「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (15) 2021/9/5  「歩く」

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「歩く」 2012年10月27日 

NHKの朝の番組特集です。長くなるのではじめの「美と健康・・」はタイトルと要点の一部だけにしましたが、家や駅などの「階段の上り下り」が大変いい運動になっているようです。

私も「平地を速く歩くよりも、できるだけ坂道を見つけてゆっくり上り下りするようにしています。毎月行く6階のユニクロまで息を切らしながら登りますが、その時の体調を知る手がかりにもなります。

日々生活に取り入れて柔軟や筋トレもやっていますが、買物や外出は精神的にもいいのと、階段や坂道を歩くようにして、平地でも「つまさき」を意識して歩いていましたが、今回の「浮き指 徹底対処法」を見てさらに進化させて、いまは「足の5本指で土をつかむように意識して歩く」のが、骨盤や背筋を伸ばすことにもつながるという・・私独自の発見です。

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美と健康!女の正しい歩き方  NHK あさイチ 2012年10月9日(火)

あさイチサポーターのアンケートでも3割以上の方が、効果が出ないと悩み挫折してしまうウオーキング
最新の研究で、一日24時間の活動の中で、「4メッツ30分」の歩行があれば、メタボ予防につながるということがわかりました。
「メッツ」とは酸素摂取量をもとに算出される「活動の強さ」の指標。1メッツは安静時、4メッツは時速6キロほどの早歩きに相当します。

日常生活の4メッツを探す
「4メッツウオーキング」の効果は、ウオーキング以外の日常の生活の中にも隠されています。
活動量計で測定された1日の活動グラフを読み解くと、主婦の1日の活動のうち、階段の上り下りが6メッツを記録していることがわかりました。

活動量を上げるポイント
上半身・下半身が連動した全身運動は高い活動量を記録します。
モップがけ、調理などは、下半身の動きが弱いので、2~3メッツ程度です。
縄跳びなど、ジャンプする運動は、10メッツ程度記録するといわれています。

注意 必要なメッツの値は、年齢によって異なります。

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40代から注意!ロコモティブシンドローム  NHK あさイチ 2012年10月1日(月)

専門家ゲスト:大江隆史さん(整形外科医)、武田淳也さん(整形外科医、ピラティス指導者)

加齢や生活習慣が原因で足腰の機能が衰える「ロコモティブシンドローム」。 
進行すると介護が必要になる可能性が高いとされていますが、何となく「高齢になってから心配になること」だと思っていませんか?実は、初期症状は40代から始まる人が多いのです。骨・関節・筋肉の機能は40代に大きな曲がり角を迎えます。女性ホルモンの分泌が減り、骨が弱り始めたり、体を支える筋力が衰えたり、ひざの関節がすり減ったり・・・。そこで今回は40代からのロコモティブシンドローム対策をご紹介しました。ひざを守る姿勢、転びにくい筋肉を作る運動、足腰の衰えが気になる人にぴったりの食材などなどたっぷりお見せします。また、骨の中の「コラーゲンの衰え」、レントゲンではわからない膝(ひざ)のごく初期の変性など、最新医療情報もお伝えしました。

ロコモティブシンドロームとは
ロコモティブシンドロームとは、運動器官の障害によって日常生活で人や道具の助けが必要な状態、またはその一歩手前の状態をいいます。
運動器官とは筋肉、関節、骨などの人が移動するために使う器官のこと。筋力が低下したり、関節に疾患を持っていたり、骨粗しょう症などで骨がもろくなっていたりすると運動機能が低下し、日常生活に支障が出てしまいます。その兆候が、実は40代から始まっているのです。

筋力の衰えをチェック
40代は筋力の衰えが顕著に表れ始めます。頭では若いと思っていても、筋肉は想像以上に衰えており、そのギャップが思わぬ事故を引き起こします。特に下肢の筋力は早くから衰えが始まり、転倒事故を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
まずは自分の足腰の筋力がどれくらいなのか把握しましょう。番組では、2つのテスト方法を紹介しました。

※どちらのテストも滑りにくい床の上で転倒に注意しながらまた誰かに見守ってもらいながら取り組んで下さい。

(1)立ち上がりテスト
ももの大たい四頭筋など、脚力をチェックします。
1.下記のとおり、年代に合った高さのイスや台を準備して座ります。(※安定感の高いものを使用して下さい)
2.腕を前に組み、片足(または両足)で勢いをつけずに立ち上がります。
3.バランスを崩さずに立ち上がることができればOKです。

【台の高さ】
<片足で立ち上がる>
10代・・・10センチ
20代・・・20センチ
30代・・・30センチ
40代~50代・・・40センチ
<両足で立ち上がる>
60代・・・10センチ
70代・・・20センチ
80代・・・30センチ
90代・・・40センチ

(2)2ステップテスト
筋力、バランス能力、柔軟性など、総合的な歩行年齢を測る。
1.スタートラインを決め、バランスを崩さない範囲でできる限り大股で連続して2歩歩きます。※ジャンプはしないで下さい。
2.2歩目で両足をそろえます。
3.(スタートラインのつま先から着地点のつま先までの)2歩分の歩幅を測定します。 
4.2歩分の歩幅を身長で割り、2ステップ値を算出します。
5.2ステップ値を以下の表に当てはめると歩行年齢がわかります。

例)2歩分の歩幅が200センチで身長155センチの場合
200÷155=1.29
1.29→歩行年齢65~69歳に相当

【2ステップ値と歩行年齢】
1.67以上・・・20代
1.60~1.66・・・30~34歳
1.53~1.59・・・35~39歳
1.50~1.52・・・40~44歳
1.47~1.49・・・45~49歳
1.45~1.46・・・50~54歳
1.42~1.44・・・55~59歳
1.35~1.41・・・60~64歳
1.27~1.34・・・65~69歳
1.10~1.26・・・70代
1.00~1.09・・・80代
1.00未満・・・90代


下肢の筋力アップに大股歩き
脚力や歩行年齢が実年齢より高い!そんなあなたは今すぐ筋力トレーニングを。とはいえ、筋トレの時間を作って続けるのって難しいですよね。そこでお勧めしたいのが、いつものちょっとしたお散歩やお出かけの中でできる「ランジウォーク」。足腰の筋肉を意識して大股で歩くだけで立派な筋トレになっちゃいます。方法は以下の通り。
1.できるだけ大股で前に踏み出す。
2.ももが地面と水平になるくらいに腰を深く下げる。
3.上半身は倒さず、垂直に。そしてさらにもう一歩。
☆1日20メートルくらいをこの方法で歩けばOK。
※転倒に注意して取り組んで下さい。また、足腰に痛みや疾患のある方は医師に相談の上、行って下さい。

ヒザの関節の異変に注意
推計2000万人とも言われるロコモティブシンドロームの代表的な関節疾患「変形性膝関節症」。ゆっくり進行するため、重症になってから病院を訪れる人も少なくありません。特に女性は男性よりもり患率が高く、人によっては40代からその兆候が現れるといいます。
具体的にはこんな時に膝の不調、違和感を感じたら注意。変形性膝関節症の典型的な初期症状です。
1.動き始めのとき
2.正座するとき
3.階段を下りるとき
4.長時間立ちっぱなしのとき

最新の軟骨分析方法「T2マッピング
X線写真では発見できなかった初期の膝の軟骨の異変を捉える技術も紹介しました。MRIを使って、ひざの軟骨のコラーゲンや水分の状態を測定し、軟骨の質の変化を見つける「T2マッピング」という技術です。
番組では、T2マッピングをいち早く導入している帝京大学ちば総合医療センターを紹介しました。現在、全国で普及が進みつつありますが、まだまだこの検査方法を採り入れている病院はわずかです。まずはお近くの整形外科にご相談下さい。X線写真で異常が見つからず、なお自覚症状がある場合に有効な検査方法です。

関節に優しい姿勢と日常動作
 膝の関節を守るためには、日常の姿勢や動き方が大切です。そのポイントを、ピラティス指導者でもある整形外科医・武田淳也さんに教えてもらいました。
 
正しい姿勢を作る
姿勢は、しっかりと骨盤を立て背筋を伸ばすことで上半身が安定し、下半身への負担が軽減できます。良い姿勢を作る方法は・・・。
1.恥骨に両手の中指を当て、左右の腰骨にそれぞれの手のひらの付け根を合わせます。
2.両手で作った3角形を、床から垂直になるようにしましょう。
(特にO脚の女性は、反り腰気味で骨盤が前に傾いていることが多いといいます)
3.骨盤の角度を整えたら、尾骨は床に、つむじは天井に向けるように背骨を伸ばします。 
 
歩き方のポイント
膝と足の人差し指の向きが正面を向くようにしましょう。良い姿勢を意識して上半身をしっかり安定させて歩きます。
 
階段の下り方 
下りる方の膝に負担がかからないよう、後ろ足でしっかり体重を支えながら下りましょう。
 
階段の上り方
一段一段、足の裏がしっかり乗るように段の奥まで足を置きましょう。足を浅く乗せると、体を持ち上げる時に膝が曲がり過ぎて負荷がかかってしまいます。
 
 
隠れた骨粗しょう症!?
骨の強度が衰える「骨租しょう症」。骨折の原因ともなる、ロコモティブシンドロームの中でも特に女性が注意すべき疾患です。
最近の研究では、“骨密度が高くても”骨粗しょう症の人がいることがわかってきました。
骨の成分はおよそ半分がカルシウムなどのミネラル。これが骨密度で表されます。
そしてもう半分は「コラーゲン」です。
ミネラル分が少なくなるだけでなく、コラーゲンの質が劣化することでも、骨のしなやかさが失われ、骨折しやすい状態になってしまいます。骨のコラーゲンの状態を「骨質」といい、骨粗しょう症のうち半分近くが「骨質劣化型」であることが判ってきました。
 【骨粗しょう症の内訳(閉経後の女性)】(東京慈恵会医科大学 斎藤充 調べ)
・骨質劣化型・・・30パーセント
・低骨密度+骨質劣化型・・・18パーセント
・低骨密度型・・・52パーセント
 
こうした骨密度の低下や骨質の劣化は40代の半ばくらいから始まると言われます。40代になったら一度は骨密度検査を受診し、低下がみられたら専門家の指導を受け、早めの対処を心がけましょう。
 ※骨質についてはまだ研究の段階で、外来や健診などで測定することはできません。
 
 ロコモ対策のスーパー食材「レバー」
レバーは、人の身体に吸収されやすい良質なたんぱく質が筋肉を作り、豊富なビタミンB群や鉄分がコラーゲンの生成を助けてくれるロコモ対策にぴったりの食材です。
 
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足の隠れトラブル!『浮き指』徹底対処法 NHK あさイチ 2012年10月23日(火)
 専門家ゲスト:高尾昌人さん(帝京大学スポーツ医科学センター 教授)
 
秋はオシャレの季節。パンプスやブーツで街に繰り出す女性も多いかと思いますが、そんなときに気をつけてほしいのが足の隠れトラブル「浮き指」です。
オシャレに気をとられ、きついパンプスやゆる~いブーツなど、足に合わない靴を履き続けると、指が地面につかなくなる「浮き指」となり、体のバランスが崩れる結果、ひざを痛めたり、腰痛になったりと、思わぬ不調につながる可能性があります。
そこで、今回は、「浮き指」についての対処法をご紹介。自己チェック法から、改善のためのストレッチやエクササイズ、さらに、浮き指の原因となっている靴の調整法まで、スゴ技をお送りしました。
 
キャッチ
浮き指の原因とされている、足に合わない靴。光ファイバーセンサーを使って、靴の中の足の状態をCG化しました。きついパンプスの場合、左右から押し上げられて中指と人さし指が浮いていました。ゆるいブーツの場合、脱げそうになるのを押さえようと、指全体が浮いていました。この状態が続くと、筋肉が伸びきって浮き指になってしまいます。
 
実験協力 創価大学 工学部
 
浮き指 自己チェック法
浮き指かどうかを、自分で見分けるチェック法を2つご紹介しました。両方にあてはまる人は、浮き指の可能性が高いと言えます。
浮き指は病気とは認知されていませんが、きちんと5本の指が接地しないために体のバランスが崩れ、その結果、ひざや腰の痛みにつながる恐れがあります。
自分でチェックし、今回ご紹介する対処法に基づいて体操などを続けると、改善が期待できます。
1.足の指の背(上から見える側)にタコができている。
2.体育座りになって、つま先を上げ、足の裏で何かつかむようにぎゅっと力を入れて指を丸める。丸めた時に、足の幅の一番広いところに、「つぶつぶ」の形に骨が出て見えるかどうかをチェック。
足の下側にある指を曲げる筋肉が弱まってゆるんだゴムのようになっていると、しっかりと指を丸められないため、骨が浮き出ず、「つぶつぶ」が見えません。
※骨が見えにくい場合には、上から触ってみて、つぶつぶが感じられるかどうかで判断します。
 
取材協力
石川沙樹さん(ロート製薬スマートキャンプサロン フットストレスラボ ピラティス/トレーナー)
住所:東京都港区芝1-7-5 ロート東京ビル7F
電話:03-5442-6095
 

