いままでの記録 [5]


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[ブログ 人間とは・・心とは・・・]

何もわからずブログを始めて2年が過ぎて、掲示板で使っているのと同じIDにそろえることにしたので、ここに新しくブログを開設・移動して、いままでの投稿記事は2回にまとめて記録し、続けることにした。 

いままでにも書いてきたが、私は子どものころから親や教師や大人の社会に疑問を感じて育ってきて、それがいまの政治・経済・文化から教育・医療・スポーツ・宗教にまでおよぶ・・暴力・腐敗・破壊・競争社会を全て疑って見る私の生きる原点になっている。

主に朝日新聞の記事や論説を記録の意味も含めて記録し、政治や社会をつくっている私たちひとりひとりの人間の心のありかたについてひとこと書いてきた。この競争社会の犠牲になっている子どもたちや女性から経済的な弱者に至るその過程や背景を、常識とか過去の観念にとらわれないように気を付けながら、教育や政治や社会の出来事を新しい目線で見ていきたいと思う。


子ども・女性と貧困・虐待  2015/11/1(日) 午後 5:24

消費税10%で軽減税率が問題になっているが、その前に考えなくてはならないのは、母子家庭や雇用形態に見られる格差・貧困の問題がある。政治や経済の前に、すでに学校教育が競争を前提にすすめられて、世界にも紛争の犠牲者である難民が増え続けていて、各国の対立と争いは歴史を書き換え続けている。

そんな社会の犠牲になるのはいつも子どもたちで、女性と子供が虐待され、いじめられる社会は変えることができないのが人間の歴史なのだろうか。

政治はひとりひとりの考えや生き方の集約であるから、社会の事実に目を向けて、私たち一人一人の意識が変わってゆかない限り、社会は変わってゆかないだろう。

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(フォーラム)子どもの貧困:1 みんなの考え   朝日 2015年11月1日05時00分

 「子どもの貧困」とはどんな状況を指すのでしょうか。朝日新聞デジタルのアンケートで、子どもの貧困の問題を身近に「感じる」「やや感じる」と答えた人が7割近くいます。まず、きょうと明日、みなさんの意見をもとに考えます。ひとり親家庭で育ち、いまは同じような境遇の子どもを支援する学生の体験とともに紹介します。

 ■親から子へ、連鎖しがち

 アンケートには、多くの方から自らの体験が寄せられています。

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 ●「母子家庭です。横浜市は中学で給食がなく、部活に異常なまでの費用がかかる。食べ盛りなのに、なんでもお金がかかりすぎて精神的にもつらい。宿題もでないため、塾に行かせられない家は学力を上げることもなかなか難しい」(神奈川県・30代女性)

 ●「我が家も母子家庭で、いつもガスや電気が止まりそうになったり、実際に止まり、再開してもらうお金がなかったりなど、常に貧乏生活でした。子どもには申し訳ない気持ちでいっぱいでした。子どもの貧困、と言っても、親の貧困生活をそのままかぶっているだけです。そして、貧困は、親から子へ連鎖しがち。今の日本のしくみでは、です」(福島県・50代女性)

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 <孫2人を十数年養育>

 ●「貧困家庭で育ちました。父親が無職で経済的に不安定。家の食事は粗末で、いつもおなかをすかせていました。学校給食が唯一のバランスのとれた食事でした。その後両親は離婚し母親が働きに出たので生活は安定しましたが、家庭のだんらんはほとんどありませんでした。子どもには親とのだんらんの時間、そしてバランスのとれた食事、教育、すべて必要です」(東京都・40代女性)

 ●「両親の監護が受けられない孫2人を養育し十数年。年金収入だけではとても30~40代の子育て世代と比較にはならない。働くことには抵抗ないが約70歳、稼得能力もたかがしれてる。過去に親族里親の認定を申請した。児童相談所は理解を示してくれたが、行政判断は不認定であった」(長野県・60代男性)

 ●「息子が1歳の時に離婚、今は小4ですが、洋服は今まで靴下や下着に至るまで、知り合いのお古で間に合わせ、新品はほとんど買ったことがありません。2着の服を毎日かわるがわるきているので友達から『毎日おんなじ服』と言われるそうです。習い事は、経済的にきついことと、私が朝昼夜三つの仕事を掛け持ちし、送り迎えできないこととで、ひとつもさせていません」(滋賀県・40代女性)

 ●「自分自身が一時的に無保険状態の子どもでした。当時は『保険証があったら病院に行きたいんだけど』と思うような場合でも、それを言うと親を困らせると思い、言い出せませんでした」(長崎県・30代女性)

