隠されていたのでしょう?

パワーの秘密はレジスタントプロテイン
酒かすの健康パワーを支えていたのは原料となる米に含まれている
レジスタントプロテイン」。
日本語にすると、消化されにくいたんぱく質
広く言えば、食物繊維の仲間です。
その特長は「油をガッチリ捕まえること」。
酒かすを食べたとき体の中では…
レジスタントプロテインは消化されにくいのでそのまま小腸へ。
そこで、コレステロールなど食品の脂質や食べた油を捕まえ
消化吸収されることなく体の外まで運び出してくれるんです。
そのため、LDLコレステロール値が低下。
また、便に含まれる脂質が増えることで柔らかい、出やすい便となり、
お通じが改善すると考えられます。

酒かすは“かす”にあらず!?
レジスタントプロテインは酒かすの原料となる米にも含まれています。
じゃあ、なぜ、酒かすだけにこんな健康パワーがあるのでしょうか?
実は、レジスタントプロテインがその実力を発揮できたのは、
酒かすになったからなんです。
米から日本酒を造るとき、活躍するのが麹(こうじ)と酵母
米に含まれるデンプンやたんぱく質を分解しアルコールや、うまみ成分のアミノ酸
作り出してくれるんです。
一方、レジスタントプロテインはというと…
まわりを取り囲んでいた他の成分が次々と分解されていく中、
消化されにくい特性を生かして酒かすの中に残ります。
つまり、レジスタントプロテインをむき出しにして油とくっつきやすくし、
かつ凝縮したものが酒かすなんです!
酒かすには酵母もたっぷり含まれるのでビタミンB2は米の26倍、B6は47倍。
アミノ酸は583倍にも激増!
これからは酒かすなんて呼べなくなるかも!?

酒かす調理の方程式!
創業300年を超す酒蔵の看板娘にして酒かす料理の名人を訪ねました。
名人の秘密は「酒かすが苦手」であること。
でも、だからこそ酒かす独特のクセを消し、うまみだけを引き出すオリジナルレシピを

開発できたのです!
その方程式は「酒かす+油+塩=チーズ」
チーズにあって酒かすにないものを足し人の味覚をだまそうという作戦!
街頭で、その酒かすクラッカーを試食してもらうと…
ほぼ全員がチーズの味がすると答えました。
実は酒かすとチーズは同じ発酵食品なので香り成分に共通の物が多いのです。
ちょっとした工夫で酒かすがほかの発酵食品に大変身!
「酒かす+豆乳+果物」で「ヨーグルトドリンク」も実現!
なお紹介しているレシピは市販されている酒かすで同じ味を出すように
ガッテンがアレンジしたものです。

酒かすで中国秘伝の味を実現!
中国料理、中でも四川料理で使われている秘伝の調味料が酒醸(チュウニャン)。
日本では市販されておらず、お店でのみ使われている“うまみ”の決め手です。
作り方は、もち米と麹(こうじ)、酒を混ぜて2週間ほど発酵させます。
いわば日本酒の親せきのような物。
でも、そのままでは家庭でまねできません。
そこで、日本酒の親せき同士ということで酒かすでチュウニャンを作ってもらいました!
スタジオで試食したゲストも大絶賛!
中村玉緒さんも、山瀬まみさんも思わずレシピを持ち帰ったほどです。
みなさんもぜひお試し下さい!

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (3) 2020/1/22

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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ひとりごと・健康通信 「こんにゃく」 2010年11月11日

猛暑の影響はまだ続いていて、野菜や海の中のホタテまで農家や漁師の人たちの生活をおびやかしているようです。


ところで・・私は、排出(?)しない日は今まで記憶になく、便秘の苦労はほとんどありませんが、それでも、消化器・・「腸の働きが免疫に深い関係がある」・・ことは、東洋医学ばかりでなく確かなようですので、普段から食事や呼吸にも気を配っています。

栄養・運動・睡眠・・と、いろいろ健康法は試みていますが、以前書いたように「呼吸法」は私にとって〝究極的な健康法〟のように思われます。人間関係や社会の流れが交感神経優位になって体調を崩しがちな現代の物質・情報文明の中で、心をゆったりさせる副交感神経の働きを促すには・・ゆっくり長く息をはくことによって、自然に酸素を大きく吸収できて、柔軟体操などで筋肉がゆるむのが実感できます。
投手が投げる前に大きく呼吸したり、弓でもゴルフでも呼吸を自然に整えますし、血圧を測る前にゆっくり呼吸をすると、緊張が解けて血圧が下がるのはいつも経験することです。

呼吸法についてはまた書くことがあると思いますが、話を元に戻して、今回はいつも見ているNHKの「ガッテン」から、コンニャクについての話を聴いているうち、これから私ももう少し食べてみたいと思うようになったこともあって、ご覧になったかもしれませんが、Webをコピーしてみました。

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2010年11月10日放送  http://www.nhk.or.jp/gatten/
太めの人ほど効果あり こんにゃく裏ワザ大全

今回の番組について
「太めの人ほど効果あり こんにゃく裏ワザ大全」
日本が誇るヘルシー食材の定番“こんにゃく”。
江戸時代から“おなかのお掃除役”として知られ、便秘解消やダイエット、
コレステロールの抑制、糖尿病の予防、有害物質の排出などなど・・・
さまざまな健康効果が期待されています。
でもそれって本当?!
ガッテンは科学の力でこんにゃくをおなかの中まで追跡!
徹底検証してみたところ・・・太めの人にほど効果を発揮するこんにゃくの
スゴ~イお掃除パワーが次々と明らかになりました!
しかもそれはある食べ方をしなければ、手に入らないことがわかっちゃったんです。
おどろきの健康効果から夢の料理術まで、
伝統食材こんにゃくの新境地を切り開くお役立ち情報をお届けします!