浮き指の対処法1 足指の筋肉を回復させるストレッチ
浮き指は、足の指を曲げる筋肉が弱くなることで起こります。そこで、浮き指を改善するには、その筋肉を鍛えることが重要です。
まず、筋肉への刺激が起こりやすくするために、筋肉の緊張をとるストレッチをするのがおすすめです。
1.足の指を広げて、手の指を、足の甲から足裏に向けて、足の指の間に挟むように入れます。
2.手の指を握り込むようにすると、足の指もつられて丸まります。
※ストレッチは毎日5回を目安にしてください。
※痛みを感じる場合は、浅めに手の指を入れたり、回数を減らして始め、徐々に負荷をかけていくようにしてください。
 
取材協力 高尾昌人さん(帝京大学 スポーツ医科学センター教授 医学博士)
 

浮き指の対処法2 足の筋肉を鍛えるエクササイズ
 対処法1でご紹介したストレッチは、いわば準備運動。そのあと、本格的なエクササイズに入ります。
 
タオルギャザー
1.温泉タオルくらいの大きさのタオルを用意します。
2.足の指で、手前からタオルを手繰り寄せていきます。足指の付け根の関節を深く曲げる意識でするのがお勧めです。
3.タオルの端まで手繰り寄せて1回のエクササイズは終了。両足1回ずつ行います。
※タオルギャザーで指の動かし方やエクササイズの量を覚えたら、タオルを使わない 「エアタオルギャザー」をすると効果がさらに高まります。
 
グーチョキパー運動
グー、チョキ、パーのうち、浮き指に最も効果があるのは、チョキの形です。残りの指と逆方向に親指を曲げるため、指の一番根元の関節を曲げる筋肉をより強い力で働かせなくてはならないためです。
 
1.まず、足の指全体を丸めてグーの形を作ります。
2.親指だけを立て、チョキにします
3.足全体を床につけ、指を横に広げてパーにします。
※両足、グーチョキパーをそれぞれ20回ずつ行います。
※頻度は2日に1回が一番効果があがると高尾先生は考えています。
※グーはへん平足の改善や予防、パーは足の指全体が広がるため、外反ぼしの改善や予防にも効果が期待できます。
 
取材協力 高尾昌人さん(帝京大学 スポーツ医科学センター教授 医学博士)
 

浮き指の原因となる靴を直す
靴をフィットさせるのに最も重要なのは、足の一番幅の太い部分よりも土踏まず側の細い部分(「ウエスト」)です。ところが、パンプスは甲を覆う部分がないため、足の「ウエスト」で靴をフィットさせることができません。そのため、履き口からつま先にかけての部分でフィットさせます。
つま先部分がきついと、左右から指が締め付けられるため、浮き指になりやすくなります。
一方、長く履いていると、足の一番幅広のところに合わせて革が広がり、足がどんどんつま先の方にすべり落ちてしまいます。その結果、指が靴に押しつけられて圧迫されるため、この場合も浮き指になりやすくなります。
対策としては、インソールを入れて足が前にすべらないように調節します。
インソールは、かかとが脱げないように、かかとと土踏まずの間をカットし、さらに、つま先側は、フィットしつつも指が靴に押しつけられすぎないように、指の腹の部分から先をカットします。
また、足の甲に巻くシューズベルトを使うと、足が前にずれるのを防ぐ効果が高まります。
※パンプスや足の指の形により、つま先側をカットする必要があるかどうか、またカットする場合もどこまでカットするかが変わってきます。
フィットしながらも指が圧迫されない位置をご自分でご調整ください。
※ブーツの場合も、「ウエスト」の部分がブーツの甲とフィットするのがポイントです。かかとは脱げにくいので、かかとはカットしなくて大丈夫です。
※スニーカーは、つま先をあげた状態で、「ウエスト」がフィットするようにひもを結びます。インソールのカットの仕方は、パンプスと同様です。

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (16) 2021/5/9  「腹横筋 腰痛ひざ痛解消法」

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (16) 2021/5/9  「腹横筋 腰痛ひざ痛解消法」

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「夏をどうのりきるか」 2012年8月28日


今年の夏も暑い日が続いて雨もほとんど降らず、近くの川は乾ききって草が生い茂っています。
熱中症・夏バテをどう乗りきって、秋の季節変化にどう対応するかというのは私にとっての課題です。

以前にも書きましたように、東洋医学の考えでは・・過剰な「冷飲食」は、胃腸の働き・水分代謝を低下させて、長い間に体内のサラサラな水をドロドロの「湿熱」に変えてしまい、私のような高血圧・痛風はそう簡単には消えないようです。
糖尿病、高脂血症、慢性関節リウマチ、胆石や腎結石、心筋梗塞動脈硬化症、脳卒中・・などの危険性にもつながります。

それでも、真夏は冷蔵庫の水を日に2・3回は飲みますが、口の中でころがすようにして温めながら味わって、ゆっくり飲むようにしています。今年はよくキュウリをかじって、水分の補給にあてていますが、これなら胃腸を冷やさないでゆっくり体内の熱を取ってくれます。

私が東洋医学に関心を持ち始めたのは、もう20年近く前のことですが、難しい「東洋医学中国医学・漢方」をわかりやすく説明する小高修司の新書本にその頃出あいました。
小高クリニックのWeb記事に「夏の養生法」が出てきて、西洋医学とちがう考え方を理解することもできますので、少し長くなりますが載せてみました。


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「秋の中国漢方活用術」夏バテ 叢 法滋(そう ほうじ)・・東西薬局(店頭)月刊誌
より・・

夏バテ
この季節、「夏バテで食欲がない…。だるい…」という人が多いと思います。夏バテは疲れやすい、めまい、食欲不振、下痢など様々な症状がありますが、大もとの原因は暑さと湿気によるもの。気温30度、湿度50%を超えるとこうした症状が増えてきます。そこで中医学の見地から夏バテを考えてみましょう。

〈 暑 〉
人体は体温の上昇を避けるため、いろいろな働きで体温を調節します。まずひとつは汗をかくこと。人間は一時間に0.5~4リットルの汗をかくといいますが、汗にはタンパク質、ミネラル、ビタミン等の成分が含まれるので、体が消耗するとともに気(エネルギー)も一緒に漏れて体力が衰えてしまいます。この状態を中国では陰虚といい、発汗することを陰傷《陰(体液)を傷つける》といいます。
そして二つ目は体内から生まれる熱を抑制すること。交感神経の働きで新陳代謝を抑制し、ホルモンの分泌を減らして熱の発生を抑えます。しかし体はエネルギー不足に陥るため、この状態を気虚といいます。
三つ目は体内の水分を保つこと。汗として出てしまう水分を守るため、体の保護反応が働き、ホルモンの調整で尿の量が減ります。
以上の働きで起こる症状のうち陰虚気虚の組み合わさったものを「気陰両虚」といい、夏バテのほとんどの人がこの状態なのです。

〈 湿 〉
人体にとって外気の湿気(外湿)が多すぎると、体調を崩す原因となります。またビール等の冷たいものを飲んだり、食べ過ぎると脾胃(消化器系)の働きが低下し、湿気を溜め込む(内湿)こととなります。通常なら、胃に入った水分は脾に吸収され、肺に運ばれて全身を潤し、一部は汗となり、やがて尿となって体外に排出されますが、胃は冷たいものを欲しがり、脾は温かいものを欲しがる傾向があるため、胃を冷やすと脾までもがダメージを受け、悪循環となり、水分代謝の悪化で体内、特に下部に湿気が溜まります。こうして体に湿気が溜まることにより、夏バテになりますが、湿熱(湿気が溜まることで熱を帯びる)タイプ、寒湿(虚弱体質)タイプで症状も変わってきます。

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様々な病気と漢方  http://www.ne.jp/asahi/haru/kenshoudou/kiji21natubate.htm

夏ばてと漢方

天気予報で、今年の夏は陽性の夏と表現ざされていました。
かなり暑い夏ということですね。この記事を書いているのは大体1ヶ月前の7月の上旬なんですが、確かに、すでに梅雨は明けたかのように連日33度、34度を記録しています。
こういう暑い季節になると、ついつい失敗してしまうのが冷飲食の過多です。冷たいお茶、ジュースやアイスクリームなどの冷たいお菓子につい手が伸びます。ビールのお好きな方にはたまらない季節でもあります。

しかし、この冷飲食の過多により、胃腸は消化に必要な体温を失い、機能低下を起こしてしまう結果になります。
胃腸にはとりすぎた水分が停滞し、消化力も落ち、食欲不振や吐き気が生じたり、あるいは余分な水分を下痢という形で排出することになります。こういう具合になりますと、本来の漢方で言うところの脾・胃(ひ・い:現代医学の胃腸と考えます)の働きが十分出来なくなります。
脾胃は口から入ってきた飲食物の消化、そして得られる栄養物を全身に巡らします。脾は肌肉(きにく:筋肉、とくに四肢の筋肉)をつかさどると言います。栄養が十分にめぐってこそ、手足は十分に力が入り動かすことが出来るのです。

夏ばて状態で、胃腸が疲れると、手足がだるく力が入らなくなるのは上のような理由からです。

もちろん、漢方薬に有効な手立てがあります。でもその前に飲食の節制をいたしましょう。

夏こそ温かいものを食べるようにしてみませんか?
そのときには、多少一緒に冷たいビールを飲んでも大丈夫ですよ。温かい食べ物の中には、香辛料たっぷりなものも含まれます。夏の定番の香辛料といえば、冷奴に「しょうが」や「ねぎ」をたっぷり使います。そういう香りの強い野菜がいいです。
時にはカレーなどのインド系の香辛料も良いですね。あの酷暑のインドで、なぜあのような強烈な辛さを持つカレーが食べられているのか?

それに比べて寒い国のイギリスでは、なぜインドから持ち帰った超辛いカレーを、次第にマイルドな辛さのカレーにしていったのか、その理由を考えてみると面白いかと思います。
当然暑い国と、寒い国との違いがそこに現れています。

逆の働きで、食べることで身体に停滞した湿気と熱を処理してくれる(暑気払い)食べ物は、きゅうり、なすなどの夏野菜、そしてスイカですね。スイカにはお塩をパラパラと振りかけて食べましょう。天からの贈り物です。


夏バテの予防と対策

夏バテ、いわゆる暑さ負けは、本来長夏(夏と秋の間の暑い時期)によく見られる季節病と言えます。湿気の多い地域、虚弱体質(胃腸虚弱)で慢性病のある人がかかりやすいものです。

症状としては、

『頭痛・身体が重い・だるい・口渇・汗がよくでる・食欲不振・軟便(泥状便)や下痢でしかもすっきりしない・尿量減少・舌の苔が厚くジトジトした感じになる。』
などですが、経験したことのある人はわかりますが、普通の疲れより一段と身体が重くつらいものです。

この原因は暑邪(漢方では風・寒・暑・湿・燥・火の六つの自然状況も病因になれば邪と呼びます。)が胃腸の機能を傷つけて、湿気が身体に停滞して湿邪も兼ねたものになっています。

大体はこのタイプで現れますが、最近はクーラーで身体を冷やしすぎたり、冷飲食の過多で夏なのに冷えの症状の風邪のような状態で現れる場合もあります。これらは昔と違い、クーラーや冷蔵庫という文明の利器の発達で起こってきたものと言えます。
暑いからといって、過度にお腹を冷やす行為はつつしまなければなりません。

ともに、適切な漢方薬を服用し、涼しい所で過ごし、過労を避け、休養と睡眠を十分に取り、消化の良いものを食べ、油物は避けます。

胃腸が弱っていない人で、当然下痢や泥状便でない人は、スイカやトマトなどもよい食べ物になります。特にスイカは夏を代表する食べ物で、寒性で甘味が強い。清熱解毒、止渇、利尿降圧の効があり、夏バテ、のどの渇きによい。またスイカの皮は利尿効果も高いので捨てずにお漬け物にしたりして利用すればおいしくいただけます。

暑邪による病気でも、『高熱・頭痛・激しい口渇・甚だしい発汗あるいは無汗・顔が真っ赤・意識障害・けいれん』などの症状は日射病・熱射病に相当するもので、うつ熱および脱水症状を起こし、危険な状態ですので救急で病院にいかなければなりません。炎天下や特別暑い場所での仕事や遊びで起こったりします。幅広い帽子をかぶり、スポーツ飲料の補給が予防になります。

◎最後に夏バテ予防のレシピを一つ。

新鮮な蓮の葉(なければ乾燥品)、竹葉、薄荷各30g水2リットルで10分煎じ、カスをすて蜂蜜で甘みを調整してお茶がわりに飲むと暑気払いにうってつけです。
                                 

〈初秋〉朝夕の〝冷え〟が負担に 「春夏秋冬」から
初秋の朝夕の冷えと乾燥は、呼吸系の弱い人には負担となる。皮膚が異常に過敏になっているので、朝夕の冷えによってすぐ皮膚は閉じ、同時に皮膚呼吸も減る。その分の負担が鼻や気管にかかることになり、風邪をひきやすくなったり、鼻炎症を起こしたり、咳や喘息も起こす。
一般に咽喉の症状の現れる場合、それは突然ではなく、2~3日、朝起き抜けに口や咽喉が乾燥するという状態が続くものである。そういう状態のうちなら、梨のジュースや大根おろしのしぼり汁を飲むことによって、未病を治すことができる。本格的に咽痛が起きた場合は、銀翹散や駆風解毒湯を用いるとよい。
鼻炎の場合は、冷えた空気が直接鼻に入って、鼻粘膜が充血して起こる場合と、首や肩、特に肩甲間部が冷えて肺系統全部が緊張することによって起こる場合とがある。この場合でも、軽い時は朝夕の温度の下がった時にマスクをしたり、チョッキを一枚着るか、タオルを首に巻くことによって、かなり予防することができる。
また、春先の鼻炎と秋口の鼻炎とは、症状は似ていても原因は全く異なるし、進む方向も違うので、注意が必要である。春先の場合は肝機能の乱れと体表の?血が主な原因で、それに杉花粉や排気ガスなどが鼻粘膜を刺激することによって発生する。しかし秋口の場合、鼻 → 咽喉 → 気管と直通しているので、鼻炎も、ひどくなれば気管から肺系
の奥にまで影響が及んで、咳がひどくなったり、喘息様の症状を呈することもある。