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 <財布の中身気にする子>

 ●「遺児家庭です。1歳と小1の息子を抱え今年で13年があっという間に過ぎました。幸いなことに二人とも希望校へは行きましたが、塾には通わせられず、お小遣いもあげたことはありません。子どもたちはいつも私のお財布の中身を気にしています。奨学金は子どもの借金。それでも社会貢献が出来る仕事につきたいと考え自分のことを後回しにしている親子は、心だけ貧困ではないとは思っています」(北海道・50代女性)

 ●「私の子どもは靴1足。服はほとんどもらいものかリサイクル。おもちゃも本も。今は子どもに自転車を買ってあげたい。何年も前からサンタさんに子どもがお願いしています。苦しいけれど貧乏だと思われないように払うものは払い、体は清潔にしています。私も夫も子どもを愛しています」(東京都・40代女性)

 ■自己責任などありえぬ

 職場や知人など、身近にある貧困の現状も寄せられました。

 ●「小学校教諭の友人から、クラス内に6人、給食で飢えをしのぐ子がいると聞きました。夏休みが明けるとガリガリになっているそうです。高卒で働いているけれど給与を親に搾取される子の話も近くにありました。学校にほとんど通えず、字が書けない子も。そのような子どもがいながらも埋もれている現状で、格差はますます大きくなっているように思います」(京都府・30代女性)

 ●「友人がシングルマザーで、2人の子どもと暮らしている。正社員でフルタイム残業ありでも月13万円ほど。離婚した夫から養育費はもらっておらず、扶養手当数万円でギリギリの生活。彼女自身も母子家庭に育ち、経済的な理由で大学進学がかなわなかった。子どもの境遇に自己責任などありえない。自己責任論は弱いものにしわ寄せがくるだけ」(東京都・30代女性)

 ●「高校の教員をしている。昼休み弁当もお金もなく、校内をさまよい歩く生徒。修学旅行に行かない生徒が50人以上。部活でのプロテイン配布が唯一のたんぱく源である生徒」(大阪府・60代女性)

 ●「小児科医なので貧困のため不適切な環境で生活する子どもによく接します。母子家庭でワンルームマンション生活。自転車もなく、学校以外での生活に大きな格差。塾での交流、休みの日の外出、旅行など皆無です。こどもらしい遊びや、体験をする機会はないです。こどもが成長発達してゆくために、学校以外での生活環境の整備が不可欠です」(香川県・60代男性)

 ●「学校現場で気づくことは、学習の遅れや、親子を通しての諦め感が強いこと。家庭で学習を見てくれる人がおらず、学習の習慣が全く身につかない。そのまま中学へ行くため、高校受験すら諦めている子どもたちが多いように思う」(高知県・20代女性)

 ■それぞれの悩み、受け止めて 母子家庭で育った内山田のぞみさん(22)

 4歳の時、父の借金が原因で親が離婚して以来、バスガイドの母と2人で暮らしています。母は早朝に出勤するので、1人で朝ご飯を食べて小学校に登校していました。9万円の家賃は重く、母は夜遅くまで、時には泊まりがけで働いていました。小学4年で都営住宅に入居でき、負担が減りました。習い事もしており、自分が特別とは思っていませんでした。

 中学校では成績はいい方でしたが進学塾には行かずに都立高校に進みました。進学塾に通う子らを「ずるい」と思っていました。自分の学力レベルが分からず、高校受験の情報格差もつらかったです。

 お金持ちになりたいと思ってずっと勉強していました。貧困を脱するには学歴だ、と。資金を得るため、高校1年から焼き肉店でバイトをしました。具体的に夢を描けたのは、慶応大を卒業した焼き肉店の息子さんが話してくれた大学の話。世界が広がったんです。バイト代で塾に1年通いました。大学の学費は、母がためてくれたお金と私のバイト代の貯金、貸与型奨学金で工面しました。学費、高すぎます。

 そんな経験から、私の中の「子どもの貧困」は教育格差。いま、生活困窮家庭の子に無料で勉強を教えるNPO法人「キッズドア」の活動に関わっています。私も進路の悩みを聞いてくれる大人が欲しかったので、そうした場は大事です。

 私がメディアに取りあげられた時、ネットに「私立大に行っている。それって貧困じゃない」と書かれ、ショックでした。極端な例だけが子どもの貧困だと思わないでほしい。取材でがっかりしたような顔をされたこともあります。かわいそうと思うかどうかで線引きされる。

 生活保護は受けてないし、特別なドラマもない。苦しいけれど、声を出せない人の方が多いと思います。子どもの貧困対策に取り組む活動を通して、私も貧困を狭い範囲で捉えていたのではないかと気づきました。ちょっと貧乏でも、かなり貧乏でも、子どもは悩んでいます。私の支えは、私のことを気に掛けて「のぞみの好きなようにしていいよ。応援してるよ」と励ましてくれる母やバイト先の人、親戚でした。一人ひとりの子どもの困っている思いを、受けとめる社会であってほしいです。(聞き手・中塚久美子)

