「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (5) 2020/3/28

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「座っている時間を短くすることが健康の秘訣かもしれません」2011年1月21日

この季節、フロにつかっているときが何よりもゴクラクですが、その危険性も知って気をつけなければいけないこともあるようです。

私はこの数年、肩まで湯に浸かることはあまりなくて、エネルギー節約のこともあって、大体はミゾオチあたりまでにしていますが、いきなり湯の中に入ったり、ことに今の時期はフロから出るとき、40度から室温10度に急冷しての「血圧の急変」には気をつかいます。

下にコピーした町医者の言葉を聴き、具体的な数値を見て・・私も認識を改めるきっかけになりました。
確かに、私たちは「血圧は、身長のように一定の値だと思っている」ようです。季節や寝ているときと昼の活動時の違いは、誰でも多少の違いは理解しているようですが、「血圧は刻々と変化している」という認識はあまりなかったようです。

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コレステロール・・最近も、ある程度高いほうが長生きだとか・・・いろいろ言われています。TVで見た「むくみ・静脈瘤」についても言えることですが、健康にとって重要なことは何よりも「血流」で、私の考えでは・・一万歩とか筋トレ等の運動ということも大事ですが、その前に先ず「座りっぱなしの生活がよろしくない」・・・ということではないかと思って、座っているときも気が付いたときに足踏みしたりしています。

血液の流れは、東洋医学で「気・血・津(水)」と言われるように、気(元気・活気・やる気・・など)の流れがよくないと、血液の流れも滞ってしまうようです。
気の流れは、私がいま最も関心を持っていることで・・要するに心の問題です。ある程度は必要としても、ストレスによる交感神経過剰の現代人の生活・・つまり心が体を蝕んでいる、その反対に体の不調は不安・葛藤などを招いて心を苦しめます。

前にも書きましたが、私にとっての健康法は・・副交感神経を高めて心と体の働きを少しでも調和させるために、日常生活の中で「呼吸法」に取り組んでいますが、このことについてはまた書くことがあるかとも思います。

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〈血圧変動にご注意〉    朝日 : 町医者 長尾和宏  2011/1/4

毎年、お正月に、お餅を喉に詰める人が必ずいます。
同じく、血圧で倒れて救急車で運ばれる患者さんもいます。
何度も書きますが倒れる場所は、「トイレ」と「浴室」。

寒い場所では、想像以上の血圧変動が起きます。
120の人が、一気に200まで上がったりします。
一瞬にして、心臓や脳に異変が起きます。

血圧は、身長のように一定の値だと思っている人が多い。
結果が160であっても、普段は120だ、と納得されない。
家は家、診療所は診療所、と根気よく説明します。

血圧は生き物。
一拍、一拍、みんな違います。
例えば不整脈の血圧は、その一拍だけ少し低くなります。

寒いところに出た瞬間、40も上昇し、
長湯した後には、40も下がる。
深呼吸3回だけでも、10も、下がります。

寝ている間は、通常は、1日の中で一番低い。
一方、激しく怒ると、ぐっと50も上がる。
ならば最低と最高の差は、一体どれくらいあるのか?

もちろん個人差はあるでしょう。
50程度も方もいれば、100を超える方もいるでしょう。
いずれにせよ、血圧は刻一刻と、変化しているものです。

それを、たまたま診察室内で測ったものを「来院時血圧」、
自宅で起床時や就寝前に測ったものを「自宅血圧」と呼び、
それぞれの情報を総合しながら、「血圧の評価」を行います。

ですからある一点の血圧値で全てを判断する訳ではありません。
あくまで変動幅、変動時間などで総合的に考えるのが、「血圧」。
しかし、一瞬の血圧値で、取り消せない事故が起こるのも事実。