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* 東洋医学の健康相談をしているMさんのメールから・・

「秋・脾の機能低下・肺の乾燥」  八王子東西薬局 M通信  2008/09/17 

まず、この季節の鼻の症状の対処法としては、引用されている春夏秋冬と同様に
「梨のジュースや大根おろしのしぼり汁を飲む」というのはお勧めです。
その他に冷え対策として食事の中に唐辛子やしょうがを少しだけ辛味がでるくらい、入れてみてはいかがでしょう?
あとは寝ているときや朝晩の冷えに負けないように、
上着を一枚羽織るなどしてください。

初秋はジメジメしてた夏が終わり、逆に乾燥する季節です。
それと共に夏の疲れがでてくる季節でもあります。
その症状は脾と肺にでやすいです。

脾は夏の暑さで冷たいものを摂るため6月~初秋くらいまで冷やされることが多くなります。
冷やされた脾は働きが悪くなります。そうなると気、血、津液の流れが悪くなります。

特に津液は液体なので重力の影響受けて下半身のほうに動くのが自然の摂理です。
脾の運化作用で重力に負けず全身を廻っていたはずが、脾の働きが弱くなったので下半身がむくみ易くなります。
もちろん流れが悪くなるので、摂取した水分も排泄されず体内に留まり易くなります。

胃腸を温めて脾の機能を取り戻しましょう。

身体の内側には夏に溜まった水分がありますが、身体の表面にどうでしょう?
表面で外気に触れるのは肺系統になります。
肺はとても乾燥に弱い臓器です。秋冬の乾燥は体内に水分があっても肺を乾燥させます。

もちろん肺系統である鼻、咽頭、気道、気管支、皮膚なども乾燥します。
簡単に言えば空気中の異物(外邪)に対する防御機構の低下です。
外気から身体を守っている粘膜が薄くなり、花粉や風邪ウイルスや細菌が粘膜より体内に入りやすくなってきます。
そうなると身体の内側から異物を排除する為に、白血球などの免疫反応が起こります。

外邪と戦っている反応が鼻汁や咽頭痛です。

対処法としては一番最初に書いたとおりです。
旬の食べ物はその季節の症状の予防に繋がったりします。
(例えばきのこ類の旬はこれからですが、体内の水分のバランスを整えてくれます。)


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養生法 〈小高修司〉から http://www.kotaka-clinic.com/ippan1-1.php?no=3

健康な心身を保つにはどのようなことに気をつければよいのか、特に夏をどのように過ごせばよいのかは重要です。日本の夏は暑いだけでなく湿度も高く生活しにくい季節といえますが、かといって四季から夏を除いては正常な発育ができないのは全ての生物に共通した事実です。

これから中国医学のもっとも古く重要な書物である《黄帝内経》を参考にしながら先人の知恵を学ぶことにしましょう。

「夏は天地の気が交わり、万物が花開き実る。」時季であり、「夜はやや遅くに寝て、朝は早めに起きる」のがよい。そしてもっとも大事なことは「体内の陽気を外に向かって開き通じ発散できるようにする」ことです。これを守らないと「心」が傷つき、「秋に瘧という病気になる。」と云います。また別の箇所の記述では「夏に汗をかかないと、秋に風瘧となる」とか、「夏に暑さに傷られると、秋に瘧となる」、また「夏の大暑に傷られ、大汗をかき”そう理”が開いているとき、夏にふさわしくない寒さ(夏気凄滄之水寒)にあうと、この寒邪が皮膚と”そう理”の中に潜んでしまい、秋に風に傷られて瘧を起こす」というのもあります。

説明してみましょう。我々はややもすると外出したりテレビを見たりなどで、夜更かしをし朝がちゃんと起きられないといった生活になりがちです。基本的には太陽にあわせて生活すべきですので、他の季節に比べれば夏は遅寝早起きにすべきというわけです。それにしても今の若者の生活を聞くと、たいして用もないのに遅くまで起きているのにおどろかされます。朝は学校がありますから結局睡眠時間が短くなり、授業中に居眠りなどといったことになりがちです。

「体内の・・・」はどういうことでしょうか。適度な運動などにより気の流れを良くし、汗をかき、陽気が体内にこもらないようにする必要があるということです。夏はどうしてもちょっと動けば汗をかきます。気温が高く身体が熱を持ちやすくなりますから、発汗することで熱を逃がしているわけです。そのため夏には汗腺(中国医学では”そう理”といいます)が開きがちになっています。”そう理”が開いていることは逆に外邪が進入しやすくなっているというマイナス面を忘れてはなりません。つまりクーラーがきいていて夏にそぐわない風寒邪がたくさんある環境では、容易にこの風寒邪が”そう理”から侵入してしまいます。暑い外からクーラーのきいている室内に入るとホッとするのは事実ですが、実は汗をかくために思いっきり開いている”そう理”から、一気に風寒邪が侵入する絶好のチャンスを与えていることになるのです。

風寒邪というのは風邪と寒邪がくっついたものです。これらの外邪が入ることで、カゼを引いたり、関節の痛みを起こしたり、お腹が痛くなったり下痢をしたりと実に様々な症状を引き起こします。ところで風邪と書いてみなさんはカゼと読まれてはいませんか? 「カゼは万病のもと」と云いますが、これは風邪が寒邪や湿邪など他の外邪と
容易に結びつき、病気をひどくさせることから生まれた言葉で、「風邪は万病のもと」と云うべきなのに、いつの間にか誤り伝えられるようになったようです。

冬にも暖房のきいた室内から寒い戸外へと移動することはあっても、”そう理”はどちらかというとあまり開いていませんので、夏ほど外邪の侵入が容易でないことは十分おわかりいただけると思います。古代社会では全く想像もできなかった、夏に寒邪を受けるという事態が現代では当たり前になってしまっているのです。

従って室内外の温度差を少なく、極端に冷房温度を下げずに、せいぜい除湿送風程度にしておいた方が身体のためです。何より適度に汗をかき陽気を発散させることが大事なのですから。もしこれを守らないと、秋になってから瘧と呼ばれる病気を起こしやすくなります。瘧とはおこりのことで、寒けと熱が交互にあらわれる症状で、今ではマラリアなど何らかの病原菌による感染症が疑われる症状に相当します。

先ほどの古典の文章をもう一度ご覧下さい。”そう理”を開き体内の陽気を外に向かい発散させることが大事と説く一方で、大暑のあまり汗をかきすぎることも戒めています。これは汗をどのように考えているかを説明する必要があります。汗は津液に属します。人体を作っている物質を気・血・津液と呼びます。我々が普段考えている血液はここでいう血と津液が合わさったものですが、体内を流れている状態での血液には気が含まれています。気の持っているエネルギーで血液は全身を巡っていると考えています。ですから体外に取り出された血液には気が含まれず循環することもないわけです。血と津液は仲間ですから、極端な言い方をすれば、汗を流すことは血を流すことと同じなのです。乳も血の仲間ですから、授乳することは子供に自分の血をあげているのと同じことです。十分に血がなければ授乳することで体力がますます失われますし、十分な血がなければ乳が出ないともいえます。大汗をかくことは必ずしも勧められないことがおわかりいただけたでしょうか。過激な運動を続けたために、後年大きな病気になる例は多いのです。もちろん適度な運動は必要ですが、発汗には十分配慮すべきです。サウナで汗を流すことは血を流すと考えるべきで、単に水分が失われたと考え、ビールでのどを潤せばよいと考えるのはとんでもないことです。

ついでですから運動後などにスポーツドリンクやビールでのどを潤す人は多いと思いますが、一体何人の人が冷たいものは飲まない、ゆっくりかむように飲むということに配慮しているでしょうか。「冷飲傷胃」「冷飲傷肺」という古典の言葉をかみしめる必要があります。胃と肺を介して、つまり消化と呼吸により我々は気・血・津液を作っています。習慣的に冷飲食をすれば胃と肺の働きは低下し、十分な気・血・津液を作れなくなります。これは免疫力の低下につながり、健康を保てないことになります。

現代医学では身体を冷やすとか暖める、冷え性や火照り症などに関する検討はほとんどされていません。せいぜい自律神経の異常でしょうといわれるのが落ちだと思います。従って冷飲食やクーラーなどで身体(特に消化器と呼吸器ですが)を冷やすということに関する研究はほとんどありません。

しかし生命力の根本、別の言い方をしますと老化に関わる機能を、中国医学では「腎」と呼び、特にその原子炉が体内にあるごとく身体を芯から温める働きは、消化器や呼吸器の働きを高める上でどうしても必要なものなのです。消化吸収や呼吸を介して得られたエネルギー(これが気ですが)は腎の働きを正常に保つ上で必要なものです。つまり腎と肺と胃(脾)は相互に助け合い身体を正常に保っているのです。これらの臓腑が冷やされてしまえば正常に働かなくなり、結局健康を損なうことになるのです。電気冷蔵庫がどこの家庭にもあり、食品を保存する上でなくてはならないものではあるのですが、そのために冷飲食の機会が増え病気になる危険を増しているということに皆がもっと注意しなければ、人類の将来は暗澹たるものになるでしょう。

先程述べた身体の芯を温める働きを持つものを「腎」の中でも特に「腎陽」と呼びます。これはまた「命門の火」とも呼ばれ、他の臓腑を温め正常に働くようにするとともに、直接的には視床下部と呼ばれる脳の深部にあるホルモン系の一番上の命令センターの働きに関わっています。このホルモンサイクルに含まれるものは甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンとともに性ホルモンがあります。いずれも生命維持の上で重要な働きをしているホルモンで、いずれが欠けても大変な病気になります。

例えば性ホルモンを考えてみましょう。最近の若者たちはセックスレスの共同生活だとか、環境ホルモンのせいで性器が小さく、また精子の数も少なくなっているといわれたり、若年性のインポが増えたりと性機能の低下が指摘されることが多いように思われます。確かに環境ホルモンなどの影響も考える必要がありますが、本当はそれ以上に冷飲食やクーラーのかけすぎ、伊達の薄着などにより身体を冷やす機会が多く、腎陽(命門の火)の力が落ちていることがその大きな原因であることを真剣に考えるべきなのだと思います。健康な次世代の子供を作ることがなければ民族のひいては人類の未来は暗いからです。冷飲食やクーラーなど身体を冷やす機会がむしろ多い夏にこそ、冷え取りを真剣に考えるべきであり、逆に言えば夏こそ冷え取りの重要性が増す時季なのです。

古典をもう一度みましょう。「夏は心を主る」といいます。心とは血液循環をしている心臓の働きと、「こころ」としての働きの両方の意味を含みます。後者には睡眠なども関わり、たとえば心の血が不足すると夜中に目覚めた後しばらく眠れなくなったり、嫌な夢を見たりといった症状が現れます。もちろん心臓の働きに関する動悸や不整脈が出たりすることもあります。

先ほど汗は血の仲間といったのを思い出して下さい。夏には汗をかくことが多く、それがあまりに多いと結局多くの血が失われたと同じことになり、上にあげた症状が出やすくなります。夏にはこういった症状が出やすいということです。「心の病は夜間に激しくなる」とも書かれています。事実狭心症なども夜間に発作が起きやすいことは良く知られていますし、睡眠に関連する症状が夜間多いのは当然でしょう。

次に身体に冷えがあるかどうかの見分け方です。自覚的に冷えを感じるかどうかも目安にはなりますが、注意すべき点がいくつかあります。手足の指先の冷えは、冬に白くなったり赤黒くなったりするいわゆるレイノー症状が無い場合は、よく言われるように血の流れが悪いのではなく気の流れが悪いためです。身体の芯の冷え、つまり腎陽(命門の火)の不足も何らかの影響はあるでしょうが、直接的には気が指先までちゃんと流れないために起こっています。つまり量の不足より気の循環が悪いことが原因なのです。

一般に腎陽が不足した場合の冷えは腰回りから下半身全体の冷えとして感じる場合が多いようです。但しこの腎陽の不足が甚だしくなった場合、矛盾するようですが逆に頭部や皮膚に熱が浮いて、のぼせや皮膚炎などが見られ、熱を持っているかのような状態になることがあります。これは病気の最終段階に見られる「戴陽」とか「格陽」と呼ばれるような特殊な状況に類似していますが、近年の日本人は冷飲食が多く冷え切っているので、このような珍しい状態に似た症状を表す人が多くなっています。