     *

 うちやまだ・のぞみ 慶応大4年。子どもの貧困対策に取り組む一般財団法人「あすのば」の学生理事。

     ◇

 私たちは10月から、シリーズ「子どもと貧困」をスタートし、貧困の現状について記事を掲載しました。今後、さらに掘り下げ、支援のありようや制度の課題などを取り上げながら、解決の糸口を探っていきます。フォーラム面ではこうしたことをみなさんと一緒に考えていきます。これまでの記事は朝日新聞デジタルhttp://t.asahi.com/ijup別ウインドウで開きます)で。

 ◇あすも 子どもの貧困<2>、8日は子どもの貧困<3>を掲載します。

 ◇アンケート「子どもの貧困どう考える?」をhttp://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きますで実施中です。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするでも受け付けています。



(社説)児童虐待 地域で予防を考えたい  2015年10月9日05時00分

 全国の児童相談所(児相)が2014年度に対応した子どもの虐待は8万8931件で、過去最多を更新した。

 数字はあくまで児相が関わった件数だ。児相が知らないまま、虐待死が刑事事件になるケースなどを考えると、事態はもっと深刻だとみるべきだろう。

 虐待から子どもを救う取り組みを強める必要があることは、論をまたない。加えて、虐待に至る手前で必要な支援をする予防的な取り組みにも、力を入れる必要がある。

 13年度の虐待に伴う死亡・重症事例を分析した厚生労働省専門委員会の報告書は、虐待の発生と重篤化を防ぐために、妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援が必要だとしている。死亡事例の多くで、地域とのつながりが希薄だったとの実態も浮かび上がっている。

 4月に始まった子育ての新制度では、家庭や子ども支援の実施主体として市町村を位置づけ、子ども・子育て会議を置くことになった。行政のほか有識者や保育、教育の事業者、子育ての当事者やNPOの関係者らがメンバーになり、子育て施策に関する地域の中核としての役割が期待されている。

 この会議で虐待の予防を重要テーマと位置づけ、地元の現状や必要な対策、現状でどこまで対応可能か、何が必要かを話し合ってはどうだろう。

 虐待の背景には、親の孤立がある。子育てに悩む親からの「SOS」を早くつかむために妊娠から子育てまで、一つの窓口で継続的にサポートする取り組みも始まっている。

 厚労省は今年度、そんな拠点を150市町村に設置する。母子手帳を渡す際に「頼る人がいない」「経済的に不安」といった状況がわかれば、利用できるサービスを紹介し、利用を促すことができる。

 親が立ち寄る集いの場を設けるNPO法人も全国にある。集いに出てこられない親向けに、研修を受けた子育て経験者が自宅を訪れ、一緒に食事を作って食べたりおしゃべりをしたりする活動もある。

 こうした取り組みを広げていくことで、親の孤立を防ぐとともに、虐待の芽も摘むことができるのではないか。

 両親の不和や離婚、死別。非正規労働など不安定な雇用。貧困と不十分な教育。親の孤立も子どもへの虐待も、背景には様々な要素が入り組んでいる。

 だからこそ縦割りを排して、官民が協力する取り組みが不可欠だ。その中心に子ども・子育て会議を位置づけたい。



(時時刻刻)虐待、その向こうに 愛せない、親が抱える不安  2015年10月9日05時00分

 児童虐待の増加が止まらない。子育てへの不安や虐待の連鎖、経済的な問題など、虐待する親はさまざまな要因を抱える。児童相談所は親子関係の修復に向けた支援を進めているが、決定的な対応策はない。▼1面参照

 ■「娘に完璧を求め、できないと許せなかった」/「母は食事を作らず、帰って来ない日もあった」

 愛知県豊橋市村松葉子さん(40)は長女(5)が歩き始めたころ、「娘が思い通りにならない」といら立ちが募った。泣いてもあやさずに放置。しだいに手をあげるようになり、出かける直前のおむつ替えの時は、激しくお尻をたたいた。

 夫(40)とは再婚で、前夫と離婚後、精神的に不安定な時期があった。不安をさとられまいと完璧な育児を目指し、離乳食は全て手作りで、紙おむつは使わなかった。自らも小学生のころ、言いつけを守らないと母親にたたかれた。

 「娘を苦しめたくないのに完璧を求め、できないと許せなかった」。たたくことは、普通だと思っていた。海外出張の多い夫は虐待に気づかなかった。

 パートを始めて長女を保育所に預けると、心に余裕ができた。子育ての苦しさを受け止めてくれる人がいたことが、虐待をやめるきっかけとなった。今は子育て中の母親の交流の場や講座を開く団体で活動する。「頑張っても周囲に認められず、母親は孤独を抱えている。完璧でなくていい、と伝えたい」と村松さん。