番組ディレクターのひとこと
やっぱりこんにゃくはすごかった
「こんにゃくはおなかのお掃除をしてくれるから食べなさい」
子どもの頃から母親にそう言われて育ちました。
でも、おそうじってなに?本当に悪いものを出してくれるの?
抱き続けてきた疑問が番組の出発点です。
内視鏡カプセルで消化過程を追いかけ、お掃除の実態を知るため研究者や料理人、
農家の方を訪ね歩く日々。
そこで知ったある真実にショックを受けながら、最後にわかったのは・・・
想像を上回るこんにゃくの底力!
なんだ、やっぱりこんにゃくはすごかった。
食べさせてくれた母親に改めて感謝したくなるような番組になりました。


オープニングクイズ
問題:食用以外にもいろいろなところで使われてきたこんにゃく。
「湿布」「爆弾」「ボール」「枕」のうち、実際に使われなかったのはどれか?
答え:枕
それ以外は全て実際に使われています。
湿布はこんにゃくを温めた“こんにゃく湿布”が民間療法のなかで今も使われており、

爆弾は戦時中に風船爆弾を作る際、風船爆弾の和紙をはるときののりとして
粘りけのあるこんにゃく芋が使われました。
さらに明治時代にはこんにゃくの弾性を生かしたボールやゴムも作られていました。


おなかのお掃除のナゾ
江戸時代から「おなかのお掃除役」として知られてきたこんにゃく。
今もたくさんの人が“食べると体内の悪いものを出してくれる”と信じており、
地域によっては大掃除や冬至、節分などの節目のときに身を清める目的で
食べられています。

でも、おなかのお掃除って一体なんなの??調べていくと、こんにゃくに含まれる
食物繊維“グルコマンナン” にすご~いお掃除パワーがあることを発見。
水に溶けるとねばねばドロドロの物質になり、脂肪や糖分の吸収を抑えたり
有害物質を閉じ込めて排出してくれたりするパワーがあるんですって!
すご~い!!

そうとわかれば、なんとかしてそのお掃除パワーをこの目で見てみたい!
ガッテンは内視鏡カプセルを駆使してこんにゃくの消化過程を追いかけるという実験を行いました。
そこで見たものは・・・
口に入ってから大腸に到達するまでほとんど消化されることなく、
姿を変えずに移動しつづけるという衝撃的なこんにゃくの姿!
ねばねばドロドロになって悪いものを運び出す力は全くありませんでした。
いったい、これはどういうわけ??


こんにゃくに隠された秘密
どうしてこんにゃくの成分であるグルコマンナンのパワーが
こんにゃくにはなかったのでしょうか?
その理由は、こんにゃくの作られ方にあったんです。

こんにゃくは、こんにゃく芋という芋を細かく砕いた粉を固めて作る食べ物です。
この粉を固めるときに、水酸化カルシウムなどの凝固剤を使います。
実は、このことによってグルコマンナンの性質が変わってしまうのです。

もともとグルコマンナンは水溶性の食物繊維。
水に溶けてねばねばドロドロの物質になることで、そのパワーを発揮するものです。
しかし、凝固剤によって固められてしまったことで水に溶け出すことのできない
不溶性の食物繊維に変わってしまいます。
このときに、グルコマンナンのねばねばドロドロパワーは失われてしまうのです。

グルコマンナン(水溶性食物繊維)
→こんにゃく(不溶性食物繊維)に変身!

この反応は不可逆性のもので、元に戻すことはできません。
料理の際に加熱したりよくかんで食べたりしても、グルコマンナンのパワーを
復活させることはできないんです。
グルコマンナンとこんにゃくは別物。
残念ながら、こんにゃくにねばねばドロドロのお掃除パワーは期待できないんです。


ある食べ方で底力を発見!
では、こんにゃくの本当の実力とは一体なんなのでしょうか?
昔から言われているお掃除力とはなんのことだったのでしょうか?

真実を求めて訪ねた北海道の大学で、こんにゃくの実力を知る研究者に出会いました。

グルコマンナンの粉とこんにゃくを砕いた粉をそれぞれマウスに食べさせたところ、
こんにゃくを食べさせたマウスのほうが効果が大きいものがあったのです。
それが何かと言うと・・・
便整改善効果!
こんにゃくを食べさせたマウスのほうが、早くたくさんの便を出したんですって!

ということは、人間でも便秘の改善につながるのでしょうか?
早速、便秘に悩む6人の男女に集まってもらい、一日一枚の板こんにゃくを
食べてもらうという実験を行いました。
すると、10日後。集まった方たちはみんないい笑顔!
聞いてみるとやはり「朝出るようになった」「規則正しく出るようになった」
「便のかさが増した」など、明らかに便通が良くなったという報告が5人からありました。
さらにおどろいたことに、体重が下がっている人、コレステロール値が下がっている人、

血糖値が下がっている人など、便通改善以外にもさまざまな効果があらわれていたんです!
いったいどうして??


太めの人ほど効果あり
便秘が改善された理由は、こんにゃくがいつまでも消化されないことにありました。
不溶性食物繊維を含んでいるこんにゃくが消化されないまま大腸にとどまると、
便のかさを増すことになります。
すると早めに排便のサインが送られるため、早くたくさんの便を出すことにつながります。
これこそがこんにゃくの便秘改善のパワーなのです。

さらに、体重やコレステロール値、血糖値が下がった人たちを見てみると、
今回実験に参加してくれた人のなかでも身長に対して体重が多めの人に特に減少効果が出ていました。
どうしてでしょう?