中国医学の診察で、冷えがあるかどうかは舌を診て決めます。舌の表面には苔がついて本来の舌の色が見分けにくいので、必ず裏を診る必要があります。基本的には舌裏の色の赤みが薄いほど冷えが強いことになります。更に赤みの少なさにどす黒さが加わった場合は、血の汚れが著しいことを表します。こういったときは舌の縁に内出血したような染みがあったり、舌裏の八の字型の静脈がくっきりわかることが多いのです。寒いところでは川も氷るように、身体の冷えが強ければ気のみならず血や津液の流れも悪くなり、こういった血の汚れが目立つようになります。この汚れを「お血」と呼びますが、お血は心筋梗塞、脳血栓脳梗塞などの血管系の病気のみならず、ガンの大きな原因でもあります。つまり現代日本人の3大死因であるガン、心臓病、脳血管障害の全てにお血は重要な関わりを持っていることになり、その原因として冷えが大きく関わっているのです。

では最後に冷えを減らすにはどうしたらよいかを考えてみましょう。

冷えの程度が強く、急いで治す必要があるような場合は、薬(温陽薬など)を使うことも考えるべきでしょうが、緊急性が少ない場合は、日常生活の中で徐々に治していくようにします。このように日常生活の改善によって治せる段階にある身体の異常状態を「未病」と呼びます。未だ完全に病気にはなっていないという意味です。

日常生活の中で最も重要なのは食事です。冷飲食をしないというのは鉄則ですが、ここでいう「冷」とは冷蔵庫で冷えているという意味は勿論、その食品が持っている性質をいいます。昔から「柿は冷える」とか「秋茄子は嫁に食わすな」とかいろいろな言い伝えがありますが、いずれも身体を冷やすことへの警鐘なのです。それぞれの食品が冷やすのか、暖めるのか、どちらでもないのかは決まっています。詳しくは専門の方の説明を聞いていただきたいと思いますが、ただ一言いっておきましょう。夏に大きく関わる臓腑は心ですが、心を十分に働かせるためには苦みのある食品が必要です。そして多くの苦みのある食品は身体を冷やす作用があります。それは夏の暑さのために身体が火照り内熱をもっていることが多く、その熱を除くために身体を冷やすことも必要だからです。しかし例えば夏の苦い食品の代表ともいえる苦瓜を食べるさい、本場の沖縄では普通炒め物として熱を加えて食べます。海草類も身体を冷やしますが多くは酢の物やみそ汁、炒め物など必ず調理して食べています。つまり和食や中華料理は長年の知恵として身体を冷やす物でも、そのまま加工せずに食べることはなく、調理することでその性質を和らげる工夫をしてきました。野菜は原則として温野菜がよいのですが、サラダとしてトマト、レタス、キュウリなど夏が旬の食品が露地物として食べられる時期のみ、極端に冷蔵庫で冷やさなければ食べても良いと思います。

結局どういうことかといいますと、全て「過ぎたるは及ばざるが如し」ということでしょう。グラスまでがんがんに冷やし、4-5度に冷えたビールを空きっ腹で一気のみ、確かに夏の醍醐味かもしれませんが、たった一杯の享楽のために、肺と胃は冷やされ働きを停止し、その後の食事はほとんど吸収されないままに素通りしていることでしょう。ドイツなどビールの有名な産地ではビールを飲む温度はだいたい14-15度で、日本ほど冷やしていないのは、やはり生活の知恵だと思います。そもそも普段から冷飲食をしないようにしていると、まれに夏の暑さにたまりかねて思わず冷たいビールを一杯やるくらいで、その晩は腹痛と下痢に苦しみ辛い思いをしたというのは、うちの患者さんではよく聞く話です。もし皆さんが「へェー、俺は別に何ともないけどね」という感想を持たれたとしたら、それは腹が冷えきってしまい、気・血・津液の流れが悪く鈍感になっているからです。よく今まで医者になぞかかったことがない人が、どうも調子がおかしいと思い医者に行ったときは、末期ガンで手遅れ、後数ヶ月の命ですなどと宣告されたという話を聞きますし、実際そういう患者さんが当院には大勢来られますが、まずほとんどの患者さんの腹は冷たく、しかも硬くガチガチ、それでいて腹が張って苦しいとも何とも思わないという状態で、いかにも気・血・津液が流れていないという所見です。

さて話があちこち行ってしまいますが、身体を温める食品はおおむね辛い物です。ただ香辛料も激辛食品大好きなどと言っていつも食べていると、逆に胃に熱を作り具合が悪くなるので、適当に使うこと。こういった辛みのある物を臍に入れると身体が芯から暖まりますので、軟膏や湿布にするなどしてうまく使うと重宝します。

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (15) 2021/2/21  「腹横筋 腰痛ひざ痛解消法」

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「腹横筋 腰痛ひざ痛解消法」 2012年7月25日

NHKの番組で、前から疑問に思っていた「腹筋」について、別の方向が見えてきたように思われる「腹横筋」に出あいました。
上体を少し起こす「腹筋」は、腰痛予防・改善のためにやっていましたが、ここで初めて「腹横筋」を知って、調べてみると日常生活に重要な働きをしていることがわかります。

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オリンピック選手直伝! 美ボディー&超健康ワザ 2012年07月04日放送  http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20120704.html

今回は、オリンピック特別編。

世界の頂点をめざし、極限まで肉体を鍛え抜いている
一流アスリートたち。
その美しいボディーとパワーの秘密を徹底解剖すると、
骨粗しょう症、腰痛、ひざ痛、メタボ解消など、
私たちの健康や若返りにとっても役立つ秘策が続々明らかに!

この夏、アスリートたちの知恵を取り入れて、
健康&美ボディーを手に入れましょう!


肉体メンテナンスのプロに学ぼう!
スポーツの世界では、カラダの鍛え方、体調の整え方、痛みやケガへの対処のしかたなどが、すべて勝負に直結。 きっと一流アスリートたちほど、
己の肉体と向き合っている人はいないですよね。

そんな、肉体メンテナンスのプロたちの知恵を、
アスリートだけのものにしておくのは、モッタイナイ!

ということで、私たちの生活にも
取り入れちゃおうという欲張りな企画です。

アナタにもきっと役立つ情報、ぜひゲットしてください!


ウエイトリフティング選手は○○力がスゴイ!
ウエイトリフティング選手がもつ、
非常に高い能力とは何でしょう?

自分の体重の2倍を超える重量を
頭上に高々と持ち上げることができる、そのヒミツ。

それは・・・

なんと「ジャンプ力」。

ある調査によると、そのジャンプ力は
バレーボール選手や、陸上の跳躍種目の選手たちをも抑えて、
全競技中トップ!
腕の力や上半身の力だけでは、 ウエイトは決して持ち上がりません。 彼らは、脚力を鍛え、ジャンプの力であの重量を 頭上にまで運んでいたのです。


「ジャンプ」で骨密度UP!
長年、ウエイトリフティングをしている、
ベテラン選手たちの体を調べてみたら、
なんと私たちの若返りのヒントが見つかっちゃいました。

それは、「骨密度が高いこと」。

実は、ジャンプにこそ、
骨密度をアップさせるポイントがあったのです。

ジャンプによって骨がたわむことが刺激になって、
骨を作る細胞の働きが活発になるのです。

大人になると、意識してやることはあまりなくなるもの。
それが、「ジャンプ」。
でも実は、骨粗しょう症予防のためには、
ジャンプを生活に取り入れるのが有効だったのです!

骨密度UPのオススメ運動の詳細は、
「今回のお役立ち情報」で!

骨粗しょう症の方や足腰に痛みのある方は、
無理をせず医師と相談の上行ってください。


競泳選手に学ぶ!腰痛ひざ痛解消法
なぜ競泳選手は、まるで魚のように、
あんなにもスイスイと速く泳げるのでしょう?

一流選手の泳ぎと、一般の人の泳ぎの大きな違いが、
泳ぐ「姿勢」。
一流選手は、驚くほどまっすぐ一直線の姿勢を
キープして泳いでいます。

そのカギを握るのが、
なんと「おへそを引っ込める」トレーニング。

おへそを引っ込めると「ある重要な筋肉」が働くのです。
それは、「腹横筋」。
腰周りを支え、姿勢を維持するのに重要な働きをする、いわば「天然のコルセット」です。

この腹横筋のトレーニングは、
腰痛の予防・改善にとっても適した運動です。
しかも、安定した姿勢で歩けることにつながるため、
ひざへの負担も減らせる効果があるんです。

おへそ引っ込めコルセット筋トレーニングの詳細は、
「今回のお役立ち情報」で!

※無理をすると、かえって腰などを痛めることがありますので、十分注意してください。


なでしこジャパンに学ぶ!メタボ解消法
サッカー選手たちの練習風景でよく見る、ゆっくりとしたジョギング。

一見、単なる準備運動やクールダウンのように見えます。
ところが、実はこのジョギングが、
意外にも「スタミナ力」アップのカギを握っていることがわかったんです!

それは、ジョギングによって、
筋肉の毛細血管が増える効果によるもの。
毛細血管が発達すると、
ダッシュしたときに体内で作られる乳酸を、効率的に
エネルギーとして利用できるようになるんです。

このスロージョギング、私たちにもうれしい効果が!
疲れない程度の速さで長時間運動することで、
筋肉の毛細血管が発達。

すると、糖や脂肪が効率的に消費され、
メタボ・生活習慣病予防に最適なんです。

スロージョギングの詳細は、「今回のお役立ち情報」で!


アスリート流!応急処置の極意
女子ホッケー日本代表チーム、さくらジャパンの選手たちから教わった、「アイシング」の極意。

ねんざや肉離れ、寝違えや筋肉の疲労など、
炎症を起こしたとき、アイシングをすることで、
炎症の広がりを抑え、痛みや腫れを少なくすることが
できます。

ポイントは、いち早く冷やすこと。
いわゆる筋肉痛は、翌日になってから痛みが強くなりますが、筋肉を激しく使った場合には、痛みが出てからではなく、運動直後に冷やすのが効果的です。

冷やす効果が特に高いのは、「氷水」。
水は熱伝導率が高い上、氷があることで水温は常に0℃近くに保たれるため、冷却効果は抜群です。

氷水を使った、おすすめアイシングの詳細は、
「今回のお役立ち情報」で!

※凍傷には十分注意し、皮膚の感覚がなくなってきたら、いったんやめてください。


今回のお役立ち情報
骨密度UP!ジャンプ運動ご自分の年齢や日頃の運動習慣に合わせて、週2~3日を目安に、下記のようなジャンプ運動を生活に取り入れてみましょう。

高くジャンプ 10回/日
強い刺激ならば少ない回数で効果あり。若い方や日頃運動している方向け。
軽くジャンプ 50回/日
10cmを目安に軽くジャンプ。ラジオ体操第1第2を通して行うと、およそ50回分に相当。
階段をポンポンと下りる 4階分程度/日
②の「軽くジャンプ」と同様の効果が期待できる。
★注意! 骨粗しょう症の方や足腰に痛みのある方は、無理をせず、医師とご相談ください。

腰痛・ひざ痛に効く!おへそ引っ込め体操

おへそ引っ込め体操 その1 基本
呼吸を止めずに、おへそを引っ込める
腰骨の左右のでっぱりの内側の部分が、
硬くなることを確かめる
おへそを引っ込めたまま、30秒間キープ

おへそ引っ込め体操 その2 応用
手とひざを床について、背中が反らないようにして、
上記の要領でおへそを引っ込めながら、
片手を上げて姿勢を保つ。それができたら、次は
その反対側の足をあげ、体の水平を保つ。

★注意! 無理をすると、かえって腰などを痛めることがありますので、十分注意してください。

メタボ解消!ガッテン流スロージョギングニコニコ&おしゃべりできるくらいのペースで
1日30分を目標に!(10分×3回など、こま切れでもOK)
炎症を抑える!アイシングねんざ、肉離れ、寝違え、筋肉の疲労などで起こる炎症は、できるだけ早く冷やすのがオススメ。
最も効果的に冷やしてくれるのが0℃の氷水です。

透明な袋などに氷を入れ、口をしばって氷のうを作る。ただし、家庭用の冷凍庫の氷は、氷点下まで冷えているので、表面を水で溶かしてから使う。
続けて患部に当てるのは20分程度が目安。
★注意! 凍傷には十分注意し、20分以内でも皮膚の感覚がなくなってきたらいったんやめる。

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「腹横筋」について調べて、要点をあげてみました。

腹横筋は、いわゆる腹筋の一つです。腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋らと共に、肋骨部から骨盤部へと走行し、体幹の前屈・側屈・回旋を主に誘導します。腹横筋は、内腹斜筋の内側に張り付き、腹壁を作る一つの筋として最内層で働いています。これらの腹筋は、単に体幹を動かすだけでなく、腹腔内圧を高めたり、内臓の位置を安定したり、排便を助けたりしています。腹横筋の筋繊維の走行は、横方向になっています。このため、腹筋運動の際には当然働きますが、主に腹口腔内圧を高める方によく働きます。腰のくびれを作る筋肉でもあり、お腹を引き締めてスマートに見える様になるには、内腹斜筋、外腹斜筋、腹直筋らと共に、この筋肉の鍛錬は欠かせません。
http://www.musculature.biz/40/45/post_109/