 大津市に住む女性(50)は小学2年から母子家庭で育った。生活は貧しく、お風呂に入れるのは週に1度ぐらい。母親は食事を作らず、帰って来ない日もあった。「仕方なく育てている」という母親の言葉が今も胸に突き刺さっている。

 中学2年で家出した。18歳とウソをついて、ホステスとして働いた。「体を提供すれば、男の人が私を大切にしてくれる」と、寂しさから売春を重ねた。

 21歳で結婚。長男を産んだが、わがままを言われるたびに頭に血が上った。長女が生まれ、「この子さえいなくなれば」と思い詰めた。夜泣きがうるさくて別の部屋に放置すると、翌朝、長女は亡くなっていた。乳幼児突然死症候群と診断されたが、「私が殺した」と感じた。次女が生まれたが、長女への罪悪感から覚醒剤に溺れ、育児を放棄した。

 夫と離婚し、子どもは夫のもとへ。1年後、寂しくて引き取りたいと言うと、「薬をやめられていないのに、子どもを巻き込むな」と言われた。その言葉をきっかけに、依存症からの回復を支援する施設に入り、5年かけて薬をやめた。

 子どもたちとも時々会うようになった。「『なぜ自分の子どもを愛せないの?』と、思うかもしれない。でも、虐待してしまう親も愛情を受けて育っていないことを知って欲しい」

 ■家計や心身、サポート 児相・自治体、連携に課題

 全国児童相談所長会が児相を対象に行った2013年の調査では、虐待の要因とみられる家庭の状況(複数回答)は、親が精神的に不安定など「虐待者の心身の状態」が32%で、「経済的な困難」が26%。「育児疲れ」も15%に上った。単一回答で聞き取ったところ、虐待を主導した人の8・2%に虐待された経験があった。

 児相や自治体は、子どもが再び虐待を受けずに安心して暮らせることを目指す。そのためには虐待した親への支援が必要で、聞きとりをもとにした虐待の要因に応じて児相が中心に対応。経済的に苦しければ生活保護などの制度を紹介し、親が精神的に不安定なら医療機関の受診を促す。

 子育て方法を学ぶプログラムも活用。例えば、日常の場面を想定し、注意する時、ほめる時の言葉や接し方を練習する。

 親の支援を踏まえ、子どもを家庭に戻すかどうか判断するため、厚生労働省は「子どもは家庭復帰を望んでいるか」「地域では公的機関などの支援体制が確保されているか」といったチェックリストを示している。

 静岡県藤枝市の県中央児童相談所では独自のリストを作成。虐待されて施設や里親に預けられた子どもを常時100人前後支援するが、14年度中に家庭へ戻ったのは12人だった。担当者は「親が復帰を強く希望しても、子の安全確保が最優先。どの環境が子どもにとって一番なのかという姿勢で対応する」と話す。

 ただ、家庭復帰の判断は難しい。高知県香南市で14年12月、当時3歳の女児が母親らに布団です巻きにされ、窒息死した。この女児は虐待されて施設に入った後、児相の支援を経て家庭に復帰。14年9月に当時住んでいた高知市が支援を引き継いだ。この事例の検証報告では、母親は経済的な苦しさや精神的な不安定さを抱え、高知市は把握していたが、支援が追いつかなかったとみなされた。(長富由希子、畑山敦子)

 ■<考論>「親子一緒」限界も

 西澤哲・山梨県立大教授(臨床福祉) 子どもが亡くなるような深刻な虐待では、親の多くが幼少期に虐待されたとみられる。愛された経験がないため異性や薬物に依存して子どもをネグレクト(育児放棄)し、殴られて育ったため「しつけには体罰が必要」と暴力をふるう。貧困や精神疾患などの問題が芋づる式に起きる人も多い。親の問題が根深いと虐待を止めるのは難しい。親子で一緒に暮らせるようにすることをあきらめ、信頼できる大人のケアで子どもが暮らせることも社会の責任だ。

 ■<考論>地域の手助け必要

 宮島清・日本社会事業大准教授(児童福祉) 様々なトラブルを抱えながら、しんどい暮らしをしている親子は少なくない。特に虐待した親の困難は深刻で、反省を求めたり子どもへの接し方を訓練したりするだけでは十分ではない。親子の状況を把握し、児相だけでなく市区町村や保育所、学校、病院なども関わるオーダーメイドで包括的な支援が不可欠だ。親が変わるのを待つだけでなく、例えば保育所入所や子どもの食事・洗濯の補助など、地域が親子とつながっていく支援をすべきではないか。