実は、こうした人たちの普段の食事内容を調べてみたところ、
日常的に一般の人よりも量やカロリーの多い食事をとっていることがわかりました。
そうしたなかに低カロリーで満腹感の強いこんにゃくを食事にとりいれたことで、
結果的に食事バランスを改善することができ、さまざまなうれしい効果に
つながったと考えられます。

こんにゃくにはグルコマンナンのお掃除パワーはありませんでしたが、
継続的に食事にとりいれることで便秘改善・減量・コレステロールの抑制・糖尿病予防
などうれしい効果が期待できる食材だったのです。


こんにゃく!夢の料理術
しかし、こんにゃくを継続的に食事にとりいれると言っても
現実には大きな壁がありました。
こんにゃくはそれ自体には味がほとんどなく、食感も独特。
レパートリーも煮物しか思い浮かばないという人がたくさんいるのです。
今回実験に参加してくれた人からも「良い結果は出たもののこんにゃくを
今後も食べ続けるのは難しい」というお悩みの声が・・・。

そこで、こんにゃく料理を出している料理店を訪ねたところ、こんにゃくを使う前に
ある一手間をくわえることで食感や味つけを良くしていることがわかりました。
その裏ワザとは・・・!
なんと「こんにゃくをひっぱたく」なんです。

こんにゃくをまな板に勢いよくたたきつけることで、全体的に伸びて
やわらか~くなります。
こうした変化によってかみやすくなることで、調理したときに普段よりも
味がついたように感じるそうです。

さらに、こんにゃくの食感をあやつるにはもうひとつ大切なポイントがあります。
それは“コンコンピンピンニャクニャク”。
実はこんにゃくは昔から、高温ではコンコンとかたく、中温だとピンピン、
低温だとニャクニャクやわらかいと言われています。
やわらかい食感を残したければ10分以上煮込まずに料理することが大切なのです。


:::2020・現在:::::

10年前の記事ですが、いまは東洋医学にも出てくる「大腸と免疫」の関係から、野菜・海藻とともに穀物と水分に重点を置いて、ヨーグルトも加わりました。それと、生活の中で「座り続ける対策」として、「背筋を伸ばす・呼吸法」を開始したところです。

「健康通信」をふりかえって [肩こりをらくにするには] 2019/12/27



ひとりごと・健康通信 [肩こりをらくにするには] 2010年10月12日 

「暮らしの手帖」でいつも読んでいる・・専門医が質問に答える健康特集「肩こり」をめくりながら、はじめは・・何だ、肩こりか・・と、それほど関心が向かなかったのですが、昔、いつも縫いものをして私を育ててくれた母親の肩たたきをした、記憶を思い起こしながら読み始めると・・

これは、単なる「こり(凝り)」を超えた、体の中で起こっている目に見えない動きから、心のはたらきまで含めて・・私たちの日常の生活を見直し、健康・医療のあり方を問いかける・・そして、私たち誰の体にも受け継がれている・・自分自身の生命力・免疫系の意味を考えるきっかけになるようにも思われます。


腰痛とか、体力の減退を感じるとき、どうやら「長い時間ずっと座り続けて同じ姿勢でいることが、血液の循環を滞らせている」ということを、最近になって強く感じます。

立っているときより、座って固定しているのが、腰にとってよくないことは以前から聴いていましたので、いまはできるだけ気がついたときに足首を動かしたり、イスから立ってフクラハギを伸ばしたり、段差を利用して階段の上り下り動作をするようにしています。背骨や骨盤の固定が、筋肉の緊張と血行の悪化を招くのは想像に難くないことです。


それと、最近は腰痛などでも、あまり動かないで安静にし過ぎると、かえって血液の循環が悪くなって、回復を妨げるというように、医療の考えも変わってきたようです。
やはり私たち人間は動物なのですから、なにしろ動かないことには、植物人間(?)に近づくことになるのかもしれません。

ですから、家で座りっぱなしでいる生活が、体にも心にも固定化をもたらして、筋肉の緊張・固着や血液の停滞を招いていることは、むしろ歩いてみると感覚的に感じられるようになって、体の衰えの危機感が迫るようです。  

便利で楽な現代社会にどっぷりつかってしまうと、周囲も自分自身も見えなくなってしまうという危機感をたまに思い起こしたりしながら、健康情報には、いろいろ考えさせるものや疑問な点、そして個人個人によって異なるものもあるので、私たちは自分の体だけでなく心とも相談しながら、時として変わりゆくその状況や症状を自分自身で見て理解できるようになって、休息や心のありかた・状況などにも心を配って日々の生活を見直し、的確な判断で対応してゆくことが必要なようです。

私たちの生活に参考になると思われる要点を、「暮らしの手帖」から整理しながら書き移してみました。人間どう生きるか・・心と体の切っても切れない相互の関係について、これからも学んでいきたいので、私の得意(?)な「ひとりごと」として、また「健康通信」を書いてみたいと思います。

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[肩こりをらくにするには] 暮らしの手帖 1975春号  石田 肇  日本医科大学助教

―疲れたその日より翌日の方が肩はこる―

Q.「肩がこる」というのは、どういう状態が・・・

A.こる場所は、筋肉と、それを包んでいる「筋膜」が主体です。むくんだように、水気が多くなってかたくなっています。むくんでうっ血しているわけです。こりの痛みは、場所がはっきりしなくて、にぶくて、重苦しくて、何ともいやな感じがする、という特徴です。
この「こり」というのは、いろいろなことから起こってくる・・例えば、心臓病とか、何か内臓の重大な病気の一つの現われのこともあるし、まったく健康な方がただくたびれただけでも、そういう状態になる。だから実体が非常にとらえにくいんです。その上、世の中がこう複雑になってくると精神的な要素も入ってきますし。

Q.例えば、ストレスとか・・・

A.ええ、家庭内のトラブルとか、子どもの入学試験が心配になる、あるいは税金のシーズンになるとか、そういうストレスが、意外に筋肉のこりとなって現れることが多いわけです。
私の考えですが、人は体の調子が良いとか、悪いとかいうことを、筋肉という場所をかりて、自分にわからせている、と言っていいのではないかと思います。例えば、胃の調子が悪かったり、胆石があれば、背中の方がこるとか、心臓の調子が悪ければ、左の肩がこるとか、そういった体の調子、それから精神状態がどうかということを表現するものとして、筋肉のこりというのがあるのだと思います。