そんな、血圧管理の重要性をあらためて認識するのが、
日本の「冬」です。とはいえ日本は、実に広い。
氷点下になる地域の方は、特にご注意ください。

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2011年1月19日放送 NHK総合テレビ

本当に血管が若返る!コレステロール調節術
今回の番組について
コレステロールと言えば、血管にたまって動脈硬化を引き起こし、
心筋梗塞など命に関わる病気の原因となる悪いやつ・・・というのはもはや常識。
誰もが一度は聞いたことがある善玉・悪玉の話や、
コレステロールを下げる食品の話など、さまざまな情報があふれています。
ところが今回、番組が調べてみたら、
意外にもコレステロールについては知らないことが、た~くさん。
例えば・・・。
「卵に含まれているコレステロールは善玉?悪玉?」
この質問に、自信をもって答えられる人は、驚くほど少ないんです!
意外と知らないコレステロール、今さら聞けない基本から最新情報まで、一挙公開です。

番組ディレクターのひとこと
コレステロールは栄養!
コレステロール=悪いもの」というイメージがすっかり定着していましたが
「体にとって重要な栄養素の1つ」でもあるんですね。
コレステロールを減らそう」と、がんばり過ぎて、
「低栄養」になってしまうケースもあるとのこと。
気をつけたいです。


最新研究 血管は若返る!
血管の内側にコブのようなふくらみ(=プラーク)ができる「動脈硬化」。
これまでは、プラークを「大きくならないようにする」ことはできても、
「小さくする」ことはできないと考えられてきました。
しかし、最新の研究ではそれが変わってきています。
実際の患者さんの血管の中で、
いわば「血管若返り」といえる現象が起きることが分かってきたのです。
狭心症を患った、ある患者さん。
「血管内視鏡」という最先端の検査機器で、心臓の血管の中を直接見てみると、血管の壁が黄色く変色していました。
コレステロールがたまり、動脈硬化を起こしていたのです。
しかし、治療を続けて1年半、再び内視鏡検査を受けたところ、
なんと壁の色が健康な白色に!
超音波エコーを使った検査でも、動脈硬化が改善していることが分かりました。
動脈硬化を改善する方向へ進める主役となる物質は、“善玉コレステロール”です。
コレステロールの話で必ずといって良いほど出てくる、善玉・悪玉という言葉。
2つのコレステロールには、一体どんな違いがあるのでしょうか?


善玉・悪玉って何が違うの?
コレステロールは細胞を包む膜(=細胞膜)の材料で、すべての細胞に含まれています。

でも、細胞の中のコレステロールは善玉でも悪玉でもありません。
いわば、ただのコレステロール
実は、善玉・悪玉と呼ばれるのは「血液中を運ばれているとき」だけなのです。
血液中でコレステロールを運ぶのは「たんぱく質」です。
たんぱく質には、大きく2種類あり、
肝臓から細胞へと新しいコレステロールを配達するものと、
細胞から古いコレステロールを回収して肝臓へ捨てに行くものがあります。
いわば配達トラックと回収トラックです。
この、配達トラックと積み荷のコレステロールをあわせて“悪玉コレステロール”と呼び、
回収トラックと積み荷のコレステロールをあわせて“善玉コレステロール”と呼んでいます。
積み荷のコレステロールそのものは同じ。
運んでいるトラックと、運ばれていく方向が違うだけなのです。
ですから、卵などの食品に含まれているコレステロールにも
善玉、悪玉という区別はありません。
私たちが食べた後、吸収されたコレステロールが血液中を運ばれるとき、善玉になったり悪玉になったりするのです。
さて、配達と回収はどちらも人体にとって大切な働きです。
なぜ、配達は悪玉、回収は善玉と呼ばれているのでしょうか?