児童虐待―司法も防止の手助けを   2015年9月24日02時03分

 虐待を受けた可能性があるとして、児童相談所に警察が通告した今年上半期の18歳未満の子どもは1万7千人超と過去最多を更新した。警察が親や養親を逮捕・書類送検した事件数も376件と過去最多だった。

 両親が3歳の次男をウサギ飼育用のケージに入れ、暴行を加えて死亡させた▽父が生後4カ月の長女の腹部を殴って死亡させた――。いずれも今年発覚した事件だ。

 虐待の実態は外から見えにくい。近所の人が見かねて注意しても開き直ったり、しつけだと言い張ったりする親もいる。

 虐待が増える背景には様々な理由がある。核家族化や社会とのつながりが希薄になって孤立する親の存在や、貧困による生活不安などから、目の前にいる最も弱い存在の子どもにストレスのはけ口が向かいやすいといった点も指摘される。

 繰り返し虐待事件を起こす親が少なくないのも特徴だ。

 虐待対応の中核は児童相談所が担っている。だが、深刻なケースほど親は児相の介入に反発しがちで、「児相頼み」では解決は難しい。再発を防止するには、司法や学校など複数の機関の連携が不可欠だ。

 高松地検は昨年12月から、児童虐待で親が送検されたら児相や市町村の担当職員、学校の教師、医師ら事件の関係者に集まってもらう試みを始めた。起訴すべきか判断する前に、どうすれば再発を防げるのか、意見を聴いてから決めるためだ。

 9カ月で扱った事件数は10件。処分保留で釈放され、児相の支援を受けながら立ち直り始めた親もいるという。

 過去に虐待事件を担当した経験から、検察の役割を考えてきたという酒井邦彦・高松高検検事長は「重い刑罰を科しても、親の虐待傾向が収まらない限り再発の危険はなくならない。子や親を取り巻く人たちが情報を寄せ合い、児相の指導につなげる方が子どものためになるはずだ」と話す。

 立場の違う人の間に顔の見える関係ができれば、相談しやすくなる効果もあるだろう。虐待事件の多い都市部で同様のことをするのは難しいかもしれないが、参考になる取り組みだ。

 福岡市と和歌山県では、児相に常勤の弁護士を配置している。子どもの保護など、親権を制限してでも即決すべきケースは多い。家庭内に踏み込む以上、法的な助言が欠かせないのは全国の児相も同じだ。

 虐待対策に特効薬はない。行政の縦割り意識を捨て、社会総がかりで取り組むしかない。


果てしなく続く・・・ 2015/11/25(水) 午前 0:29

戦争とは何なのか・・人間同士の殺し合い・・・人間の対立・争い・憎しみ・破壊・悲惨の繰り返しの源は、私たち個人の「他者に対する心配り」なのだが、人類の憎しみは果てしなく続いている。

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(時事小言)ISのテロ攻撃 空爆では解決できない 藤原帰一 朝日夕刊 2015年11月24日

 2001年の同時多発テロ事件から15年目、また大規模なテロが起こってしまった。事件の発生したフランスはシリア北部において従来を超える規模の空爆を行い、アメリカとロシアも軍事介入を拡大した。無差別テロと空爆の応酬である。

 同時多発テロ事件を引き起こしたアルカイダと比べても、IS(いわゆる「イスラム国」)は極度に暴力性が高い。イラクからシリアに勢力を広げつつ人質の斬首を繰り返し、ロシア旅客機を爆破し、今回はパリで複数の襲撃を実行したうえに、アルカイダと違って旅客機爆破についてもパリのテロについても犯行声明を行った。欧米諸国ばかりでなくシリア・イラクの人々の安全も奪う存在である。

 同時多発テロ事件当時のブッシュ大統領などと違い、オバマ大統領、そしてフランスのオランド大統領も当初軍事介入には慎重だった。世界各国も一般にイラク・シリアへの軍事介入には消極的だったといっていい。テロ攻撃は欧米諸国による武力行使への報復であるというISの主張は正当ではない。武力行使の始まる以前からISによる殺戮(さつりく)が展開していたことを忘れてはならない。

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 だが、テロ事件後の欧米諸国の情勢も憂慮される。既にシリア難民の受け入れ拒否が広がっていたが、テロ事件後にはそれがさらに加速している。9・11事件の後は、敵はテロリストであってイスラム教徒ではないなどとの公式声明が行われ、少なくとも表面的には過激派とムスリムが区別されていたが、今回はそれが乏しい。誰がテロリストなのか判断が難しいことを理由に、シリア難民、そしてイスラム教徒一般も脅威と見なしてしまう。それは欧米多元主義の自壊である。

