「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (10) 2020/08/15

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「内臓が溶ける! 急性すい炎  2011年11月18日

酒が肝臓に負担になることは、誰でも思いつくことですが、あまり意識することのない「膵臓」について、普段アルコール15グラム(ショウチュウ50g)程度しか飲んでいない私も、知っておいて注意した方がいいように思います。

アルコールに限らず、脂肪・カロリー・食塩・味の濃いものなどの取りすぎは、消化管だけでなく血管系にも負担になって、体全体の血液や気の流れを悪化させ、さまざまな障害を引き起こすようです。


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NHKあさイチ11月16日放送 <ガッテンコラボ 内臓が溶ける!>
専門家ゲスト:竹山宜典さん(近畿大学医学部外科 肝胆膵部門 教授)

ある日突然、自分の内臓が溶けてしまう「急性すい炎」。多くの場合は、これまで感じたこともないような激しい腹痛に襲われ、即入院。この病気を発症する人は、この20年で4倍と急増しています。そのもっとも大きな原因がアルコールです。詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、毎日60グラム以上、一回に100グラム以上のアルコールを摂取すると、急性すい炎になる危険があがるとされています。また強烈な痛みは出ないものの、知らないうちに進行してしまう「慢性すい炎」もアルコールが原因であり、ひどくなると、糖尿病やすい臓がんなどを発症する危険があります。
今年5月25日に放送した「ためしてガッテン~内臓が突然、溶ける!」の反響とあわせて、沈黙の臓器とも言われるすい臓の病気についてお伝えしました。


突然、内臓が溶ける!急性すい炎
すい臓が溶けてしまい、多くの場合は猛烈な腹痛を伴う「急性すい炎」。
急性すい炎はある日突然発作が起こります。症状は腹部の激痛や背中の痛み、おう吐などがあげられます。多くの場合は我慢できるものではなく即入院になります。
溶けてしまった場合、その部分の細胞は壊死(えし)してしまい、元には戻らず、すい臓の働きを補充する薬を飲むことや、禁酒や脂肪分の多い食事を控えるという食事制限が必要になります。その原因の第一位は、アルコール。毎日60グラム以上のアルコール、ビールなら1.2リットル、日本酒なら2合強、ワインならグラス3杯(500ミリリットル)ほどを飲んでいると危険群といわれます。
また、一度にたくさん飲んだ場合の急性すい炎発症リスクも報告されています。
アルコール100グラムを一度に飲むと、飲まなかった人に比べて4.4倍の発症率でした。ビールなら2リットル、日本酒なら4合弱、ワインならグラス5杯(800ミリリットル)ほどです。
(急性すい炎の原因:アルコール、胆石、特発性、その他)

※急性すい炎の場合は、突然激しい腹痛に襲われ入院して治療することが多いです。
急性すい炎で溶けてしまったすい臓は元には戻りません。半分溶けてしまったら半分のままです。
しかし、すい臓が溶けずに腫れる程度の軽症の場合は完治します。


知られざるすい臓の働き
胃の裏側にあるすい臓。奥まった所にあるため、なかなか異常に気づきにくく、痛みも出にくい沈黙の臓器と呼ばれています。しかし、すい臓と十二指腸のつなぎ目にある乳頭から、消化酵素を出して食べ物を消化するという大事な働きをしています。


知らない間に進行する 慢性すい炎
慢性すい炎もアルコールが1番の原因です。症状は、鈍く繰り返すみぞおち辺りの腹痛、繰り返す背中の痛みなどがあります。痛みは横になり背中を丸めると楽になるという特徴があります。
慢性すい炎は、早期と見られる段階で発見しないかぎり治りません。数年~数十年かけて徐々にすい臓の細胞が壊死して行きますので、やはりすい液やインスリンの分泌量が減っていきます。お酒や脂肪分の多い食事を控えて、すい臓をいたわる生活をしなければなりません。
お酒をやめて消化酵素薬とインスリンなど適正な治療を続ければ普通に生活できますが、お酒を飲み続けると糖尿病を併発するなど病状が悪化します。
(慢性すい炎の原因:アルコール、特発性、その他)

早期の慢性すい炎や、すい臓がんを見つける事ができる最新の検査方法
超音波内視鏡による検査です。大学病院など比較的大きめの病院へ問い合わせてみると情報が得られやすいです。診療科は消化器内科で担当する場合が多いですが、もっと詳しい「すい臓・肝臓・胆のう」専門の診療科がある病院もあります。
ただし、内視鏡による検査ですので誰でも希望すればすぐ受けられるというものではありません。あくまで医師の判断によって受ける検査です。すい臓がんやすい炎の疑いがある場合には、この検査は保険適用されます。