驚きの“善玉”効果
食生活のバランスが崩れたりして、配達トラックが血液中に増え過ぎると、血管の壁の中にコレステロールが入り込んでしまいます。
すると、白血球の一種であるマクロファージがやってきてコレステロールを食べ、掃除しようとします。
しかし、マクロファージにはコレステロールを分解する力がありません。
食べ過ぎたマクロファージは死んでしまい、どんどん血管の壁の中にたまっていきます。

こうしてできるのがプラークなのです。
配達トラックは増えすぎると動脈効果を起こしてしまうので、
“悪玉”と呼ばれているのです。
一方、回収トラックは、細胞から余分なコレステロールを回収する役割なので“善玉”と呼ばれます。
でも、これまではプラークを小さくする程の力はないと考えられていました。
ところが最近では、それができるということが分かってきたのです。
回収トラックは、いったん進んでしまった動脈硬化を改善してくれる、
まさに“善玉”コレステロールだったのです。
それでは、回収トラックを増やすにはどうしたら良いのでしょうか?


善玉を増やす方法 大公開!
善玉を増やす方法を聞きに、ある大学の女子学生グループに会いに行きました。
この年代の“善玉コレステロール”平均値は、およそ65mg/dl。
ところが彼女達はほとんどが90mg/dl以上、100mg/dlを越える人も少なくありません。

実は、彼女達は陸上の長距離選手。毎日のように朝晩2回のランニングをしていたのです。
善玉を増やすには「有酸素運動」が有効です。ランニング以外の運動でも大丈夫。
1日に歩く歩数が多ければ多いほど、善玉の値も高くなることが分かっています。
ところで、運動で“悪玉コレステロール”値を下げようとしている方は多いですが、
運動には悪玉を低下させる直接的な効果はないことが分かってきました。
「運動しているのにコレステロールが下がらない」
とお悩みの方も、ガッカリすることはありません。
悪玉が下がらなくても、善玉が増えれば回収する力が上がるので、
動脈硬化を改善する方向に向かうと考えられています。


男女で違う!コレステロールの危険度
コレステロールで悩む60代のご夫妻。
3年前の“悪玉コレステロール”値は妻178mg/dl 、夫143mg/dl でした。
基準値は140mg/dlですから、妻はかなり高い値です。
そこで、2人の血管が、どのくらい動脈硬化しているのか、血管の硬さを測る検査や、 超音波で頸(けい)動脈を見る検査(頸動脈エコー)などで詳しく調べてみました。
すると、妻はほぼ正常でしたが、夫はかなり動脈硬化が進んでいるという結果!
夫の方がコレステロール値が低いのに、どうしてこんな結果になったのでしょうか?
実は、動脈硬化の進行は男女で大きな差があるのです。
女性ホルモンには、“悪玉コレステロール”値を下げる作用をはじめ、
血管を保護する様々な効果があります。
そのため、40代までの間、女性の血管は男性よりはるかに若く保たれています。
女性ホルモンの値が下がってくる 50才前後になると
“悪玉コレステロール”値が急上昇して、男性より高くなることも多いですが、
動脈硬化はすぐには進みません。いわば“若さの貯金”があるのです。
一般に女性の血管は男性よりも10才若いと言われます。
この違いがひと目で分かる表がありました。それは・・・。


あなたの危険度はどのくらい?
コレステロール値が最も大きく影響する病気は心臓病です。
そこで、およそ1万人の日本人を19年間調査した結果をもとに、
コレステロール値」と「心臓病」の関係を示す表が作られました。
出典:NIPPON DATA80 (一部改変)
滋賀医科大学島弘嗣名誉教授
女性は同年代の男性に比べて、はるかに危険度が低いことが分かります。
しかし、喫煙、高血糖など他の危険因子がある場合、女性でも危険度は高くなります。
特に、血糖値が高い場合は男性よりも危険になる場合もあるので注意が必要です。
コレステロールの治療を受けている方は、医師の指示に従って下さい。


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朝日新聞の医療サイト「アピタル」
世界中の最新医学論文から、坪野吉孝・東北大大学院教授が、興味深いものをわかりやすくかみ砕いてお届けします。