 既に過去1年、慎重姿勢を一転した各国はシリア空爆を繰り返したが、苦しい状況が続いている。地上部隊の支えのない空爆は戦果を支えることができないからだ。ISへの攻撃が成果を収めた区域はクルド系勢力、さらにイラク軍が活動する区域に集中しており、地上軍の支援をともなわない区域では成果がまだ乏しい。

 だが、パリのテロ事件を受けて各国が地上軍の派遣に踏み切ったとしても空爆に頼る戦略に変わりはないだろう。自軍の犠牲を恐れるからである。

 空爆には誤爆が避けられない。まして情報がとぼしいなかで空爆を繰り返すなら、一般市民への誤爆も拡大する。欧米諸国の介入への反発を広げ、武装勢力が力を強めることになりかねない。

 では、どうすれば良いのか。まず私は、ISに対する力の行使を避けてはならないと考える。テロに立ち向かう上で第一に必要なのは軍隊ではなく警察であるが、ISが中核とするシリア・イラク地域では通常の警察行動による排除を期待することはできない。ISを相手とする限り武力行使を避けることができない。

 だが、空爆に頼る軍事介入には賛成できない。国外の勢力による武力行使がその土地の人に正当なものとして受け入れられることは少ない。必要なのは住民の安全を高めることが明確であり、人々も前より安全になったと認識するような武力の使い方である。

 私は2年前のこのコラムにおいてシリア紛争については難民への支援を第一に考え、その目的と結びついた地上軍派遣が必要であると主張した。難民支援とは武力を排除した人道的活動ではなく、難民の安全を保つためには十分な規模の地上軍が必要となる。だが、そのような軍事介入は、空爆よりも人々の安全とのつながりが明確である。

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 シリアではクルドとの対立からトルコ政府が国連難民キャンプの設立を拒んできた。そのためにトルコは本国の中に膨大な難民を受け入れ、それが財政負担となるばかりかトルコ国内でテロ事件が発生する原因ともなった。それから2年、国連の関与を認めないとはいえトルコの中にも数多くの難民キャンプが生まれている。

 ここに一つの鍵がある。空爆すれば相手を倒せるというのは希望的観測に過ぎない。難民の安全を図るため安全な地域を確保し、難民の信頼を得るとともに、そうした安全な地域を難民キャンプの外へ次第に拡大する。地味で困難なうえに危険な作業だが、破綻(はたん)国家に平和をもたらすためには避けることのできない選択である。

 ISと妥協する余地はない。しかし、武装勢力どころか武装勢力の犠牲者である人々から信頼を勝ち取ることができなければ、敵と味方の不寛容な対立を広げ、テロと空爆の連鎖が続いてしまう。それはまた欧米社会における多様な民族や宗教の共存を許す多元主義の崩壊にもつながるだろう。(国際政治学者)


自分の目で見て行動する  2015/12/11(金) 午後 4:55

中学生のことばは新鮮で、社会の仕組みに適応して知識を積み重ね、常識的にしか見ていない大人には見えなくなった本質がここにも見えてくる。政治・科学・文化の専門家・指導者が社会を支配しているなかで、それに従ったものの見方しかできない固定した観念から出て、自分の目で見て行動することが社会を真に変えていくことの大切なことを、この中学生のことばから学ぶことができる。

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若い世代 地球守るため小さくとも実践を 朝日(声) 2015年12月11日

 中学生 吉川真理衣(東京都 13)

 国連気候変動会議(COP21)が開かれ、環境問題に関するニュースが連日流れている。異常気象で大勢の人々が亡くなったり、住む場所や職を失ったりしているという。

 でも、どんなに助けてあげたくても、その思いは日常生活の中でだんだんと薄れていってしまう。なぜなら日本という国が豊か過ぎるからだ。水は蛇口をひねれば出てくるし、食べ物もお店に行けば買うことができる。だから、切実な問題なのにどこかに置き忘れてしまう。

 しかし、私たちの星、地球を守れないで人々なんて守れないのだ。私はみんなが自分から意識して実践していくことが大切だと思った。たとえば、照明をこまめに消す、水を大切にする。日本中の人々が、どんなに小さなことでも目立たなくても行動を起こすことが大切だ。


介護をされる人もする人も  2016/1/12(火) 午後 11:57

社会は高齢化が進んで、働く人が減る一方、介護の問題が政治的・経済的に増大して、格差・貧困の問題とともにこれからの改善の方向が見えてこない。

介護をされる人もする人も、単身者であっても家族がいても、その場になってみなければわからない困難な状況におちいって、悲惨な事件を目にも耳にもすることも多い。

消費税が高くなっても、社会保障の予算は実体には追い付かないまま、人々は取り残されてゆくしかないのだろうか。

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介護で泣く人をなくしてほしい 朝日(声)  2016年1月12日