Q.すると、そういうときは、いくら筋肉をいじってもダメなわけですね。

A.そうです。実際の痛みを感じるところは、筋肉よりも、むしろ、それを包んでいる筋膜なのです。そのほか、筋肉を骨に結び付けている腱、あるいは、それを包んでいる腱鞘、それから、骨の表面の骨膜、そういったものも、そこに何か起こった場合には、こりとして感じていることがあります。
筋肉というのは、手術中に麻酔をせずに切られても、ちっとも痛くないんですよ。

Q.筋肉を切ってもですか。

A.ええ、針をさしても、メスで切っても、患者さんはあまり痛がらないんです。もともと痛みというのは、体に危険が近づいてきたときの一種の予告になるわけですが、刺すとか切るというのは、筋肉には普通あまりない刺激で、だからそういうものに対しては、あまり敏感ではないのです。
ところが、こむら返りとか、そういうときの痛みはものすごいでしょう。ああいうふうに、筋肉が窒息した状態でケイレンを起こすとか、うんと収縮するとかいう刺激に対しては敏感に感じるようにできているわけです。例えば、腕を縛って、曲げたり伸ばしたり動かしていると、腕がだんだんだるくなってきて、そのうちに、ちょうどこむら返りと同じような痛みがきて、ついには、もう手が動かなくなるのですね。
これと同じような状態を起こすものに、たばこを吸い過ぎて、血管のつまる病気があります。エノケンさんが足をおとした病気ですけれども、これは、100歩も歩くとふくらはぎがこってきて、歩けなくなるのです。これが、筋肉の痛みのいちばんの特徴ですけれども、酸素がいかない状態でムリに使いますと、筋肉にある状態が起こって、こった状態になり、それが進むと、もう痛くて歩けなくなる。そして、1・2分休んでいると、また回復して歩けるようになる。これを間歇性跛行(かんけつせいはこう)といいますけれども、そういうのが、筋肉の痛み、こった状態のひとつの典型的な状態です。

Q.その痛みは筋肉の中の神経が感じているわけですか。

A.いや、それは、やはり筋膜のほうがおもに痛むのです。筋膜を切るときは痛くて、筋肉になると痛くないんです。ヒフの上から、針をまっすぐに刺してみると、ヒフにはたいへん神経が多いから痛い、その下の皮下組織というのは、あまり痛くありません。それから、筋膜に達すると、重苦しい、ずうんとした痛みが感じられます。それを通り過ぎて筋肉にいくと、またあまり痛くなくなるんです。で、もっと奥にいって、骨膜にいきますと、また、たいへん痛くて、その先の骨になると、あまり痛くない。で、最後に骨髄になりますと、また痛くなるんです。
そういうふうに、筋膜というのは、体の中の痛みを感ずるひとつの層で、その痛みというのが、こむら返り、こりなどに、かなり影響しているわけです。というのは、どなたもご経験がありますように、こったりするのは、激しく運動した直後ではなくて、かえって翌日あたりにきますね。

Q.どうして時間がたってから痛んでくるのですか。

A.使った筋肉は、動かした直後よりも、時間がたつうちに、だんだんむくんで、ふくれてくるのです。ところが筋膜というのは、タイヤみたいに固くて、ほとんど、伸び縮みしません。だから筋肉は膨れられなくて、血の循環が悪くなるし、筋膜はパンパンに張って、刺激に敏感になる。それで翌日あたりに、こった感じが出てくるわけです。

―ひどくこると手足が動かなくなることも―
Q.その筋膜というのは、どういうはたらきをしているものですか。

A.筋膜というのは、一つの筋肉が曲げたり伸ばしたりするのではなくて、曲げる筋肉、伸ばす筋肉と、グループがあるんです。そういう働きの違うグループごとにまとめておきませんと、たいへん働きにくくなるわけです。
それから、力が働くためには、タイヤみたいに、ある程度固いワクを作っておいたほうがいいのですね。だから筋膜がタイヤで、筋肉の中はチューブというふうに、考えるといいでしょう。

Q.そうすると、電機のコードなんかで、何十本かの細い線をチューブに入れて、まとめているような、整理の役目をしている・・・

A.ええ、まあ、交通整理の意味もありますし、実際に働く上にも便利である。ところが、筋肉がその能力以上のことをやると、筋膜があるために筋肉がこるとか、逆にわざわいしてくるわけです。
最近、よく経験するのは、高校生や中学生が、サッカ-熱にうかされて、ものすごい練習をやったために、翌日から足がしびれたり、ものすごく痛んだりして、もう歩けなくなったという例にぶつかることです。
これは、前頚骨筋症候群という状態です。向うずねの筋肉が酷使されて、ふくらんでくる。ところが、固い筋膜があるために、ある程度以上はふくれられない。そのために、中にある神経や血管がひどい窒息を起こして、そのために動かなくなってしまうというわけなのです。こりの極限の状態ですね。
その窒息の話ですが、実際には我々の体には、適応現象というのがあって、収縮するときには酸素がなくてもいい。ただ、くたびれたのが、また元の状態にもどるのに、酸素が必要なのです。ですから、訓練して筋肉を発育させるとか、よく使えるようにするというのは、酸素のない状態でも筋肉がよく働くように、適応する力をつけるということです。
例えば、息を止めてみますと、はじめは30秒もたてば苦しいけれども、訓練すれば組織に充分に酸素をためておいて、海女さんのように長い間息を止めることもできるようになるのと同じで、筋肉も窒息の状態でも使えるようになるというのが、訓練のひとつの効果ですね。

Q.それで、運動でもはじめはへばるのが、だんだん慣れてくると平気になってくる・・・

A.そういうことです。ただそれには限界があって、その程度を超しますと、逆に今度はくたびれてきて能率が悪くなって、やせてしまうわけですね。太くなる間は、刺激が適当であった、ということなんです。