余暇、座る時間で死亡率に差 坪野吉孝 《東北大教授》

余暇時にテレビを見るなどして座っている時間が長いほど、何らかの原因で死亡するリスク(総死亡率)が高くなるという論文が米国疫学雑誌に8月掲載された。
米国の50~74歳の男女12万3216人を対象にした。余暇時に座っている時間について、「過去1年、平均的な日に(仕事に費やす時間を含まず)、1日何時間座って(テレビを見る、読書をするなど)過ごしましたか」と尋ねた。
14年間の追跡の結果、余暇時に座っている時間が1日3時間未満の場合と比べて、3~5時間の場合の男性の総死亡率は1.07倍、6時間以上だと1.17倍だった。女性では1.13倍と1.34倍だった。余暇時の運動時間が同じでも、座っている時間が長いほど総死亡率が高かった。
座っている時間と運動時間を組み合わせての分析も行った。座っている時間が1日3時間未満・運動時間(ウオーキング換算)が週15時間以上の場合と比べ、座っている時間が1日6時間以上・運動時間が週7時間未満の場合、総死亡率は男性1.48倍、女性1.94倍と高かった。座っている時間と運動時間を組み合わせて分析したのは今回の研究が初めてという。

運動時間が長ければ座っている時間は短くなりそうだが、今回の対象者では、運動時間が長くても、座っている時間は短い場合も長い場合もあった。そのうえで著者らは、肥満などの対策には、運動だけでなく、余暇時に座っている時間を減らすことを含めるべきだと結論付けている。
研究の問題として、仕事で座っている時間や運動時間が考慮されていない点が挙げられるが、著者らは、この点の影響は小さいと考えている。対象者の多くは仕事をしていない退職者か家事従事者で、しかも、このグループに限った分析でも結果は変わらなかったからだ。とはいえ今後は、余暇と仕事を合わせた生活状況の全体をより正確に把握するために、仕事で座っている時間や運動時間も考慮に入れた研究が必要だろう。
(2010年11月29日付 朝日新聞東京本社夕刊から)

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NEAT(非運動性活動熱発生)をご存知ですか?

座っている時間を短くすることが健康の秘訣かもしれません
以前(2009年12月号)に定期的な運動習慣をつける事が健康を保つのに重要である事をお話し致しました。よく効果的な運動の方法を教えて欲しいという意見も頂戴しますが、理想的な運動習慣であっても続かなければあまり意義がありません。継続こそ力なりです。継続のコツは必ずしも理想的な内容をやる事ではなく、できる事・続けられそうな事・楽しい事に取り組む事だと思います。
さて今回は運動によらない身体活動のエネルギー消費であるNEAT(Non-Exercise
Activity Thermogenesis)に関する話です。身体活動にはスポーツやジョギングなどの運動と、家事や通勤時の歩行などの日常生活活動とに分けられます。NEATは日常生活活動にほぼ相当します。

現代人は運動不足に陥っていますが、これはNEATの減少が大きな原因と考えられています。科学が進歩し生活が便利になったがために、現代人は日常生活で動かなくなってしまったのです。そしてNEATの減少は肥満の原因にもなっています。ある研究では、肥満の方ほど座っている時間が長い事が報告されています(*1)。
図に示しましたように、肥満の方は座っている時間が1日あたり571分、立っている・動いている時間が1日あたり373分である一方で、肥満でない方は座っている時間が1日あたり407分で150分以上も座っている時間が短い事が報告されています。長い座位時間の主原因となるのがテレビですが、テレビの視聴時間が長いと死亡率が高くなる事も報告されています(*2)。
1日のテレビ視聴時間が2時間未満の方と比較して、4時間以上の方では早期死亡(壮年期・中年期に亡くなる)の危険性が1.67倍、特に心筋梗塞脳卒中に関しては2.12倍も高くなる事が報告されています。