腹横筋は腹斜筋(内腹斜筋)下の深い位置にあり、機能としては「内臓を正しい位置に保つこと」と「姿勢を安定させること」にあります。
このことから、コルセットの役目を担う筋肉であるといえ、強化することでウエストの引き締めやウエストサイズダウンなどにも効果を発揮します。 
http://www.kintore.tv/tag/%E8%85%B9%E6%A8%AA%E7%AD%8B


■なぜ脊椎がゆがむのか?
腰痛を考えるとき、腹横筋(ふくおうきん)の働きが重要(ネバダ州立大学ドリ-ゲラス教授)
腹横筋とは身体の奥の脊椎の最もそばにある筋肉で、椎骨と椎間板のつながりだけの不安定な脊椎を直接支えてくれています。
胸椎から始まって、脊椎(せきつい)・肋骨(ろっこつ)・骨盤(こつばん)につながっていて、この3点をしっかりつつみこむように脊椎を固定しています。

■現代人は呼吸が浅くなってきている!
腹横筋(ふくおうきん)が最も動くのは横隔膜(おうかくまく)が上下するとき、つまりしっかりとした腹式呼吸(ふくしきこきゅう)をすると使われます。
昔は和式トイレで力んだり、ぞうきんがけをするときによく使われていたそうです。

●ポイントは腹式呼吸をしながらお腹をふくらませたりへこませたりすることです。
●深い呼吸(腹式呼吸)と上下運動により腹横筋を伸縮させ、柔軟性を復活させることが出来ます
●注意:腰に痛みや張りがある方は腰を落とさず、呼吸法だけを行うようにしましょう

●1回につき3分間 朝・昼・晩の1日3回行います

■腹横筋(ふくおうきん)鍛えると便秘解消効果が!
腸の一番近くにある腹横筋を鍛えるで、腸のゼンドウ運動が活発になり便秘解消効果が高まります。
http://www.youtsutaisaku.com/yfukuou.html


「腰痛防止のために腹筋を鍛える」
こんな言葉を聞いたことありませんか?
で、「シットアップ」と呼ばれる腹筋運動をやるわけですよね
「シットアップ」とは足を固定し上体を持ち上げる
腹直筋を鍛える一般的な運動です

しかしひとつ問題なのが
上体を起こすときに使う筋肉は腹直筋だけではなく
大腰筋にもずいぶん負担がかかるという点です
「シットアップ」が悪いというわけではありませんけど
腰痛の人がシットアップをすると
拘縮した大腰筋に大きな負担をかけ
かえって腰痛を悪化させる恐れがあります

では、腰痛防止のために腹筋を鍛えたらダメなのか?
といえばそうではありません
腹筋群もいろいろ種類があります
腰痛予防のために鍛えるべき腹筋とは腹横筋なのです

腹横筋は、簡単に言うと背中からお腹までを取り巻く
いわば腹巻のような筋肉なんです
しかも腹横筋の機能はこれを縮めることによって息を吸うことにあります
一般的に言う「腹式呼吸」をするための筋肉といえます

ではなぜ腹横筋を鍛えることによって
腰痛を防止できるかといえば
腹式呼吸をすることによって腹圧をあげることができます
お腹の中の空気圧が上がると背骨を押さえ込み
背骨を安定させることができます
いわばコルセットの役割を果たしてくれるわけです

逆に言うと腰痛防止のために長期間コルセットを着用することは
腹横筋を使わないのでだんだん弱化して腰痛がひどくなるということです

ともあれ腰痛防止のために腹筋を鍛えるなら腹直筋ではなく
腹横筋を鍛えていただきたいものです

■腹横筋エクササイズ
これはなんといっても「腹式呼吸」にあります
お腹に手を当てて膨らませるように息を吸います
そして次はお腹をへこませるようにして息を吐いていきます
あくまでもゆっくりとです
これを10~15回ほど繰り返します
(発掘 あるある大辞典HPより)

ヨガなどで腹式呼吸をするのも同じようなことです

もちろん一朝一夕に効果がでるものではありませんが
何年もかけてやり続けていただくと多少は腰痛が楽になるはずです
丹田」といっておへそから4~5cm下を意識してやるのがコツです

私の場合歌うことでこのエクササイズを励行しています
http://youtuukan.cocolog-nifty.com/axis/2006/09/post_91a7.html

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (14) 2021/1/10 「ナッツ」2012年6月27日

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「ナッツ」  2012年6月27日

ナッツはビタミンEが豊富で、老化防止に効果があることは以前から聞いていましたが、ピーナッツは食べ始めると止まらなくなりますので、この頃は10粒~20粒止まりにしています。どういうわけか、アーモンドは少量でもやめられます。ピーナッツもアーモンドも、だいたい10粒で10グラムが60Kcal程度のようです。「糖化」をやわらげる効果もあるといいます。


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意外に体にいいナッツ類 生活習慣病の予防も  朝日 2011年1月18日

 クルミやアーモンド、ピスタチオなどのナッツ類。高カロリーで太ると思って敬遠していませんか。実は栄養バランスがとてもよく、生活習慣病の予防や老化防止に役立つとわかってきました。

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 ナッツが大好きな私。大きな袋で買ってきてはポリポリポリ……。一気に半分食べてしまうことも。でもナッツは脂肪が多いというし、さすがに体に悪いかなと不安になり、専門家に聞いてみた。

 日本臨床栄養学会の板倉弘重理事長は「たしかにナッツの主成分は脂肪です。しかし、そのほとんどはαリノレン酸オレイン酸といった健康によいとされる油。動脈硬化を防ぎ、脳梗塞(こうそく)や心臓病のリスクを減らすなどの効果があります」と話す。

 αリノレン酸とは体内でつくることのできない必須脂肪酸血栓防止や中性脂肪の低下、炎症抑制などの作用が注目されている。

 一方、オレイン酸はオリーブオイルに豊富に含まれることで知られ、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを減らす働きがある。

 さらにうれしいことに、ナッツには、ビタミンやポリフェノールなど抗酸化物質も多いという。

 抗酸化物質は、がんや老化の誘因となる活性酸素を消す。いわゆるアンチエイジングにも役立つというわけだ。油の酸化を防ぐため、ナッツの脂肪の長所も最大限に生かされるという。

 「ナッツはたんぱく質も含み、栄養価が非常に高い。食べないのはもったいない」と板倉さん。

 欧米では、ナッツの健康への効能を示すデータが次々と報告されている。

 日本でも、九州大の今泉勝己特任教授(栄養化学)らが調査した。男女40人に4週間、1日の摂取エネルギーの12.5%をクルミから取ってもらったところ、男女ともLDL値が低下した。

 「日本の食事にクルミを加えても、欧米の研究と同様の結果が出たのは意義がある」と今泉さん。

 LDLが減ったのは、αリノレン酸オレイン酸に加え、必須脂肪酸リノール酸、ミネラル、食物繊維、アミノ酸などがバランスよく含まれるためと見ている。

 お茶の水女子大大学院の近藤和雄教授(臨床栄養学)によると、ナッツはダイエット効果も期待できるそうだ。

 海外では「ナッツを週5回以上食べる人のBMI(肥満度を示す体格指数)は、ほとんど食べない人と比べ低かった」「肥満の人たちがアーモンドを食べたら体重もBMIも低下した」などの報告がある。

   □     □

 とはいえ、私のような食べ方はやはりカロリー過多だそうだ。間食と考え、「1日約200キロカロリー、片手で軽く一握り分くらい」が適量と教わった。そのぶん、ほかの間食は控えよう。

 近藤さんは「少しずつ成分が違うのでいろんな種類を。油や塩が無添加のものがよい」と勧める。

 相変わらず、職場の机にもナッツを忍ばせ、小腹がすいたときにかじっているが、必ず小分けにして適量を守るようになった。家では、サラダやトーストに加えて楽しんでいる。(内山美木)

 ◆インフォメーション

 ここ数年、ナッツの中で存在感が高まっているのがアーモンドだ。カリフォルニア・アーモンド協会によると、日本での売り上げは倍増。ミス・ユニバース日本代表に栄養指導するオーストラリア出身のエリカ・アンギャルさんが著書などでアーモンドが美容によいと紹介したためだという。同協会は「健康志向で塩や油を使わない商品が増えました」と話している。

http://www.asahi.com/health/hiketsu/TKY201101170207.html


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美と健康の宝箱 ナッツ   NHK 2012・5・30

今、美容や健康を気づかう女性に人気の「ナッツ」。アーモンドを食べると老化の指標となる数値が減るという最新の研究や、アーモンドを気軽に料理の中でとれるウラ技、くるみをダイエットに役立てる方法などを紹介しました。

※アーモンドなどのナッツを食べると、アレルギー症状が出る方がいます。不安のある方は、最初は、一粒だけ食べてようすを見るなど、ご注意ください。
※ご出演の井上先生によると、1日に、くるみやアーモンドを食べる適量は、無塩の素焼きのもので、あわせて片手に軽く一杯程度です。くれぐれも食べ過ぎにはご注意ください。
※ナッツには、食物繊維が豊富に含まれています。そのため、食べ過ぎるとお腹の調子が悪くなる可能性がありますので、ご注意ください。

【イチおし】
・栄養満点!ナッツの正体
・アーモンドで老化予防!
・驚きの便秘改善効果
・えっ!“くるみ”でダイエット!

ナッツの正体は?
アーモンドやくるみ、ピスタチオなど、ナッツ類は種の中の「仁」。仁の部分を私たちは食べています。「仁」は、芽を出してみずから光合成ができるようになるための栄養分をため込んでいる部分です。
だからさまざまなな栄養がぎゅっと凝縮しているんです。

“糖化”を抑えるアーモンド
“糖化”とは、体内の糖がタンパク質と結びつくことによってAGEという老化物質に変わること。
AGEは、皮膚の「しわ」や「たるみ」の原因になるなど、体の老化と大きく関係しています。アーモンドには、“糖化”を抑える働きがあり、その結果、体の中のAGE値が減るのです。

アーモンドはいつどのくらい食べると効果的?
慶應義塾大学の井上教授の研究によると、1日25グラム、25粒程度(アーモンドはおよそ1粒1グラムです。)を毎食後にわけて食べるのがおすすめです。目安は、“片手に軽く一杯”です。
「無塩」「素焼き」のものがおすすめです。

【アーモンドのとり方】
・1日25グラム
・毎食にわけて
・無塩で素焼き

アーモンドで便秘改善!
アーモンドには、ごぼうの2倍、さつまいもの4倍の食物繊維が含まれています。
食物繊維で便のかさが増し、脂肪分で便をなめらかにして排出しやすくなります。
※便秘のタイプによっては、食物繊維によって、より便秘が悪化する方もいらっしゃいますのでご注意ください。

http://www.nhk.or.jp/asaichi/2012/05/30/01.html

アーモンドの花 

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (13) 2020/12/3 「股関節:足腰ヒザ痛の真犯人」2012年4月3日  

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「股関節:40代から特にキケン!とれない足腰ヒザ痛の真犯人」 2012年4月3日

「膝関節症」の予防のため、かなり前から、両手に重りを持ってのスクワットとともに、古タイヤのチューブを使って、大腿筋・腹筋の強化なども多少はやっていましたが、最近原因不明のヒザの痛みがあって、・イスや机に軽く手を突いてのスクワットを日に何回かやるようにしています。
立ち上がってヒザをのばしきらないうちに止めて、イスに座る前の位置で止めたり、きつくなると座ったりして、加減しながらゆっくり動くと、筋肉に効いてくるのがわかります。
お茶を飲むときの、湯が沸くまでの2・3分待っているときなど・・生活の中にちょっとしたタイミングを見つけて取り入れるように、習慣化しようと思っています。
前に書いたような気がしますが、私の唯一の望みは「死ぬまで歩く」ことですので、その実現に向けて、困難な道を一歩ずつ進みたいと思います。

・・タイミングよいNHKと朝日の・・「股関節」に注目しています。

注目
歩いているときや座っているときにも、姿勢によって骨盤が傾いて、・・歳とってひざの関節の軟骨が減り膝関節症になる人が多いのと同様に・・・股関節の軟骨も減るという。
ただ、一度減ると再生しないと聴いていた軟骨が再生したということをここで聞いて、人間もトカゲにはおよばないとしても、生物にそなわっている「自己を守り、治そうとする能力」をあらためて認識した思いです。

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40代から特にキケン!とれない足腰ヒザ痛の真犯人
NHK:2012年02月01日放送

治らない腰の痛みや、原因不明の膝の痛み、そしてどこともつかない足の痛みなど・・・。
誰もが一度は経験したことのあるような症状ですが、ひょっとすると全然別のある場所の異変が隠されているかもしれないんです。
その場所とは「股関節」。
普段はあまり気にしない場所ですが、ここを痛めてしまうと本当に大変!
まさに体重を受け止める体の要だからです。
特にキケンなのは、40~50代の女性!
しかも股関節の異変は、気づきにくいのが特徴です。
一体なぜなんでしょう?
番組ではその謎を解き明かすため、股関節の仕組みを徹底解剖します。
股関節に要注意の姿勢や痛みを取る意外な治療法まで、大切な股関節を守るための情報満載でお届けします。

一度は気にかけてほしい股関節
股関節の病気は、驚くほど気づきにくいのが特徴です。
しかし症状が進行すると、生活が大きく制限されてしまいます。多くの方は、発症年齢も若く、働き盛りで家族の中心、しかも治療は個人差が大きく決定打はない。
当初はなんて残酷な病気だろうと感じていました。
ところが、お会いした患者さん達の明るいこと。予想とのギャップに驚きましたが、明るさの裏には納得のいく治療を自ら選んだ、自信があるのだと感じました。
変形性股関節症は決して簡単な病気ではありませんが、一人でも多くの方が早く発見して、納得のできる治療を選んでほしい、そんな思いで作った番組です。

元気な40代が突然歩けなくなる!?
都内に住む会社員のAさんは、去年3月からキリキリする膝の痛みに悩まされてきました。
しかし、整形外科に行っても異常なし。
マッサージなどの治療に通ったものの改善せず、仕事と家事に追われる忙しい生活の中で、半ばあきらめかけていました。
そんな時、突然股関節がはずれたような激しい症状に襲われ、歩くことも困難に。
検査の結果、股関節の病気だと分かり、治療を受けました。
一方、プロゴルファーのBさんは、若い時から腰痛に悩まされており、治療を試みるも一向に改善しませんでした。
そんな中、2年前にやはり股関節の激痛に襲われ、寝返りも打てないほどの状態に。
手術を経て股関節の痛みが取れると、何と長年の腰痛まですっかり治ってしまったそうです。
それまでは二人とも40代の健康な女性。その二人を襲ったのは、同じ股関節の病気です。しかし、二人とも激痛になるまで異変に気づかなかったばかりか、股関節が治ったら、膝や腰の痛みもなくなったそうです。
実はこうした症状は、股関節の病気にかかった多くの人に共通しています。痛みが出る場所は、腰や膝、足の様々な場所に及び、なかなか特定できません。
さらに40代から50代の女性が多いのも特徴です。
一体どうしてなんでしょうか?