Q.筋肉は使いさえすればいいというものではないのですね。それとやっぱり、筋肉の若さといい増すか、その人の年よっても違うでしょうね。

A.それはもちろんですね。それに、普段活発な人と、いつも腰かけている人では、同じに論ずるわけにはいきません。ひとつご注意したいことは、昔スポーツをした人が年をとられたとき、筋肉は鍛えたまま残っているのに、腱の方が弱くなってしまっている。ですから、アキレス腱を切ったり、五十肩などの故障が他の人よりかえって早くきたりするということです。年をとってからも、ずっと訓練を続けれていればよかったものが、休んでしまいますと、なまじ若いときやっただけに、筋肉と腱とかその他のバランスがうまくいかなくて、見かけは一見丈夫そうですけれども、かえってもろくなっていることがあります。

Q.やっぱり年をとればとるで、少しずつ運動していないといけないわけですね。

A.いつも自分に合った適当な刺激を与えていると、精神的にも肉体的にも年をとらない、ということですね。第一線からしりぞいて、責任がなくなる、それから緊張がなくなる、人生の目的も失うということが、意外に筋肉の緊張などにも関係するんですね。
はりきっている人の筋肉は、やっぱりピッとしています。逆に、ストレスが強くて、しょっちゅう心配事がある、イライラしている、というと筋肉まで緊張して、肩がこってしまうわけですね。
病気というと、みんな医者が治すもの、クスリが治すもの、というような受身的なものだったのを、自分から何か働きかけてゆく・・・主体は自分であるという転換が、非常にいいことなんです。
それから、もうひとつは、いかにリラックスといいますか、楽な状態を自分でつくりあげるよう心がけることです。
ですから、普段心がけなければならないことは、訓練して強くするということばかりではなくて、むいしろ、いかにゆるめて、ゆったりするかという工夫が大事なわけです。眠っている8時間というのを、みなさん意外と無関心ですが、自分ではあまり問題だと思わないことが、意外と肩こりなどの原因になっていることもあります。


―好きなことはいくらやっても肩はこらぬ―
Q.人によって、肩がこったことがないという人がいるかと思うと、もう若いうちから、肩こりに悩まされる人もいますが、これはどういう違いでしょうか。

A.筋肉がこるというのは、ある程度自然現象なんです。私たちは、昔は手をついて、四つ足で歩いていたわけですけれど、それが二本足になって、首という細いところからぶらさげるようになってきている。それから、人類が発育するとともに、脳みそが大きくなって、重くなる。それから、五感、目だとか鼻だとか、口、耳、ぜんぶ頭にありますから、首というのは第五番目の手みたいに、しょっちゅう動かしていなければいけません。

Q.それでは、こるのもムリないですね。

A.ええ、しかし、普通の人は全体の体重のかけ方がうまくいっているために、あまり障害を起こさないですんでいるわけです。ところが、そういう人でもよく見ますと、筋肉のこった場所にひとつのしこりの点が出来ているわけです。これが、いわゆるお灸や、中国の麻酔のツボというところです。

Q.これは、漠然とした場所ではなくて、一つの点なのですね、

A.はい、はっきりとしております。これはもう、経験的に皆さんが、そこを押してもらうと、気持がいいということでお分かりと思います。で、苦しい人は、その点が、何らかの動機で刺激されるわけです。
例えば、冷たい風にあたったとか、横にあるテレビをしょっちゅう首を曲げて見ていた。あるいは、マージャンで何時間もかがんでいたとか、風邪を引いたとか、ビタミン不足のようなもの、あるいは、糖尿病をもっていたとか、そのほか精神的なことでも、その点が刺激されると、苦しみとして感じてくるわけですね。そういうものを引金機構と言いますが、それが、簡単に引かれるような人が苦しむわけです。
点をもっていても、引金がちっとも引かれない人は、ケロッとしているわけです。そして、その点は医者が調べると、誰でもちゃんともっているというわけです。同じように冷たい風にあたっても、引金を引かれやすい人と、引かれにくい人があるわけです。

Q.そうすると、その人がストレスに敏感な人かどうかということも関係するでしょうね。

A.ええ、大変に関係しますね。他の人がそばに来て、マッサージをしようとするだけでくすぐったくて、どうにもしようがないという人がいますね。こういう人は、普通の人より自律神経といいますか、自分の意志ではどうにもならないような神経が、非常に敏感な人ですね。
例えば、人の前に出ると顔が赤くなるとか、手のひらやわきの下に汗をかいてしまう。動悸がしてどんどん脈が速くなるとか、あるいは、手がふるえて止めようと思っても止まらない・・・そういう調子が人によってずいぶん違いますね。それから、精神的にも非常にお天気やで、いいときと悪いときとゆれ動く,というようなことが、全部関係してくるわけです。

Q.そういう人はこりやすいわけですか。

A.はい、引金をつくりやすいわけです。もうひとつは、肩の筋肉がこりますと、非常に固いんですが、これが民間療法とか、あんまとか、そういうもので、よけい固くなることがあるんです。効かないものですから、これでもかこれでもかというわけで、それが毎日、一種のケガをさせているわけです。ケガをするということは、筋肉の中に出血を起こしているわけで、それが治るときには、センイになってしまいますから、筋肉自体の弾力性がなくなって、レンガみたいに固くなってくる、悪循環ですね。やり過ぎて、かえって壊しているということです。
しかし、面白いもので、そういうこりやすい人でも、好きなことを、生きがいを感じて、一生懸命やっているときは、実際にはこっていても、どんなつらいことでも、ちっとも、こりだとか、そういうことを感じないわけです。イヤなことを他人にさせられたりしますと、状態は同じでも、実際以上に筋肉のこりを、不愉快なものとして感じるわけなんですね。