現代人の健康問題としてNEATの減少が主な原因の一つであるならば、NEATを増やせば肥満が防止できたり、健康寿命が延びたりするのではないかと期待されるわけですが、それを示した研究結果をいくつか紹介したいと思います。
米国ノースカロライナ州での研究(*3)ですが、通勤に自動車ではなく路面電車を利用するようになった方では、12~18ヵ月後に体重が平均約3.4Kg減少(身長が170cmの場合)していました。路面電車を利用する事でNEATが増えた事が減量につながったと考えられます。次に健康寿命を延ばすのに、NEATを増やす事が効果的である事を示した研究を2つ紹介いたします。
まず、米国での14年間にわたる観察研究(*4)ですが、余暇の時間に座っている時間が短い方(1日3時間未満)では長い方(1日6時間以上)に比べて死亡率が低く、身体活動による消費カロリーが同じであっても、女性で約27%、男性で約15%死亡率が低かったと報告しています。次に、日本人を対象とした研究(*5)ですが、表をご覧下さい。運動に該当するスポーツをする時間が多い方は、ほとんどない方に比べて脳卒中心筋梗塞などで亡くなる危険性が少なくなり、定期的な運動が大事である事が改めて証明されていますが、今回注目して頂きたいのは、NEATに該当する歩行時間の結果です。歩行時間が1時間以上の方は30分未満の方に比べて、38%も脳卒中心筋梗塞で亡くなる危険性が少ないという結果でした。
1日の平均歩行時間と心血管疾患死亡リスク
30分未満30分程度1時間未満1時間以上
基準26%減少37%減少38%減少

1週間の平均スポーツ時間と心血管疾患死亡リスク
ほとんどなし1~2時間3~4時間5時間以上
基準7%減少18%減少32%減少

このように定期的な運動ももちろん大事で、積極的に行って頂きたいのですが、NEATを増やす事も健康のためにとても重要である事がご理解頂けたでしょうか。“NEATを増やす=座っている時間を短くする”です。
“座るより立つ。さらに歩く”という事を意識して頂ければ、自然とNEATは増えます。例えばテレビは、一般的には座って見ますが、立って見るようにしてみてはいかがでしょうか。さらに足踏みしながら見るようにすればもっと効果的でしょう。また月並みではありますが歩数計活動量計をつけて日々記録(手帳でもいいですしコンピュータに記録するのもいいでしょう)する事もお勧めです。歩数などを意識する事で自然と歩行時間が増えます。筆者も3年以上前から毎日の歩数などを記録しています。


長時間の勤務、特にデスクワークでコンピュータを使い続けていると、肩こり、腰痛、目の疲れ、頭がボーッとする等の症状を引き起こします。適度に休憩をとり、体操などを行うと疲労感は軽減します。また、栄養ドリンクやコーヒーなどを飲用するとカフェイン等の作用で疲労感は軽減します。しかし、疲労感が軽減するのは「マスク」と呼ばれる現象であり、体感する疲労感が一時的に誤魔化されただけで、疲労そのものが改善した訳ではありませんから、無理を続けると過労になる危険があります。

疲労を改善する方法は、休息を取る、睡眠を取る、ということです。
一日に最低6時間は睡眠をとる事が推奨されており、それ以下の睡眠では血糖値の上昇や血圧上昇などの原因となることが報告されています。

食事では、疲労を改善する物質「イミダゾールジペプチド」を摂取すると良いでしょう。これは、とりのむね肉に多く含まれ、1日に50gを食べると有効な量が摂取でき、2週間続けると効果が認められると報告されています。

また、食事で摂取した栄養から効率的にエネルギーを作る「クエン酸」も十分摂りましょう。ユズ、カボス、レモンなどに含まれ、レモン1日2個で必要な量が取れます。

日頃から適度な運動で基礎体力を維持すること、カイロプラクティックで神経系の機能を整えること、鍼灸で気を整えることなどが、疲労物質を処理する身体機能を維持するうえでも重要でお薦めです。

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長時間のTV視聴が心血管疾患関連死リスクに
 ベーカーIDI心臓・糖尿病研究所(オーストラリア・メルボルン代謝・肥満部門身体活動研究室のDavid W. Dunstan室長らは,1日のTV視聴時間が1時間増加するごとに心血管疾患
(CVD)関連死リスクが増大するという研究結果を発表した。
 