 高校生 末常果南(神奈川県 17)

 学校の授業の一環として老人ホームを訪問した。この時の体験が、介護を考えるきっかけになった。

 核家族化の進行や女性の社会進出の活発化などで、家で介護をすることが困難になっているという。介護疲れによる心中や、老老介護の果ての孤独死といった社会問題も起きている。

 私自身は、祖父を4年前に亡くした。末期の食道がんで、回復の見込みはないと医者に言われた。最期を待つしかない患者を、病院は長くは置いてくれない。しかし、家に連れて帰ったところで、二人暮らしの祖母には何の医療知識もない。介護を任せるのは酷だ。そんな葛藤の中で祖母は泣いていた。

 超高齢社会の日本において、介護は特に大きな問題だ。今の高齢者は戦後、ひたむきに働き、世界と渡り合える国をつくってきた。勤勉な日本人像を作り上げてきた功労者でもある。そうした人々に冷たい社会であってほしくはない。


介護職の娘夫婦の待遇見て憤り 朝日(声)  2016年1月10日

 無職 内村佳子(東京都 62)

 娘と娘婿は介護福祉士です。職場の慢性的な人手不足で、月に5回も夜勤がありますが、その夜勤手当を含めても手取り賃金は月に20万円程度です。

 10年前に娘が介護福祉士の資格を取ったとき、娘が通っていた専門学校の同級生で介護職に就いたのは3割しかいませんでした。残りの人たちは、賃金が安すぎるからと他の仕事を選んだそうです。

 介護施設の人手不足が社会問題となっている中、せっかく介護の勉強をしたのに、経済的な理由で介護職に就くのをあきらめてしまうのは残念です。

 排泄(はいせつ)の介助などの仕事もし、認知症のお年寄りのお相手をして手や腕に引っかき傷を負っても、介護職員は何も言えません。大変な仕事だと思います。

 娘夫婦は介護の仕事が大好きで、一生懸命に働いています。そんな姿を見るにつけ、介護職員の待遇改善がなぜできないのと強い憤りを感じます。


人間がつくった愚かな競争社会  2016/1/20(水) 午後 2:11

法律に基づいた政治・経済活動が、このような格差を生み出している。地球には、人間だけでなく全ての生物を養っていくのに十分な資源があるのに、人間のそのほんの一部が「ひとりじめ」して、多くの人や生物は体を病んで死んでゆく。人間にはそこまで考えることができないのだろうか。

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裕福な62人の富=恵まれない36億人分 資産の格差拡大 NGO推計  朝日 016年1月20日

 国際NGO「オックスファム」は18日、2015年に世界で最も裕福な62人の資産の合計が、世界の人口のうち、経済的に恵まれない下から半分(約36億人)の資産の合計とほぼ同じだったとする報告書を発表した。経済格差が拡大しているとして、世界各国の指導者に是正への取り組みを呼びかけた。

 スイスの金融機関の調査データなどをもとに推計した。報告書によると、上位62人の資産の合計は1兆7600億ドル(約206兆円)で、この5年間で44%増えた。一方、経済的に恵まれない下から半分の資産は41%減ったと指摘。この結果、下位半分の資産額は10年には上位388人分に相当したが、14年は上位80人分、15年は62人分と、格差は拡大しているという。

 背景には、賃金など労働への対価支払いより、株式配当など資本の投資への還元が手厚くされていることなどがあると指摘。20日に始まる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)を前に、政府や経済界のトップらに最低賃金の引き上げや、税制の見直しなどの取り組みを求めた。(ロンドン=寺西和男)


憲法と介護 2016/2/6(土) 午後 11:34

この国の総理大臣は戦争だとか憲法改正に熱心で、日のあたらない影には目を向けようともしない。若い人たちが介護の仕事をあきらめてやめていく片隅で、このような人たちが社会を支えている。

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71歳ヘルパー、喜ばれてます   朝日(声) 2016年2月6日05時00分

 パート 松尾幸子(佐賀県 71)
 私はヘルパー。「大変でしょう。いつまで働くつもり?」とよく言われるが、「辞めたくなるまではね」と答えている。

 損保代理店を32年間続けたのだが、パソコンを使いこなす能力や、保険加入者の事故があれば何時でも駆けつける生活に限界も感じていた。そんな矢先、5年前に暗がりで転んで肩を骨折し、入院3カ月を含めリハビリに半年を要する事態になってしまった。

 それを潮に代理店を同業者に譲り、リハビリ中にホームヘルパー2級を取って介護の仕事を始めた。骨折の後でもあり、料理や掃除など生活支援をしている。80、90歳代の利用者が多く、亡き自分の親への孝行の疑似体験のような気持ちでお世話している。端から見れば老老介護だろう。