Q.やるのなら、きつくないほうがいいということですね。

A.そうですね。本人に心地よいということが、一応すべてにあてはまりますね。というのは、私どもよく、これは冷やすのか、温めるのかと聞かれますが、普通は、くじいたとか、そうした直後は冷やしたほうが気持がいい。しかし、これが2・3日しますと、どんどん温めたほうが気持がいいわけです。そして、それが非常に理屈にあっているんですね。ですから、心地よいということが、すべて善になると考えていいのです。

Q.首の骨に異常があると、肩がこりやすいということを聞いたことがありますが・・・

A.ええ、そういうこともありますが、骨の変化というのは、何年もかかって起こってくるわけですから、X線撮影では非常な変化があるのに、本人はまったく気がつかない、ほとんど症状がないという場合もあり、必ずしも同じようではないわけです。
ただ、そういう、骨に変化のある人に、不自然な姿勢をする、あるいは追突事故にあう、病気で長いこと床につくというような、別の要素が加わりますと、普通の人よりは故障を起こしやすいのです。
もう一つは、首から肩にかけて、神様はちょっといじわるをして、弱点をつくってある。というのは、そこで血管や神経が、しめつけられやすい状態になっているわけです。そのあたりは、骨と骨、あるいは骨と筋肉のつき方が複雑で、狭い隙間にも神経や血管が通っていますから、肩下がりだったり、重いリュックサックを背負ったりすると、血管を刺激したり神経をしめつけたりして、肩こりになりやすいのです。
それから、長いこと吊り革につかまるとか、手を上にあげてバンザイばかりしていると、胸の筋肉が引っぱられて血管や神経が圧迫され、肩こりを起こすことがあります。こういうものを、胸郭出口症候群と言います。

Q.そういうときは、肩こりのほかに、神経をしめつけられたために出てくる症状みたいなものはないのですか。

A.ええ、肩こりといっしょに、ムカムカ、吐き気、目がかすむ、耳鳴りがする、それから、のどの奥がくすぐったい、胸がしめつけられる、息が苦しいというような症状が出てくることがありますが、これは、目とか耳とかそういう大切なところにいく自律神経が、刺激されたために出てくる症状なのです。
で、先ほどの、肩こりを起こす首の骨の変化というのは、親指側がしびれてきます。ところが、胸郭出口の神経の圧迫によるものは、むしろ小指側に起こりやすいのです。そこのところを見ますと、これは首の骨が関係しているなとか、これは胸のほうだなということがわかります。

Q.そうしますと、肩こりを治すには、どうしたらいいでしょうか。

A.肩こりを見ておりますと、痛みがあること、筋肉がケイレンを起こすこと、血の循環が悪くなること、この三つがこりの三本柱となって、お互いに関係しているのです。つまり、痛みがあると、動かさないように筋肉に力を入れてしまう。そうすると、血管がしめつけられますから、血の循環が悪くなる。血の循環が悪くなると、それでまた痛みが起こる、という悪循環になるわけです。
そのままにしておくと、ますます悪いほうへいきますから、悪循環を断ち切る方法としては、指圧も効きますし、針とかマッサージも効きますし、温めることも、逆に冷やすことも、血の循環がよくなって、筋肉に酸素もいくようになる。
針の働きというのは、外からの針の刺激をツボのところにもってくることによって、ケイレンを起こした筋肉をゆるめて、、むくみを取ってやるということです。そのツボのことでは、前に実験したことがありますが、ツボに痛みを起こす注射をすると、小指の先とか、頭や胸のような、とんでもない所に痛みを感じることがあるんですね。ですから、実は単純な肩こりなのにもかかわらず、胸に痛みを感じるために、狭心症だと信じこんでいる人もいるわけです。
実はそうでなくて、肩こりのツボに刺激があったということです。逆に、心臓が悪いとまた、ツボのほうに痛みを感じたり、いろいろあるわけです。


―全身を動かしていて肩がこることはない―

Q.体操はどうでしょうか。

A.非常にいいです。私たちの体は、全身を使っているようで意外に全部は使っていないし、それにある特定の動作しかしていないのです。考えても、手を肩の高さより上に上げる動作はあまりしませんね。吊り革につかまるとか、高い棚にあるものを取るときぐらいですから、そういう点を考えて、普段あまり使っていない筋肉を、体操でまんべんなく使うと、全身的な代謝とか、血のめぐりもよくなるし、体の中の疲労物質も追い出してしまうから、精神的にもハツラツとしますし、すべての点でいいですね。
人間は動かないでただじっとしていても、重力に対して体を保つために筋肉が絶えず緊張しているわけです。これを静的な負荷と言いますが、筋肉は使わないためにこるということもあります。
筋肉を使うと、その収縮で、ミルクを搾るときみたいに、血管を絶えずマッサージしているわけですが、使わないと、そういう運動がないわけです。ただ血管をぎゅっと締め付けて、、じっと緊張しているだけです。

Q.ゆるめてやることがない。

A.ええ、ですから実際に肩こりの状態を見ておりますと、全身を動かすような運動をして起こしたという人は、まずいないんです。むしろ運動しないで、事務所で机に向かって仕事ばかりしている、会議で4時間もじっとしていた、あるいはベルトコンベアで動いているのを、一定の姿勢で手先だけでやっているというような、そういう人が多いのです。
ですから、何でもいいからとにかく体を動かしていただきたい、ということです。私たちの体は、1時間同じ姿勢でいると、非常にくたびれるもので、その証拠に、夜寝たときも、覚めたときも仰向けだったといっても、実はその間に、30回は寝返りをうっているわけです。つまり、じっとしていられないということなんです。

Q.そういう運動は、1日にほんのわずかでもいいのですか。

A.そうですね。私自身は、1日に1時間は汗を流して、全部の筋肉を動かすようにしていますが、5分でも10分でも、やらないよりはやった方がいいのです。それよりも、強すぎないようにして、毎日やるということが大切です。

