自分の姿が見えなくなって・・
早さと便利を求める科学技術の進展で、私たちの生活にどのような変化や影響があるのか・・そのことに気がつく暇もない時代の変化を考えるきっかけにもなるのか・・・。
「街に出ると小さな画面から離れられない―こうべを垂れて歩いている人の群れ・・もはや手の先にくっ付いた臓器の一部なのでは・・・」
などの声も、どこからか聞こえてくる。
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(声)スマホのない時代だったらなあ 朝日 2018年6月2日
高校生 寺井杏雛(埼玉県 16)
あと少し早く生まれてきたかった。私が強くそう感じたのは正月に行った海外旅行がきっかけだった。
私は小学5年生の時、家族とオーストラリアに行った。初めての海外旅行だった。当時は今ほどスマートフォンで何でも調べることはできなかった。
そのため、ホテルの従業員におログイン前の続きすすめのレストランを聞いたり、店までの道を街でいろんな人に尋ねたりと、たくさんのコミュニケーションをとったことを鮮明に覚えている。
今年再び家族でオーストラリアに向かった。今度はレストランもその場所もすべてスマートフォンで調べることができた。
しかし私は何か物足りなさを感じていた。それは便利さの陰で失われてしまった人と人とのつながりだった。そして小学5年生のときは何げなく交わしていた現地の人たちとの会話がものすごく恋しくなった。
私たちの生活は豊かになったのか。確かに便利にはなった。でもそれはかえって私たちから大切なことを奪っているのではないか。
あと少し、スマートフォンが普及する前に、生まれてきたかった。