::: 医療関係サイトから

●急性すい炎

1.どのような症状が表れるのでしょうか
重症度によって軽症から周囲の臓器まで炎症が及ぶような重症までさまざまです。
◎痛み
もっとも多いのがみぞおちから肋骨の下側の縁に沿ったあたりの上腹部痛です。さらに背部にも及ぶことがあります。その痛みの強さは激しく、「刺し込むような」「焼けるような」あるいは「のたうちまわるような」「泣き叫んで狂うほどの」痛みといわれ、「すい炎体位」といってお腹を抱え込んで寝ても立ってもいられない状態になります。この激痛が短時間ではなく、持続するのが特徴です。 

◎吐き気、嘔吐
吐き気や嘔吐が強く、吐いてしまった後でも楽になりません。

◎発熱
37~38度の発熱がみられます。

◎その他の危険な症状
すい液がすい臓の細胞を壊して壊死させてしまったり、周囲の臓器まで消化してしまうなど、全身にまで炎症が及ぶ「重症急性すい炎」の場合は、呼吸困難、黄疸、尿量の減少、精神が錯乱するほどの激痛、ショック状態などが現れ、一刻も早く治療が必要となります。
このような危険な症状が現れた場合は重症急性すい炎と考えられ、集中治療や手術が行われますが、重症度によっては致命率が10%を超えることもあり、国の難治性疾患として指定されています。

2.原因はなんでしょうか
胆石症やアルコールの多飲によるものが半数を占めるといわれています。
なぜ胆石症によってすい炎が起こるのでしょうか。胆石症は、脂肪の消化を促進する胆汁成分が固まってできる胆石が、胆嚢や胆管の中にできる病気です。胆管とすい管は十二指腸乳頭部という共通の出口をもっています。この乳頭部に胆石がつまると、すい臓にすい液がたまるとともに、胆汁がすい管に逆流し、すい液が活性化されてすい炎が起こるのです。
一方、アルコールの過剰摂取がすい炎を引き起こすしくみはまだよくわかっていませんが、アルコールによるすい臓の分泌過剰やすい管の狭窄など、さまざまな要因が複合して起こると考えられています。
このほか、食生活の欧米化にともなった高脂血症、薬剤の投与、事故によるすい臓の損傷などもすい炎の原因となります。

3.予後はよいのでしょうか
軽症の場合は、完全に回復してすい臓の機能にも障害を残すことはありません。しかし、原因がアルコール性、胆石、高脂血症などはっきりとわかっているときは、その原因を取り除いたり生活を改めなければ、再発する危険性は高くなるので注意が必要です。
一方、すい臓が広範囲にわたって壊死したような場合は、すい臓の機能が著しく低下していますから、後遺症として糖尿病や消化吸収障害が起こることがあります。


●慢性すい炎

慢性すい炎は急性すい炎のように急激に発症するのではなく、炎症が持続して起こり、長い間に徐々に組織が破壊され、すい臓が繊維化して固くなる病気です。すい液の流出が滞って溜まっている状態で、ごく小さな急性すい炎が発症しては治るというサイクルを繰り返しています。このような状態が6ヵ月以上続いている状態を慢性すい炎といいます。

1.どのような症状が表れるのでしょうか
◎腹痛
みぞおちから左側で、背中に抜けるような痛みが特徴です。痛みの度合いは、急性すい炎のような激痛から鈍痛までさまざまですが、鈍痛が2、3日続くこともあります。
腹痛は食事の後に起こることが多く、とくに脂っこい食事やアルコールをたくさん飲むことが発作の引き金になります。
また痛みのない慢性すい炎の例もあるので、痛みの有無だけで慢性すい炎を判断することはできません。

◎体重減少
徐々にすい臓の機能が衰えるため、すい液の分泌も低下します。それによって消化が不十分になって下痢を起こし、体重が減少するのです。消化が十分でない便は、ドロドロしており全体に油が浮かんでいる感じです。これは脂肪の消化が不十分なためで脂肪便とも呼ばれます。
また、体重減少の原因に糖尿病を合併していることが考えられます。すい臓の機能が衰えると消化酵素ばかりでなく、血糖値を調節するインスリンの分泌も低下します。身体に必要なエネルギー源の血糖を利用できなくなるため、身体に蓄えていた脂肪を分解してエネルギーにするため体重が減っていくわけです。

2.原因はなんでしょうか
アルコールの多飲が慢性すい炎患者の半数を占めるという調査報告があります。約3割の患者は原因不明で、特発性慢性膵炎とよばれます。その他、胆道系の病気が原因の場合も少なくありません。

3.予後はよいのでしょうか
慢性すい炎は、急性すい炎の多くが原因を取り除いて治療に専念すれば回復するのとは異なって、元に戻ることはありません。年月を経ることで次第に悪化していきますので、発症したら一生この病気と付き合っていくことになります。また、糖尿病やすい臓癌をはじめとする悪性腫瘍を合併する率が高いので、しっかりした治療と定期的な受診や検査が必要な病気です。