 でも、給与が安くてヘルパーのなり手不足なので、猫の手ならぬ「老いの手」も歓迎されている。利用者から「若い人ではこういう料理、味付けはできない」「共通の話題が多くて楽しい」と喜んでもらえる。

 「どれだけ続けられるか」と思いつつ半年、1年、2年と過ぎて4年半。今の目標は75歳までだ。


社会を映し出す学校  2016/3/11(金) 午後 7:54

いま学校では、子どもたちのいじめや自殺が問題になっているが、教育の管理は教師を追い詰めている。人間と人間の争いを集約した世界の中での、政治・経済の社会的要求は学校の中での親・子・教師間の対立を生み出している。
ネットでつながる科学文明の発展に反するかのように、人々の心はつながっているようで、機械化の一部となって人間から離れていくようだ。

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心病む先生、進まぬ対策 新任25歳の自殺「公務が原因」   朝日 2016年3月11日
 東京都内の公立小の新任女性教員が2006年、白殺した。心を病んだ末の死だった。これが先月、東京地裁に「公務災害」と認められた。保護者対応や職場の支援不足などが女性を追い詰めたと、判決は断じた。しかし、心を病む教員は減っておらず、専門家は研修などの対策を促す。

新任25歳の自殺「公務が原因」―保護者への対応で悩み
 「泣きそうになる毎日だけど。。。。でも私こんな気分になるために一生懸命教師を目指したんやないんに…おかしいね」。母親にこんなメールを送ってしばらく経ってから、25歳の女性教員は自殺を図った。06年10月のことだ。女性は同年12月に亡くなった。
 その後、うつ病を患っていた女性の自殺を公務災害としない処分を決めた地方公務員災害補償基金(本部・東京)に対し、両親が処分取り消しを求めて提訴。東京地裁は今年2月、「自殺は公務が原因」として処分を取り消す判決を言い渡した。
 判決によると、女性は06年4月、初めて赴任した学校で2年生を担任。5月、ある保護者に電話で「(児童が)万引きをした」との情報提供があったことを伝えると、「事実を示せ」と激しい抗議を受けた。最後は校長が謝罪する事態になった。
 「小テストの採点は子ども同士ではなく、先生がしてほしい」。連絡帳にこう記した保護者への返事が遅れた際は、電話で長時間釈明せざるを得なかった。授業での班分けについて、夜間や休日に携帯電話に繰り返し要望してくる親もいた。
 新人教員向けの研修に参加した際には、講師から「(新人は)いつでもクビにできる」「病休・欠勤は給料泥棒」と聞かされた。保護者とのトラブルについて、校長から全職員の前での説明を求められ、謝罪したこともあった。心労を重ねた女性は7月、うつ病と診断されて病気休職した。だが9月に復帰した後も不調が続いた。
 「毎日夜まで保護者から電話とか入ってきたり連絡帳でほんの些細なことで苦情を受けたり…」。母親へのメールには、仕事の苦悩が記されていた。判決を受け、父親は「教育関係者には、子どもたちを育てる場に、決して過労死問題を持ち込まないでいただきたい」と話した。(岡雄一郎、千葉雄高)

減らぬ休職 年に5千人
 文部科学省の人事行政状況調査によると、心の病で休職する公立校の教員は06年度以降も、年5千人前後で高止まりしている。
 14年度は5045人(前年度比34人減)。所属校での勤務期間別では「1年以上2年未満」が最多の23.2%で、次いで「6カ月以上1年未満」が17.7%、「2年以上3年未満」16.2%など。年代別では、50代以上が最多の1974人で、40代1390人、30代1134人、20代547人などだった。
 背景には何があるのか。
 「子どもの変化に学校の対応が追いついていない」。公立学校共済組合近畿中央病院(兵庫県伊丹市)の臨床心理士、井上麻紀さんは、こう指摘する。
 15年前から同病院で教職員の心のケアや復職支援に取り組んできた。最近は教員の負担が増していると思う。授業についていけなかったり、乱暴になったりする「支援の必要な子ども」が増えたと実感するが、教員数は少子化に合わせて減少していることが影響しているとみる。「教員は責任感が強く、頑張り過ぎる人が多い。人に頼んだり、無理な仕事は断ったりする技術も身につけてほしい」
 保護者対応に関する本「なぜあの保護者は土下座させたいのか」などの著者の関根眞一さんは「学級担任をする前に、研修などで保護者対応について学ぶべきだ。研修も、教育界以外の講師を招いた方がいい」と指摘。「保護者の理不尽な要求が来たら、言い分を慎重に調査したうえで、きっぱり断るなど腹の据わった対応も時には必要だ」と話す。(高浜行人、芳垣文子)