おわんの浅い人は股関節に要注意!
人間の股関節は、ボール状の足の骨が、おわん状の骨盤のくぼみにはまりこみ、それが骨盤から斜め横にはり出すという独特の形をしています。そのおかげで、足を内側や外側に大きく動かす自由な動きができる一方、周囲の筋肉で強い圧力をかけないと、安定して動かすことができない仕組みになっています。
その圧力は、歩くだけでピーク時に体重のおよそ4倍、床からの立ち上がり動作ではピーク時に体重のおよそ
7倍もの力が片足の股関節にかかるほどです。
しかし、この仕組みは皆同じ。ではなぜ病気になる人とならない人がいるのでしょうか。


その違いはX線写真で簡単に見分けることができるものでした。
股関節の激痛は「変形性股関節症」という病気によるもので、ボールとおわんの間の軟骨がすり減って炎症を起こすことで痛みが生じていました。さらに炎症の起きている人のX線写真と、そうでない人のものを比べると、何とおわんそのものの深さが大きく違っていたのです。
つまり痛みが出た原因は、骨盤側のおわんが浅いことで、軟骨がすり減りやすいことだったんです。
実は女性は男性に比べておわんが浅い傾向があり、おわんの浅さと長年の負担が重なって、40代以降に発病するケースが多く見られるのです。

姿勢の悪い人も股関節に要注意!
一方、おわんは浅くないのに変形性股関節症になる人が増えているという医師もいます。


その原因の一つに「姿勢の異常」があると考えられています。
実際、注意が必要なのはどんな姿勢なのでしょうか?
京都大学の建内宏重先生の協力で、街ゆく人の姿勢をチェックしました。すると、およそ3分の2が要注意と判明!
共通する特徴は、おなかが前につきだすことで、骨盤が後ろに傾いていることです。
骨盤が後ろに傾くと、股関節のおわんのかぶりが浅くなってしまい、一つの場所にかかる負担が増していきます。
シミュレーションの結果、骨盤の後傾した姿勢は、よい姿勢に比べて平均でおよそ2割も股関節への負担が増すことがわかりました。
さらに加齢とともに背中がまがる場合も、それを補うために骨盤が後ろに傾いていきます。バランスを取れるうちはいいのですが、もう傾けないほどの状態になると、一気にバランスが崩れ「姿勢の異常」とよべる状態になってしまいます。こうした姿勢の悪化が原因で、股関節の病気を発症するケースが増えているというのです。

痛み軽減の秘策は貧乏ゆすり!?
負担のかかる場所だけに、痛みが出ると対策が難しいのも股関節の特徴です。
そんな中意外な治療法で成果をあげてきた病院があります。
その治療法とは何と「貧乏ゆすり」!
手術後のリハビリの一環として導入したところ、およそ6割で軟骨の生成を促す効果がみられたといいます。
久留米市の主婦Cさんは、手術をせず、貧乏ゆすりと負担をかけない生活の見直しだけで、痛みの改善に取り組んできました。その結果、本人が感じる痛みが軽減されただけでなく、4年前と比べると関節の隙間がしっかりと開き、軟骨ができてきたことも確認されました。
貧乏ゆすりのメカニズムとその他運動療法の紹介は今回のお役立ち情報で!

今回のお役立ち情報
貧乏ゆすりで痛み軽減股関節周辺の筋肉をゆるめた状態で、継続的に動かすと、血流がよくなり痛みが軽減します。
このことで、軟骨に栄養が供給されやすくなり、結果的に軟骨が生成されると考えられています。
マウスの実験では、実際に軟骨が再生することが確かめられています。

やり方は
座った状態で、つま先を床につけたまま、かかとを上下に動かす(いわゆる貧乏ゆすり)


座った状態で、足を左右に大きく開いて閉じる動きを繰り返す
などがよいと考えられています。
1. 2. ともできる限りたくさん行ってください。
何かをしながら気楽にやってみてください。
※万が一痛みが出た場合は、中止してください。
姿勢をよくする予防法特に高齢になると、知らず知らず姿勢が悪くなりがちです。
そこで、なるべくよい姿勢を保てるよう骨盤周りの筋肉をよく動かす習慣をつけておくことが大切です。
そのために有効なのが骨盤おこし体操です。

いすに座って、腰を丸めた状態から、おへそを斜め上方30度の方向に動かす
反りすぎると腰に負担がかかるため、おなかに力を入れて行うのがポイントです。
これを1分ほどの間、繰り返す。

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股関節の痛み 大腰筋、生活の中で鍛えて予防  朝日 1月23日 

 健康のために歩いたり、走ったりする人が増えている。昨年の朝日新聞世論調査でも、ウオーキングやジョギングは、「現在しているスポーツ」のトップ3に入った。だが、がんばりすぎて足の付け根(股関節)を痛めてしまう人も多いようだ。

 福岡大医学部の内藤正俊教授(股関節外科)は、「痛みが出たら、まず回数や時間を減らして」と話す。しばらく休んで治まる場合は、痛みのない程度にセルフコントロールしながら運動を続けてかまわないという。

    ◇

 どうしても痛い場合は、過度な運動が原因で、大腿(だいたい)骨と、骨盤側で大腿骨の受け皿になる部分(臼蓋<きゅうがい>)がぶつかって痛む「大腿骨臼蓋インピンジメント」の可能性がある。最近、注目されている症状で、内視鏡を使って骨を削る手術で改善するそうだ。

 関節の痛みの多くは加齢で軟骨がすり減ったり、骨格がずれたりして、近くを通る神経が圧迫されるのが原因だ。筑波大の久野譜也教授は「歩いたり、走ったりする有酸素運動の健康効果は確かにあるが、股関節の軟骨をより多くすり減らす側面もある」と警告する。基本的に軟骨は再生しないため、筋肉を鍛えて骨格を維持するのが適切な痛み予防だという。

 だれでも30代以降は加齢とともに筋肉は減る。特に、股関節を支える筋肉の一つで、大腿骨と背骨をつなぐ大腰筋は、ほかの筋肉よりも減りが早い。歩くときに最も働くのが大腰筋でもあるので、この筋肉を鍛えて、少しでも減少を食い止めておくことは、将来の寝たきりを防ぐ対策にもなる。 
 
  ◇

 筋トレは、何歳で始めても一定の効果が上がるといわれる。久野さんらが、70歳以上の高齢者12人に、週5日の軽いトレーニングを3カ月続けてもらったところ、大腰筋を含む足の筋肉量の増加が確かめられた。一方、60代、70代の計21人が1日30分、週5回のウオーキングを12週間行った研究では下肢の筋肉量は増えなかった。

 「歩いたり、走ったりと筋トレの組み合わせが重要。筋肉が増えれば代謝が上がってダイエット効果も上がるしランニングのタイムも速くなる。一石二鳥以上の効用です」と久野さんは話す。きちんと効果を出すには長く続けることが重要だ。「一生続けるつもりで日常生活に負担のないトレーニングから始めよう」と久野さん。

 例えば、椅子に浅く腰掛けた状態から、片足ずつひざを伸ばしたり、ももを上げたりする筋トレなら、家庭でテレビを見ながら取り組める。1日おき、週3回から始め、慣れてきたら週5回まで増やせばいいそうだ。久野さんによると、「わざわざ時間を取るのではなく、生活の中に組み込んでしまうのがコツだ」という。

◆相談ナビ

 久野さんの著書「股関節の痛みをとると健康になる」(PHP研究所)は、具体的な筋トレの方法やポイントなどを紹介している。また、東日本大震災福島県伊達市仮設住宅に避難中の住民らは、久野さんや筑波大などの支援を受けた「健康づくりプログラム」を実践中だ。

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (12) 2020/10/16 「糖化」


「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (12) 2020/10/16 「糖化」

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「糖化」 2012年2月23日

後悔しても過ぎ去ったことですが、若いときに知っていればもう少し老化を遅らせることができたのか・・と思わせる「糖化」について、〝これからでも〟理解して、生活の見直しをしていかなければと、最近になって私はやっと気づいたのです。
確かに、顔や肌にシミや黒ずんだ斑点ができて、東洋医学でも「おけつ」という血液の流れがよくない状態であることはわかっていました。糖尿病の怖さにも気をつけていたつもりでしたが、日々の生活で「これぐらいなら・・」と食べていた好きなパンや大福モチなどが、じわじわと血糖値を上げていて、その重大なことに気がついていなかった・・のかもしれないようです。


***


アンチエイジングだ!肌ホネ血管一挙に若く保つ方法   NHK 2011年05月18日放送

今回ガッテンが挑んだのは、
「老化を防ぎたい」という人類永遠の願い。
お肌のハリがなくなった・・・
目がかすむようになった・・・
足腰がめっきり弱くなった・・・
誰しもに必ずやってくる様々な体の老化に、
共通の原因物質があることが明らかに!
その物質を体内で増やさなければ、
老化予防“アンチエイジング”が可能になるんです!
いつまでも若く元気でありたいと願うすべての人に!
10年20年先も若さをキープするために!
科学が解き明かした超意外な老化のヒミツと、
外見だけじゃない“本当の若さを保つ”ための、
とっても簡単なワザをご紹介します!!

ホントに役立つ老化予防!
老化を止めるなんて、できるわけないじゃん!
そう思いますよね。
でも、
ちょっとでも遅らせることができるとしたら?
知らないうちに自分で老化を加速させているとしたら?
今回お伝えしたいのは、
そんな老化予防の大事な豆知識です。
10年先20年先の若さのために
ぜひ頭の片隅に置いておいていただければ幸いです。

正体発見!老化物質「AGE」とは?
最近の研究から、全身のさまざまな老化に、
なんとある共通の物質が関わっていることが
わかってきました。
その名も「AGE」。
AGEは、ある原因によって誰でも、
お肌や、骨、目、血管など、
全身のあちこちにたまってくるのです!
AGEがたまると、
骨や血管がもろくなったり、皮膚の弾力性の低下や、
視力の低下につながると考えられています。
つまり、AGEを増やさないことこそ、
老化予防“アンチエイジング”になるのです!
老化物質AGEとはいったい何なのでしょう?