Q.お風呂に入ると肩こりも楽になりますね。

A.お風呂の効果というのは、全身の代謝をよくするというのがいちばんですね。風呂に入ると、まず全身の筋肉がゆるむ、それから血行がよくなって、体のすみずみまで血液が抵抗なく流れますから、疲労物質を流し出してくれるとか、全身的な効果があります。
肩までつからなくても、まわりまわって全身が温まる。全身運動をしていると同じことで、必ずしも目的のところを温める必要はないのです。
ですから、それと逆に、片側から寒い風があたったり、足を冷やしてしまうということが、肩こりにつながることもよくあることです。

Q.うつ病とか、心理的な影響は・・・

A.どうしても治らない肩こりには、うつ病が原因の場合がよくあります。それと、とかく忘れられていることですが、姿勢というのが、筋肉のこりにとても大事ですね。うつ病の人は、たいてい背中を丸くしてふさぎこむ。うつむいておりますから、腕の重さが全部肩にかかって、しかも神経が引っ張られるという状態で、弱いところにますます負担をかけているわけです。
胃の調子が悪い、心臓がドキドキする、あるいは頭が重いというように、体の不調を訴えるうつ病が多いのですが、精神化の病気と思わないで、内科、整形外科などをまわるので、それぞれ違う診断がついてしまうのです。性格的に弱くて、トラブルや苦しみから逃れようとして、もうどうにもならないから病気になったほうが得だと、無意識に病気に逃げてしまうようなこともありますね。ですから精神と肩こりというのは、意外と関係があるし、気づかれないでムダをしていることが多いということです。


―五十肩は痛みを我慢して腕を動かすこと―

Q.肩こりとは違うかもしれませんが、中年すぎの人がよく、五十肩とかいって痛がりますが、あれはどういうことでしょうか。

A.五十肩というのは、特長がありまして、肩が痛くなって動かなくなるのですが、1年かかるか2年かかるかわかりませんけれども、必ずよくなるということです。肩の周りにある腱とか、関節の袋とか、腱鞘とかが炎症を起こしたために、反射的に筋肉がケイレンを起こして、凍りついた状態というのが、五十肩です。
フローズンショルダー、凍結した肩というのはうまい表現で、ですから、凍結したものを温めて、ほぐして、とけてくると動くようになるわけです。原因がさまざまですから、症状にもいろいろあって、ちょっとぎこちないというぐらいですむ人と、寝返りをうつと痛くて、腕のやり場がない状態の人まで、ハバがあるわけです。

Q.そうしますと、どういう治療をするわけですか。

A.実際には、よくご自分で動かしていただくということです。痛い手を我慢できる範囲で使っていただく、具体的な方法はいろいろありますけれど、アイロンのような、多少ずっしりしたものを持って、おじぎした状態で前後に振っていただくといいのです。分銅みたいに振り子にして、その力で動かす。
それから、壁にそって、上の方に指をはわせますと、いやでも手が上がってゆくわけです。お気づきかもしれませんが、五十肩というのは、前からは意外と上がるのですが、首の後に手が届かない、背中に手がいかない、こういう、腕をまわすような動作がしにくいのです。従って、洋服を着たり脱いだり、髪をとかしたり、というようなことが非常につらいわけです。
しかし、不思議なことに、我慢して使っているうちに、そういう状態が、だいたい日常生活に困らない程度にまで治ってしまいます。筋肉が切れていても、他の筋肉がじゅぶん代わりをしてくれます。ここが体のありがたいところです。

Q.こむら返りの痛みはひどいときがありますが、どういうときによく起こすのですか。

A.これは、こりのずっと強い状態で、強直性のケイレンが、ある時間続くということです。年配の人とか、歩き過ぎた後、長いこと立っていた後、寒さにあった後、夜などに多いですね。
収縮しているものをケイレンをとればいいわけですから、筋肉緒をつかんでもいいですし、親指をギュッと曲げなさいとか、いろいろ経験的に、その人に合った方法があると思いますよ。


―肩こりは気にしないことが最良の治療―

Q.肩こりにならないためには、どういうことに気をつけたらいいですか。

A.まず、一時間以上続けて、同じ仕事をしないことですね。一時間たったら、ちょっと運動していただく、それから、その一時間の間も、時々動いていただくといいんです。もうひとつは、腰掛けとか、机の高さとか、字を書くときの姿勢、そういうちょっとした工夫ですね。また、夜寝るときの布団の固さとか、枕の高さなども大切ですね。それから、めがねの度が合わないのをムリしてかけていると、目が疲れて肩こりにつながります。

Q.肩こりは、増えてきているというお話でしたね。

A.ええ、いまは第一、歩かなくなったし、カマドで薪を割ってご飯をたいていたのが、電機釜、ということはしゃがむチャンスもないし、薪を割るような動作もない、それから、洗濯はタライでしゃがんでやっていたものが、いまは電気洗濯機にポンと入れる・・・ですから、昔あった姿勢や動作が、いまはずい分なくなっているんです。それだけに、ある一定のところだけ酷使しているわけですね。それがもう、腰と肩に集中している。それと、精神的にもストレスが非常に強くなっていますから・・・
それと、もうひとつは、まあ逆説的ですけれど、肩こりの人というのは、何とかして治したい、とあせるんですよ。アンマにしろハリにしろ、いいことをみんなやりたい・・・それでなくて、肩こりを楽しむ位の気持でいてほしいですね。

Q.肩こりと共存ですか。

A.ええ、これ、非常にいいんですよ。というのは、いつの間にか治っているわけなんです。ファイトというか、闘うから、よけい意識するんですよ。肩こりとともに生きることです。

 

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いてみようと思う。 2019/12/07

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ひとりごと・健康通信「健康の常識(?)」 2010年3月12日