1時間ごとにCVD関連死リスクは18%増大

 今回の研究では,1999~2000年に25歳以上の男性3,846例と女性4,954例を登録し,面接と経口糖負荷試験,血中コレステロール値や血糖値などの生物マーカーの評価を行い,2006年まで追跡した。面接では,過去7日間のTV視聴状況を聞き,1日2時間未満,2~4時間,4時間を超える群に分類した。CVD既往者は解析から除外した。

 6年以上の追跡期間中に284例が死亡し,うち87例はCVD,125例はがんが原因であった。


 研究の結果,がんとTV視聴との間の関連は弱かったが,TV視聴時間とCVD死の増加や全死亡増加との間には,典型的なCVD危険因子とライフスタイル因子の調整後も直接的な関連が認められた。

 また,1日のTV視聴時間が1時間増すごとに,全死亡リスクが11%,がん死亡リスクが9%,CVD関連死亡リスクが18%,それぞれ増大することが確認された。

 さらに,1日のTV視聴時間が2時間未満の人と比べ,4時間を超える人では全死亡リスクが46%,CVD関連死亡リスクが80%増大することがわかった。この関連は喫煙,高血圧,脂質異常症,不健康な食事,ウエスト周囲径の増大,余暇時間における運動不足など他の独立した古典的CVD危険因子と関係なく認められた。

 今回の研究はTV視聴に焦点を合わせているが,この結果はデスクワークやパソコン使用などの長時間動かない生活が,総じて健康に悪影響を及ぼすことを示唆している。

 Dunstan室長は「ヒトの身体は動くようにつくられており,長時間座るようにはできていない。人は日常生活のなかで身体の筋肉を動かしていたが,そうした生活のなかの大部分を座って過ごすようになってしまった。技術,社会,経済の変化により,昔ほど筋肉を動かさなくなり,その結果,生活のなかでのカロリー消費は減少している」と指摘している。
Medical Tribune 2010-2-18

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2010年7月30日(金)
座っている時間が長い人は短命?
 座って過ごす時間が長い人ほど寿命が短くなる・・・
 
 これは、米国アトランタの米国ガン協会(American Cancer Society)に所属するAlpa Patel博士らによる研究結果で、医学誌『American Journal of Epidemiology』2010年7月22日号に掲載されています。

 この研究では、特に病歴のない成人(男性53,440人、女性69,776人)を対象として1993年から2006年にかけて14年間追跡調査がおこなわれています。調査期間中に、男性11,307人、女性7,923人が死亡しています。

 BMIや喫煙による影響を取り除いた調査の結果、1日6時間を座って過ごす人は、座る時間aが3時間未満の人に比べて、死亡リスクが女性で34%、男性で17%高くなっていることがわかりました。 

さらに、長い時間座って過ごし、なおかつ運動をあまりしない人に限ってみれば、座る時間が短い人に比べて、女性で94%、男性で48%死亡リスクが高くなっていたそうです。 また、今回の研究では、死因としてガンよりも心疾患の比率が高かったようです。 

この研究で興味深いのは、「運動をすれば死亡リスクをいくぶん軽減することはできるものの、運動(physical activity)を考慮に入れても死亡リスクへの影響は依然として有意である」、ということです。 

つまり、座る時間の長い人は、禁煙して肥満に気をつけて定期的な運動を取り入れたとしても、座る時間の短い人に比べると死亡リスクが高くなる、というわけです。 

今のところこの原因はわかりませんが、座りっぱなしで運動時間(特に脚の運動時間)が短いことで寿命に影響を与える生物学的因子があるのではないかと推測されています。 

この研究結果が普遍的なものだとすれば、職種によって寿命に差がでるはずです。例えば、事務職は(外回りの)営業職に比べて短命、とか、(長時間立ちっぱなしの)脳外科医や心臓外科医は(座りっぱなしの)精神科医より長生き、とかです。周りを見渡してそのような傾向があるようにも思えないのですが、実際はどうなのでしょうか・・・。 (谷口恭)