おいしさと老化の意外な関係
老化物質AGEは、なぜたまってしまうのか?
その謎を解くカギを握るのは・・・
なんと、
パンやお肉を焼くと、コンガリとキツネ色に色づき、
おいしくなる化学反応。
これは「メイラード反応」と呼ばれ、
たんぱく質」+「糖」=茶色くなるという反応です。
この「おいしさの方程式」が、
実は、人の「老化の方程式」でもあったのです。
人の体のたんぱく質と、食べ物から摂取する糖が、
ジワジワと時間をかけて、「糖化」と呼ばれる反応を
起こすのです。
この糖化によってできるのが、AGEだったのです。
AGE=
Advanced Glycation End-products(終末糖化産物)。

コラーゲンの糖化=老化だった!
「糖化」の影響を受けやすいのは、
コラーゲンなど代謝の遅いたんぱく質です。
コラーゲンと聞くと、
どんなイメージをお持ちでしょうか?
お肌に大事なもの?
実はそれだけではないのです。
コラーゲンは、
体中の細胞と細胞をつなぐ接着剤のような役割を果たしており、いわば全身の細胞の土台です。
コラーゲンなくして、生き物は多くの細胞を支えることができません。
つまり、体中の細胞の間を埋めているコラーゲンが糖化され、茶色く劣化してしまうことは、全身の体の老化につながるのです。

糖尿病は老化を加速する!?
糖化を加速する要因は、高血糖です。
その最たるものは、糖尿病。
これまで糖尿病は、こわい血管病であると、
広く認識されてきました。
しかし、糖化という観点から見ると、それだけでなく
実は「老化を加速する病気」とも言えるのです。
糖尿病でない人も注意したいのが、
食後の高血糖です。
最近、空腹時血糖値が正常でも、
食後の血糖値が高い糖尿病予備軍の人が増えています。
日頃から食後の血糖上昇に気をつけることが、
慢性的な高血糖状態になることの予防につながります。
体の若さを守るためにも、
高血糖には注意したいものです。
※血糖値を上げないために、食事の炭水化物の量を極端に減らすことは危険ですので、ご注意ください。

糖化を防ぐ!食事のコツ
糖化をなるべく進めないことは、
老化予防につながります。
とはいえ、
○○を食べてはいけない
△カロリーまでしか食べてはいけない
などと制限をしてしまうと
ストレスも大きく、長続きしません。
そこで今回ご紹介したのは、
食後の血糖値の急上昇を抑える、
ちょっとした食事のコツです。
みなさんは、
カレーライスとサラダ、どちらを先に食べますか?
ごはんを先に食べると、
血糖値が一気に上がりやすくなります。
それに対し野菜などの食物繊維を先に食べると、
腸での糖の吸収がゆっくりになり、
血糖値の上昇もゆるやかになります。
糖化を予防する食事のコツは、
「先に野菜を食べること」なのです!
実際に糖尿病患者さんの食事療法として、
「食べる順番療法」を実践している病院では、
血液中の糖化の指標値である、
糖化ヘモグロビンの値(HbA1c)が大きく改善する効果も見られています。
さらに、
先に野菜を食べることにより
(1)自然と野菜を食べる習慣がついたり
(2)自然とごはんが控えめになったりするため、
糖化予防はもちろんダイエットまでもが
効果的に実践できると考えられています。

今回のお役立ち情報
今回番組で紹介した老化とは?人の老化には様々な要因がありますが、最近の研究から、ある物質が、皮膚や骨、血管など全身の様々な組織の老化に深く関わっていることが明らかになってきました。その物質の名前は、AGE(Advanced Glycation
End-products;終末糖化産物)といい、体内で起こる「糖化」という反応によって作られる物質です。AGEがたまることによって、皮膚の弾力が失われたり、血管や骨が硬くもろくなったりすることがわかってきています。
糖化とは?人の体の「たんぱく質」と、主に食べ物から摂取する「糖」が、ジワジワと時間をかけて反応します。これが「糖化」あるいは「メイラード反応」と呼ばれる化学反応で、お肉やパンなど、たんぱく質と糖を含む食べ物を加熱したときに、こんがりと茶色く色づき香ばしい香りが生まれる反応と同じものと考えられています。特にコラーゲンなど代謝の遅いたんぱく質では、この糖化の影響が残りやすいと考えられています。
糖化を進める原因は?私たち人間が食べ物から糖を摂取している以上、ある程度の糖化は避けられません。ただ、より糖化を加速させてしまうのが、「高血糖」です。糖尿病にならないようにすることはもちろんですが、糖尿病でない人も注意したいのが、食後の高血糖です。最近、空腹時血糖値が正常でも食後の血糖値が高い、いわゆる糖尿病予備軍の人が増えています。日頃から食後の血糖上昇に気をつけることが、慢性的な高血糖状態になることの予防につながります。体の若さを守るためにも、高血糖には注意したいものです。
糖化の予防法は?番組では、食後の血糖値の急上昇を抑えるちょっとした食事のコツをご紹介しました。
それは、「先に野菜を食べること」。ごはんを先に食べると、血糖値が一気に上がりやすくなります。
それに対し野菜などの食物繊維を先に食べると、腸での糖の吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇もゆるやかになります。
※血糖値を上げないために、食事の炭水化物の量を極端に減らすことは危険ですので、くれぐれもご注意ください。

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・老化の原因「糖化」とは?
 老化を語る上で避けては通れない、ある「生体中の反応」が昨今注目され始めています。それが「糖化」です。実は今、私たちを取り巻く生活環境が、この糖化を促進させる要素にあふれていることをこれから説明していきます。

 糖化(メイラード反応)とは、たんぱく質や脂肪などが糖(グルコース)と反応して変性してしまうという反応を言います。1912年にフランスの科学者L・C・メイラードが提唱したことから名づけられました。
 糖化反応の実験では、アミノ酸グルコースを混ぜて熱を加えます。すると時間が経つにつれて褐色に変化していきます。身近な例では、ホットケーキを焼いたときの反応がわかりやすいでしょう。牛乳や卵に砂糖を混ぜて焼くと、こんがりと褐色に変化し、おいしそうな香りを放ちますが、これがメイラード反応、つまり糖化です。砂糖を煮詰めたときの「カラメル化」も、醤油や味噌の風味をよくする反応も同様です。
 「こんがり」「よい香り」「風味 を増す」と、食材に関してはメリットの多い反応ですが、これが私たちの体の中で起こってくると非常に危険なことになります。

 生体中の反応については、1968年に人のヘモグロビン(酸素を運ぶたんぱく質)が、血液中のグルコースと反応して糖化することが発見されました。そのヘモグロビンは「ヘモグロビンA1C」と呼ばれ、糖尿病の代表的な検査として知られています。糖尿病になればこの値が上昇するのです。
 恐ろしいのは、糖化と糖尿病合併症(白内障や腎症、神経症)の関係です。糖尿病の患者は血中のグルコース濃度が高いので、糖化反応が起こりやすく、そのスピードがアップしてしまいます。そうすると、恐ろしい糖尿病合併症を早々に引き起こしてしまうのです。
 これらの糖尿病合併症が悪化すればするほど、老化現象も拍車をかけて進みます。それは加齢による正常な変化とは違う、「病的な老化」です。糖化は極端に早く「老化する人」を作ってしまうのです。

 美しくハリのある肌を保ちたい人にとって、糖化はもっとも避けるべき生体反応です。

 これまで肌の老化に関しては、UVケアに代表されるような「抗酸化ケア」や、乾燥から肌を守るための「保湿ケア」が大切であるといわれてきましたが、糖化についてもケアが必要なことがわかってきました。糖化で肌が衰えるとはどういう状態なのでしょうか。それは糖尿病にかかった人の肌の変化を見ればすぐにわかります。
 糖尿病が進行すればするほど、肌はハリを失い、たるみ、黒ずんだ印象へと変化していきます。医師であれば、その肌の状態を見るだけで「糖尿病がかなり進行している」ということが判断できるほどです。

 糖化は、肌のハリを保っているコラーゲン繊維の構造を破壊する生体反応です。糖化によって、肌は正常な弾力性を失い、ハリやつやのない状態に変性してしまいます。
 また、糖化によって生じる老廃物が皮膚の細胞に溜まり、くすみや黒ずみの原因となることで、肌の透明感が失われてしまいます。これまで単 に「老廃物」といわれてきたものの中に、糖化によって生成されたものが非常に多いということがわかってきたのです。
 冒頭で、糖化は「カラダがコゲる」反応だと申し上げました。肌についても同様のことがいえるのです。つまり、糖化によって肌のたんぱく質や脂肪がコゲたような状態になる。コラーゲンなどのたんぱく質が破壊され、「コゲる」と弾力性が失われるのです。

・・・

連載第1回では、老化の原因「糖化」について説明しました。糖化とは「体がコゲる反応」です。この糖化が起こるといくつかの反 応を経てAGEs(糖化最終生成物)と呼ばれる老廃物のような物質が生成・蓄積されて、老化現象にも拍車をかけるということを説明しました。今回は、老化モードを防ぐ食べ方について説明します。

いわゆる高血糖状態になると糖化反応が急速に進みます。簡単に言うと糖化を防ぐ食生活とは、高血糖状態をいかに避けるかということになってきます。
例えば最も良くないのは、喉が渇いたからといって、空腹時に甘いジュースや甘い炭酸飲料などを一気に飲むような行為です。一気に飲んでしまったら血糖値が正常な人でも200mg/dlから300mg/dlに上がってしまいます。血糖値が180~200mg/dlを越えた状態での糖化の進み方と、血糖値が140から150での糖化の進み方はまったく違います。血糖値が高いほど、糖化されやすくなるのです。さらに、このように血糖値が急激に上がると、血中のインスリン濃度も上昇します。インスリンが大量に分泌されているた め、血糖値が下がった後も、インスリンは高い状態が
続くのです。
今度はその高い状態のインスリンの作用によって、低血糖状態が引き起こされます。低血糖は体にとって非常に危険な状態ですから、今度はインスリンの効きを悪くするような働きが生体中に起こるわけです。これがインスリン抵抗性のメカニズムです。こうなると、インスリンの効きが悪くなって、血糖値がなかなか下がらなくなってきます。つまり、高血糖状態から脱出できないことになります。
食事をすれば血糖値は上がりますが、都合が悪いのは「急激に上がってしまう」ということです。

現代の食生活の問題点は、血糖を急激に上げる食材や食べ方が多いことです。このように空腹時に甘いジュースを飲んだり、お菓子を食べたりするのはもってのほか。精製された小麦粉を使ったパンなどを食べても、血糖値はすぐに上がってしまいます。精製された小麦粉のパンよりも、胚芽小麦やライ麦などで作られたパン、白米よりも玄米を選ぶことで、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。

昔は精製されていない食品が多かったのです。それに比べて現代は急激に血糖値を上げる食品であふれてしまいました。人間の体は、精製されていない食品をゆっくり良く噛んで食べていれば、血糖値の上昇もちょうどよく上がるようなしくみになっているのです。また、たとえ同じ食品を食べた場合でも、ゆっくり食べれば急激な血糖値の上昇は避けられます。つまり、"糖化のリスク"を下げることができるのです。

そうした食品の"糖化のリスク"を調べるにはGI(グリセミックインデックス)値を利用すると良いでしょう。例えば、同じイモ類でもジャガイモとサツマイモでは、ジャガイモの方が"糖化のリスク"が高く、サツマイモの方が"糖化のリスク"が低いことになります。おやつを食べるのであれば、ジャガイモを酸化した油で揚げたようなポテトチップスではなく、ふかしたサツマイモを食べた方が良いのです。
同じエネルギーでもGI値を比較して、GI値の低い方を選ぶことが糖化を防ぐポイントです。

ダイエットをしている人たちはとかく「低カロリーか どうか」を気にしますが、GI値を目安に食品を選んでいくことも大切です。どちらを食べようか迷うときは、GI値の低い方を選んで食べることが基本です。
GI値が高い食べ物であれば、その食べ方を工夫することで、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。例えば同じ果物でも、そのままであれば食物繊維が多く含まれていますが、ジュースにすると食物繊維が細かくなったり、取り除かれてしまいます。そうすると、同じ分量でもジュースの方が多く糖質を含むことになります。ジュースにしてしまって一気に飲むより、皮をむいてそのままの状態で食べる方が、急激な血糖値の上昇を避けられます。
このように、GI値の高い食べ物は、気をつけてゆっくり食べることを心がけましょう。甘いものは食べてはダメ、というわけではありません。節度を持った食べ方をすれば良いのです。

先ほどお話したように、白米より玄米・雑穀の方がGI値も低いわけですが、じゃあ急に主食を玄米に変えても、白米と同じようにガツガツと食べたら、玄米・雑穀では消化不良を起こしてしまいます。玄米・雑穀はゆっくり良く噛んで食べないことには、その良さが引き出されないのです。白米から玄米・雑穀に移行するのであれば、噛む練習を一緒にやるべきです。そのためには、最初は白米に3割だけ玄米・雑穀を混ぜるとかして、段階を経て実行すると良いでしょう。玄米・雑穀を良く噛んで食べるという食習慣が身につけば、それがベストでしょう。玄米・雑穀の滋養を享受でき、良く噛むことによって唾液の分泌が活発になり消化吸収が良くなりますし、噛むという行為によって、脳からでるホルモン分泌も活性化します。また、噛むことによって頬から顎の筋肉が鍛えられて、たるみのないひきしまった顔になっていきます。まさに一石三鳥、四鳥の効果です。

GI値と照らし合わせて食材を選ぶことと同様、食事をする際の食べる順番も大きく影響します。血糖値が上がりやすい食品は後に回すのです。順番としては、最初に繊維質の多いサラダを食べて、次に野菜の煮物などのおかず、その次に肉や魚、最後にご飯を食べるというのが理想的。最後にご飯だけ食べるというのは無理があるかもしれませんが、心がけとして覚えておいてほしいと思います。

 お菓子なども絶対食べてはいけないのではなく、空腹時にたくさん食べるのはよくないけれど、食事の後のデザートとして適量であれば、害が少ないということになります。
お菓子類に多く含まれている砂糖やブドウ糖は、GI値が極めて高く、急激に血糖値を上げる食材の代表選手です。よく「脳のエネルギー源はブドウ糖」ということもいわれますが、脳の代替エネルギーは存在しますし、少なくとも現代日本の食生活では、砂糖不足(炭水化物不足)という事態はありえません。むしろ炭水化物の過剰摂取による糖化の促進のほうが問題です。

また食べる時間帯も重要です。寝る直前に食べるのはもってのほか。少なくとも二~三時間は空けましょう。相撲部屋ではたっぷり食べてその後昼寝をして力士体型を作っています。

これらの点に気をつけることで、糖尿病予備軍の人は糖 尿病への進行を防ぐことができますし、通常の血糖値の 人も、糖化による老化を防ぐことができるのです。

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・抗糖化ナンバーワン食材のショウガで美肌のキープや糖尿病合併症の予防が可能!  