ようやく春が近づいてきたようですが・・春の陽気かと思うと急に真冬に戻ったりして・・・、この時期は季節の変わりめで、3月・9月頃は医者が最も忙しい季節と聴いています。私は好きな田んぼの風景の中を歩いています。

NHKの番組などで、健康の常識が変わってしまうようなことが紹介されました。
メタボリック・ウエスト90cm・・身長に関係なく(?)・・の疑問、そのナゾ・ウソ(?)が解けてきたようです。
糖尿病は、痩せているから・・と安心できないこともわかりますが、どちらにしても・・情報とか常識というものは、自分の体や心の状況をよく見ながら、自分自身で生活を見直していくことが大切なように思われます。

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NHK Webサイトから・・
〔 肥満=病気という常識が変わりつつある。太ってなくても誰にでも蓄積する異所性脂肪。強い毒性で心臓などにダメージを与えることがわかってきた。異所性脂肪の正体に迫る。

「肥満=病気」という従来の常識が大きく変わりつつある。太っている・いないにかかわらず、誰にでも蓄積する「異所性(いしょせい)脂肪」。肥満をもたらす皮下脂肪よりも毒性が強く、心臓やすい臓など大切な臓器にダメージを与える実態が明らかとなってきたのだ。糖尿病の主因になっている可能性も指摘されている。しかもこの脂肪、日本人は特にたまりやすいことも分かってきた。異所性脂肪の正体に迫り、その対策を伝える。

「肥満=病気」という従来の常識が大きく変わりつつある。
日本では今、「太っていないのに生活習慣病になる人」が急増している。一方で太っているのに生活習慣病と無縁の人もいる。この謎を解き明かすものと注目されているのが、皮下脂肪でも内臓脂肪でもない第3の脂肪、異所性(いしょせい)脂肪だ。強い毒性を持ち、心臓やすい臓など生命を支える大切な臓器に蓄積し、大きなダメージを与える。

糖尿病の多くが異所性脂肪によって引き起こされている可能性も出てきた。しかもこの脂肪、日本人は特にたまりやすいことも分かってきた。
異所性脂肪の蓄積を防ぐ鍵は、実は皮下脂肪にある。エネルギー貯蔵庫である皮下脂肪にためきれない脂肪が、異所性脂肪となって様々な臓器にたまり、病気を引き起こすのだ。日本人は皮下脂肪の貯蔵能力が低いため、少し太っただけで異所性脂肪が蓄積し病気になりやすいと考えられる。毒性が強く恐ろしい異所性脂肪だが、それを減らす方法は意外なほど簡単であることも分かってきた。食事と運動に少し気を遣っただけで、わずか3日で改善するのだ。第3の脂肪、異所性脂肪の正体に迫り、その対策も伝える。〕

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最近、図書館で借りてきて読んで、学んでいる・・「現代医学に見切りをつけて、免疫学を研究している安保徹」の本の中から、参考になるか・・日本の医療で問題になっている糖尿病・免疫系について書かれています。

〔 病気にならない「三大免疫力」温め療法・睡眠法・免疫回復法 安保徹
糖尿病は、全力投球するガンバリ屋・・特徴的なのは、体力に自信があって徹夜してでも仕事をやりぬき、暴飲暴食もする攻撃的、積極的な生き方をする人に多いようです。頑張って無理して我慢するから血糖値が上がるのです。体の中では過労や心労などのストレスによってノルアドレナリンやアドレナリンなどの神経伝達物質が放出されます。そして交感神経が緊張して筋肉にたくさんのエネルギーを送り込むためのエネルギー源である糖が血液中に増えて血糖値が高くなります。困ったことに交感神経の緊張によって副交感神経は抑えられ血糖値を下げるインスリンが抑制され正常に分泌されなくなり血糖値が上がりっぱなしです。しかも交感神経の緊張が持続すると、顆粒球が増え活性酸素をまき散らします。活性酸素は、インスリンの分泌を抑制し同時に血流障害を引き起こし腎臓細胞にも障害を与えて、インスリンを分泌する膵臓を破壊していくので、さらに血液中のインスリンは減少するのです。この悪循環で血糖値が下がらなくなって糖尿病を発症してしまいます。

ですから、私は糖尿病の原因は交感神経の緊張にあると思っています。交感神経の緊張を招く最大の原因のストレスを解決しないでインスリンの働きばかりに目を向けて過度な食事療法や運動を行うことを中心にする治療法は、逆にストレスになってしまうのではないかと思っています。


病気のうちの8割は交感神経緊張の状態が続いて血流が滞って低体温になって引き起こされるものです。薬を飲みすぎて起こる病気も血流が滞って低体温になるからです。本来、無理な生き方が原因で病気になったのですから、生き方を変えるのがベストですが、とりあえず、病気のつらい症状から脱却しようとするには体を温めればいいのです。何度もいいますが、痛みや発熱は体が自ら治ろうとしている治癒反応なのですから、体の治癒力をじゃましないで、痛みから逃れる方法は積極的に血流を増やし治癒を助けることなのです。血流が増えれば、組織はその時点から修復を始めてくれます。

血流障害を起こす原因のほとんどが筋疲労と冷えですから、腰痛も膝痛も温めながら治して繰り返さないように少しずつ筋肉を付ければ治ります。治癒のポイントは保温と筋肉運動にあります。ゆるやかな運動をして筋肉を刺激し、発熱を促して血流を増やします。徐々に運動量を増やして筋力を高めていきます。
血流が回復するときには必ず痛みが伴います。これは治癒反応ですから、炎症や腫れがひどく痛みに耐えられない場合は別にして、薬はできるだけ使わないようにして、自分の体と相談しながら耐えられる痛みの程度を見極めて少しずつ行います。今からでも生き方はもちろん、病気の根本的な成り立ちや薬の弊害を理解して薬に頼ろうとする気持ちを転換してほしいと思います。〕