 ブドウ糖などの糖と、タンパク質が体内で結びつき、劣化したタンパク質に変性する非酵素的な糖化反応は、肌にも他の諸器官にもさまざまな悪影響を及ぼします。
 糖化反応によって体内に終末糖化産物(Advanced Glycation Endprpducts:AGEs)という劣化タンパク質が蓄積され続けると、肌や血管などの諸器官の老化が早まってしまいます。
 糖尿病の指標となるヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖化反応の中間糖化産物で、HbA1c値が高い(概ね5.6以上の)人は、糖化反応が進行している状態にあると考えられます。
 AGEsは加齢とともに増加してきますが、体内に過剰に沈着すると、肌の老化だけでなく、さまざまな病気の原因にもなります。
 肌のエイジングは、活性酸素などによる「酸化」、感染や負傷などによる「炎症」のほか、AGEsによる「糖化」で加速され、「糖化」によって肌のハリや弾力が失われ、黄ばみ・くすみ・シワ・たるみ・カサつきなどを引き起こしま-す。
 また、眼、脳神経、血管、血液、骨などの諸器官にも悪影響を及ぼし、特に糖尿病の合併症(網膜症・腎症・神経障害)と密接に関係しています。
 糖尿病の人は、AGEsが蓄積されやすく、動脈硬化アルツハイマー白内障骨粗鬆症などの発症リスクも高くなるといわれています。
  では、糖化を防ぐ食材として、どのようなものが有効なのでしょうか? 

 インド(ハイデラバード)にある国立栄養研究所のSaraswat氏らによる研究(BrJ Nutr 2009; 101(11); 1714-21)では、糖化を防ぐ食材として、17種類を選び、真空凍結乾燥した食材粉末の糖化阻止率をAGE蛍光法で測定しています。
 その結果、糖化を阻止する作用が最も高かったのはショウガで、その糖化阻止率は93%という高値を示しました。
 ショウガに続いて、シナモン(88%)、クミン(86%)、緑茶(86%)、黒胡椒(50%)、バジル(45%)、リンゴ(45%)、ツルレイシ(40%)、レモン(37%)、ニンニク(31%)、オレンジ(29%)、キュウリ(7%)、タマネギ(6%)の順で、ほうれん草、ヒメウイキョウグアバマスタードは検出限界以下でした。

 なお、ショウガはSDS-PAGE法やタンパク質カルボニル法で測定しても、糖化阻止率がトップでした。そのため、ショウガには糖尿病性白内障を予防したり、その進行を遅らせたりする効果があります。このように、ショウガは、その糖化抑制作用によって、糖尿病性白内障の進行を用量依存的に抑えることが分かりました。
 ショウガは、美肌を損なう三大要因である「酸化」・「糖化」・「炎症」のすべてを抑える作用を持ち合わせているほか、糖尿病の合併症の予防や進展を食い止めるのに役立つと考えられるため、美しい肌をキープしたい人や糖尿病(血糖値)が気になる人は、日常的にショウガを摂ることをおすすめします。

「ひとりごと・健康通信」をふりかえって (11) 2020/9/20

もう10年も前から、数人の人に「ひとりごと・健康通信」などというのを書いてきたが、そんな記事を振り返りながら、この10年で健康に対する考えや生活がどう変わってきたか・・書いたものを整理したり、付け加えたりしながら書いています。

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「新事実!ストレスで腰痛?」 2011年12月1日

腰痛・・二歩足で立って歩く人間の宿命と言われ、まだ原因はよくわかっていないとも言われている「腰痛」について、ひとつの新しい方向が見えてきたようです。
これもまた「ストレス」という・・さまざまな要因をもつ心の問題にあるのだという。

私のひとつのテーマでもある「心と体」の関連が「腰痛」にもおよぶのか・・と、私たちの生命や健康について理解を深めるための新しい手がかりと、これからの課題が見えてきたように思います。


腰痛「新事実!ストレスで腰痛?」後半の

〔 椎間板ヘルニアは、手術をしなくても、数か月で自然に消滅することがあります。マクロファージという、免疫細胞の一種がヘルニアを異物と認識し、食べてしまうためです。〕

という言葉は、かなり前から注目している「安保徹」の理論にも結びつくように思われます。免疫の主役である白血球の元祖(基本)でもある「マクロファージ」が、そんなことまでするのかというオドロキです。


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医療が病をつくる 安保徹 から

〔 マクロファージの防御の基本は、貪食能(異物をどんどん食べこむ能力と遊走能(異物侵入の場に駆けつける能力。遊走後に炎症部位に接着)である。マクロファージの貪食系をさらに進化させたのが顆粒球であり、細菌の処理に力を発揮する。
一方、生体に侵入してくる異物の中には貪食能で処理するには小さ過ぎて処理できないものもある。防御系の一つとして進化しはじめたリンパ球系細胞は、このような微細抗原の処理にあたるものである。微細抗原には消化酵素で分断された異種蛋白や、ウイルス抗原などが含まれる。 〕


「人が病気になる原因はどこにあるか」から

〔 白血球は「マクロファージ」「顆粒球」「リンパ球」からなっています。人間は多細胞生物として進化する過程で、生体防御の機能を、「マクロファージ」というアメーバのような細胞に任せてしまった。これが、白血球の始まりです。

「がんばらない」の医師 鎌田實 VS 免疫学の大家 安保徹 http://www.gsic.jp/support/sp_02/kvs/02_01.html


2009年10月24日、講演会 から

がん、糖尿病といった恐ろしい病気の多くも、自分で治すことができます。というのは、これらの病気をつくり出した原因のほとんどは、私たちの日常生活にあふれている「働きすぎ」「睡眠不足」「心の悩み」などであるからです。ですから、私たちが自分の生活の歪みを見直し、生活や考え方を改善すれば、病気から脱却することができるのです。

しかし、自ら生活や考え方の歪みや偏りを直視し、改善することは容易ではありません。まして、たとえ家族や友人のアドバイスがあっても、自分自身が納得して実行しなければ、真の治癒にたどり着くことは困難です。

病気で一番つらいのは患者さん本人ですが、周りの家族や友人も、患者さんご自身が「真の治癒」への途にたどり着くのを温かい目で見守りつつ、一緒に待って差し上げることも重要です。

近況 090105
現代医学では、病気は人間の仕組みの失敗と考えている。アトピー性皮膚炎、リウマチ、がん、いずれもそうである。それでは、病気の人間は失敗作だというのだろうか。人間の巧妙なる仕組みが、失敗であるはずはない。実際は、偏った生き方やつらい生き方が原因であろう。現代医学は、原点が違うから病気を治せない。万能細胞の考えもしかり。病気は生き方の偏りを教えてくれるからだの声である。

NHKスペシャル『病の起源』を見て記す  H21.1.5 安保徹

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腰痛「新事実!ストレスで腰痛?」 NHK あさイチ 11月30日(水)

最新版!ぎっくり腰・慢性腰痛スペシャル  NHK あさイチ 11月30日(水)

専門家ゲスト:牛田享宏さん(愛知医科大学 学際的痛みセンター 教授)、
   大谷晃司さん(福島県立医科大学 整形外科准教授)

日本人の80パーセントが経験していると言われる腰の痛み。悩んでいる人が多いにも関わらず、まだ解明されていないことが多いのが実情です。しかし近年研究が進み、少しずつ、発症のメカニズムや原因について新しいことが分かってきました。なかには、長年信じられてきた常識を覆すような新事実も!そこで、番組では、突然激痛が襲ってくる“ぎっくり腰”と、しつこい痛みがつきまとう、“慢性腰痛”について、2005年11月9日に放送された「ためしてガッテン・ぎっくり腰徹底撃退術」および2011年11月16日に放送された「ためしてガッテン・驚異の回復 腰の痛み」の情報と合わせて、最新の研究成果をお伝えしました。

ぎっくり腰編「突然激痛が襲うのはなぜ?」
なんの前ぶれもなく、日常生活のささいな動作をきっかけに腰に激痛が走る「ぎっくり腰」。ある日突然襲ってくる、そして一度経験してしまうとたびたび悩まされる人も多いのが特徴です。
ぎっくり腰の激痛の原因の多くは、「腰の筋肉の異常緊張」。そのメカニズムとは?日頃の生活で腰への負担をかけているうちにダメージが蓄積、そこに、くしゃみなどによる、ちょっとした力が引き金となって、椎間板にヒビが入ったり、筋肉に肉離れのような状態が生じたりすると考えられています。その結果、腰のまわりの筋肉が異常に緊張し、背骨が引っ張られ、まっすぐの状態になったり、S字状に強く曲がるような状態になったりするのです。すると神経が刺激されて痛むうえ、緊張した筋肉が血行不良になってさらに痛みが増す、「魔の激痛スパイラル」を引き起こすと考えられます。

<私がぎっくり腰になった瞬間>
・ハミガキ中
・玄関でブーツ
・台所の引き出し

ぎっくり腰編「なってしまったら?ならないためには?」ぎっくり腰になってしまったときにはどうすればよいか?実は、炎症が静まるまで「放っておく」しかないと言われています(発症直後は消炎鎮痛剤を服用してもよい)。早めの回復のためには、安静にしすぎず、無理のない範囲で動くことが大切です。動いたほうが、筋力が保全され、血流も改善されやすいためです。
ただし、ぎっくり腰だと思っていたら、違う病気が潜んでいたという可能性もあります。安静にしていても痛い場合、痛みが日に日に強くなる場合は、医師の診断を受けましょう。

ぎっくり腰で苦しまないためには、予防が最も大切です。腰に負担がかかりにくい姿勢を心がけることで、ぎっくり腰のリスクを下げることができます。例えば・・・

・くしゃみをするときには?→台に手をつく
・ものを持ち上げるときは?→ひざを曲げる
・掃除機をかけるときは?→ひざを曲げる
・台所で洗い物をするときは?→台を用意し、片足を乗せる

また日頃から運動の習慣を付けると、ぎっくり腰発症のリスクが低減します。整形外科医がおすすめするのは、負担にならない程度の全身運動。例えば、散歩です。

慢性腰痛編「椎間板ヘルニアのナゾ」
腰が痛い、重いと感じる状態が、ずっと続くのが、慢性腰痛。医学的には、最初に痛みを感じてから3か月たっても治まらないものを、慢性腰痛といいます。
その原因のひとつと考えられているのが、腰椎の間でクッションの役割を果たす椎間板が飛び出し、神経を圧迫する「椎間板ヘルニア」です。しかし、近年の研究で、ヘルニアがあっても腰が痛くないケースが多々あることが判明しました。さらには、ヘルニアを手術で切除したにもかかわらず腰痛が治らないというケースもあり、「ヘルニア=腰痛の原因とは限らない」ということが分かってきました。

実は腰痛の原因については分からないことが多く、椎間板ヘルニアによるものは5パーセント、脊柱管狭さく症や圧迫骨折などによるものは9パーセント、そのほか腫瘍などによるものは1パーセント程度といわれています。
つまり、85パーセントについては、MRIやX線など目に見える形では、原因は不明なのです。

慢性腰痛編「新事実!ストレスで腰痛に?」そうした中、新たに意外なところに腰痛の原因があることが分かってきました。その原因とは、ストレス。ストレスを受けることで、痛みの感じ方を和らげる脳の働きがうまくいかなくなり、痛みがひどくなるというのです。

慢性腰痛の薬慢性腰痛の研究が進む中、最近では、新しい薬の使い方も出てきています。

スタジオでは、腰痛に使われることのある、「抗うつ薬」をご紹介しました。腰痛が慢性化してしまっている患者さんには、抗うつ薬の一種が痛みを抑えるのに有効なことがあります。抗うつ薬というと、びっくりして過剰に心配する患者さんもいますが、実際の治療の現場で使用されています。

<この薬の注意点>
(1) 誰にでも効果があるわけではない。
(2) 人によっては、吐き気やふらつきといった副作用が出る場合もある。
(3)さらに、整形外科医の間で、まだ一般的とまでは言えない薬の使い方なので、医師によっては、処方に積極的でない医師もいます。

そうしたことから、腰痛がひどいからといって、誰もが処方してもらえる薬ではありません。
もちろん市販薬ではありませんので一般の薬局では買えませんし、整形外科ならどこでも処方してもらえるというわけではありません。

慢性腰痛編「手術したほうがいい?」
椎間板ヘルニアは、手術をしなくても、数か月で自然に消滅することがあります。マクロファージという、免疫細胞の一種がヘルニアを異物と認識し、食べてしまうためです。手術をした場合としなかった場合を比べると、2年後の快復率はほとんど変わらないというデータもあります。
手術したほうがいいのは、痛みだけでなく、マヒやしびれなど、神経が圧迫されることによる機能面の障害が発生している場合です。その場合は、医師と相談のうえ、手術を検討する必要があります。

<手術が必要な症状>
(1)しびれ・マヒがひどくなってきている。
(2)転びやすくなった。
(3)尿が出にくいなど排尿障害。